アイにカルチャーショックを与えてから数日が経過した。
ワークショップ期間中なので役者の仕事は無いが、俺自身はモデルの仕事はあるので、時間をずらして貰ってやり繰りしているのが現状だが、それに不満を覚えてしまったアイが絡んで来た。
「ねぇヒカル君私とセックスして欲しいの!」
いつの間にかカブキ呼びからヒカル君呼びにグレードアップしているのは置いといて、どこか鬼気迫る表情でお願いと言うか……脅迫染みた事を平然と言って来た事に俺は頭を抱えてしまった。
「それは……まぁー、良いですよ! 良いですけど……アイさんは何の為にセックスをしたいんですか?」
正直な話、別段やるのは良いけど……やった後は関係を断ち切れるようにちゃんと釘を刺して置かないとどうなるか分かったもんじゃない
「勿論セックスをすることで、私自身が愛を感じる為で、ヒカル君となら私そういう関係になっても良いよ♪」
「セックスをして感じられるのはエクスタシーであって、アイさんが想像する愛は絶対に感じる事はありませんよ?」
「そんなのやってみなきゃ分からないじゃん♪」
無理だと思うけどな……
「……ちなみに子供が出来たらどうしますか?」
「……ヒカル君には迷惑を掛けない様に隠れて産むから心配しないで」
現在進行形で迷惑をかけているのはどうなのだろうか?
それに、若干ではあるが目が泳いだのを俺は見逃さなかった。
「……では、アイさんの目的はセックスをすることにより、愛を感じるのが目的であり、あくまで子供を作る事が目的では無いと言う事で良いですか?」
「そ、そうだよ~。ほら、ヒカル君もこ~んな可愛い現役アイドルとセックス出来て嬉しいでしょ? 私は初めてだけど……お姉さんだからリードしてあげるよ」
カナンと出会う前なら即答していたけど……どうにもカナンの顔が脳裏にチラついてしまう
別段カナンの面倒を見てはいるものの、俺自身カナンに手を出していないし、それどころか肉体関係を持っていないのは俺からしてみればらしくないと思っている。
実際の所カナンの年齢が一個下だから、そう言う対象に見て良いものか悩んではいるし、カナン自身も俺を気を許せる異性と見ているが……やるとなると話は変わって来る。
そして、一番の問題は……コレ、子供が出来なかったら物語としてどうなるのだろうか?
ストーリーなんかはもはや覚えて無いから、アレだけど確か子供は双子だったはずで、双子が居ないと死んじゃうキャラもいたような気がするし……
あれ? そう考えるとやらない訳にはいかないのか?
でも、やるとアイが死んでしまって、その結果子供に黒幕扱いされて復讐されるんだよな……
もしも、アイの目的が子供を作る事で、自身の子供から無条件で愛されたいと言うのであれば……良い事思い付いた!
「アイさん……アイさんが愛を理解する方法が一つありますよ?」
「つまりヒカル君とセックスする事だね!」
「私は別にアイさんの事を愛してる訳ではありませんので却下しますが、アイさんが子供を産もうと思うのは止めません」
「うん? だから、セックスして妊娠しないといけないよね」
「……妊娠するのに必ずしもセックスが必要な訳ではありませんよ? ちなみにアイさんは体外受精ってご存じですか? 精子ぐらいなら提供しても良いですけど……あと基本的に私は面倒を見る気はありませんが、アイさんが捨てるというのなら、その時に限り面倒を見ます」
俺の言葉にアイは驚愕の表情を浮かべており、口をパクパクさせているが……これが俺の妥協点だし、何なら代理出産もしてもらおうと考えているくらいだ。
流石に愛梨パイセンや上原パイセンにそんな事お願い出来ないし、したくないけど……多分言ったらやってくれそうなのが怖い所だ。
何なら二人揃って「「有りだな」」って言いかねないくらいにはぶっ飛んでいるし……
ま、これに関しては他に代案がお思い付かず、打つ手が無い状態の最後の手段だ。
これがバレた所で、俺の責任は一切無いし……何ならアイが育児放棄するようなら引き取るって言ったので誠意は見せたはずだ。
「……ちょっと考えさせてね」
「……そうですね。アイさんの将来の事なので思う存分悩んで考え抜いてくださいね」
とりあえず、これで一旦は逃げられたはずだ。
今日のワークショップも終わって、家に帰宅するもまだカナンは帰って来てはいなかった。
帰宅が遅いのはモデルの仕事の所為だから、疲れて帰って来るカナンの為にも家事をしないとな!
簡単ではあるものの、掃除に洗濯物などの家事もこなして夕食の準備もしないとな……
「疲れた時はレモンや梅干しに含まれているクエン酸が良いって言うし、今日は梅ご飯でも作ってみようかな? 後はやっぱりしじみの味噌汁と冷蔵庫に何があるかなー」
中身を確認すると、食材がほとんど入って無かった!
そう言えば今日はスーパーに買い物に行こうと思っていたのにすっかり忘れていた。
「ただいまー」
あ、帰って来ちゃった!
「か、カナンお帰りなさい」
「あれ、ご飯まだ出来て無いの?」
「それなんですが、スーパーに行くのを忘れてまして、もしよかったら今から一緒に行きませんか? ちょっと遅い時間帯ではありますが……この時間なら特売になりますし、偶にはカナンの好きなの作りますよ?」
「えぇ~良いの!」
「勿論です」
「じゃあ、荷物置くから待ってて」
カナンはそう言うとカバンを置きに部屋にすっ飛んでいき、すぐに戻って来た。
「そう言えばカミキとスーパーに行くの初めてだね」
「そうですね。カナンはお菓子って食べます?」
「食べるけどカミキの奢り?」
「勿論ですよ。」
「やったー」
カナンは喜びのあまり俺に抱き着いて来た。
12歳であるから成長途中ではあるものの女性らしい肉体になって来ており、抱き着かれれば当然嬉しいものだし、俺の方が収入が多いからこの程度何ら問題は無く、カナンと遅い時間帯ではあるものの買い物デートを楽しんだ。
それをアイに見られているとも知らずに……