カミキヒカルになりました。(本編完結)   作:だめねこ

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第57話

金田一さん……兄さんの失敗談聞きたいからヤサ変えて飲みに行きませんか?」

「姫川……よし行くぞ!」

 姫川さんと金田一さんが何やら話し始めたと思ったら、悪い笑みを浮かべて、ホルモンを食べていたカミキさんの肩に姫川さんは手を置いた

 

「兄さん良い店があるんで、ヤサ変えて飲みましょう」

「ムグムグ……良いですよ」

 

 相変わらずカミキさんは姫川さんに駄々あまだった。

 いや、俺やルビーに対してもそうだし、他のちびっ子達にもそういえば駄々あまだった。

 ただ、俺やルビーはカミキさんに甘える事をあまりしてこなかったし、姫川さんにしても父親である事を言い出せていない訳なら、余計に自身の子供に対して甘くなってしまったのか?

 

 そんなことを考えつつも焼き肉屋の支払いをする為、お金を集め始めたが……

 

「あ~先ほど頂いたので大丈夫です」

 

 店員さんにそう言われてしまった。

 店員さんの目線の先を追うとそこにはやはりカミキさんが居た。

 こう言った場にカミキさんが居る時は何時も支払いをしてくれている訳なんだが……今現在カミキさんはいくら持っているのだろうか?

 今月はず~っと公演があるから競馬に行けないだろうし、終わったらお小遣い稼ぎに天皇杯にでも行くのかな?

 

 

 

 

 

「「「カンパイ!!」」」

 

 姫川さんおすすめのお店に着くと早速可愛いキャストがカミキさんの近くに着いた。

 そして、恐ろしい事に初めの一杯がテキーラのショットガンからのスタートだった。

 

「ハイイッテらっしゃい!」

 

 焼肉屋の時から飲んでいるカミキさんだが、ショットガンを普通に飲み干しており、全く堪えていなかった。

 

「このままあの人潰して」

「おっけ♪……ちなみにお持ち帰りしても良い?」

「だーめ」

「ぶー」

 

 姫川さんとキャストのお姉さんは見た感じ知り合いの様だ。

 

「男ってのは可愛い女の子に注がれた酒は飲み干すもんだ。そこで酔わせて兄さんの失敗談を引き出すぞ」

「姫川さん……初めに言っておくけど、カミキさんが酔いつぶれたのは俺の知る限りだとたった一回だけで、それも激務による疲労と空腹だったからであって普段はウワバミですよ」

「よし、度数の高いのガバガバ飲ませるぞ!」

 

 姫川さんはそう意気込んだが、果たして上手くいくのだろうか?

 

「ちなみにここはどういうお店なんです?」

「ああ、モデルとかアイドルとか顔が良くても食えない奴は多い、そういう奴が事務所に内緒で働く店だ。ちなみに今兄さんにショットガンかましている子はインスタ10万で酒を注いでる子はCM2本持ちだ」

 

 食えないとは一体?

 

「それはまた……」

「ここは会員制だからバレるリスクも少ない。意外とこういう店は多いんだ」

「その感じ割と通ってる感じですね」

「まぁな。俺可愛い女の子は大好きだから」

 

 姫川さんはそういうと傍に来たインスタ10万の女の子の頭撫でた。

 

「結局俺らは口の堅い同業者としか遊べないからな共演者と色恋も面倒が多いし、カジュアルに遊ぶならこういう場所が丁度良い訳だ」

 

 なるほどな、俺も遊びに行くならこういうお店を探すか

 気が付いたら、手元のコップが空になっていた。

 酒は……流石にまずいから大人しくオレンジジュースにしておこう

 

「オレンジジュースください」

「おっけ~」

 

 ノリの軽い事で

 

「おい、姫川……カミキの奴だが馬鹿強いぞ」

 

 金田一さんがそんな事を言うものだから、カミキさんの方を見るとテーブルには空っぽになったボトルが既に何本もあり、今も手に持ったグラスをクピクピと美味しそうに飲んでいた。

 表情は何時もと変わらず微笑を浮かべてキャストの女の子と楽しく談笑している。

 しかし、カミキさんを潰す為に金田一さんも細工をして飲んではいたものの、先に潰れてしまったようだ。

 

「お前もカミキを潰すのに協力しろぉーここまでお前を育ててやったんだ! お前も飲めぇ」

「分かりましたっと」

 

 金田一さんと姫川さんのやり取りを見るに一般的な関係ではなさそうだ。

 

「そういえば2人はどういう関係なんですか?」

「ああ……俺はと言うか、俺の両親が劇団員でその関係で小さい時から両親に劇団に連れて行ってもらってたんだ。その時から俺は兄さんに面倒を見て貰っていた訳なんだが……俺が劇団に入って1年後に兄さんが辞めてしまった後は金田一さんに何かと面倒を見て貰っていたんだ」

 

 カミキさんが今31歳で姫川さんが20歳だから、年の差11歳でカミキさんが劇団を辞めたのが15歳の時だからそこから1年引くと姫川さんは3歳ぐらいから役者になったのか……

 俺が五反田監督の伝手でやり始めたのが4歳ぐらいだったから、今にして思えば役者としてのスタートが異様に早いな

 そんな事を考えていた時だった。

 

「これは俺の持論だが……」

 

 金田一さんは徐にそう言った。

 

「欠けている奴は良い。欠けている部分を求めるように技術を吸収していく……姫川がまさにそうだった」

「人聞きの悪い」

「だってそうだろうが、それに星野お前もだ。程度の差はあれどお前たちの芝居は似ている。欠けてる人間の演技だ」

「じゃあ金田一さんからみてカミキさんはどうでしたか?」

 

 金田一さんはカミキさんをチラッと見てから答えた。

 

「あいつは欠けていると言うよりもそもそもがマトモじゃないし、真人間の振りもしない。自分の主義で生きてる人間だ。だからこそあいつには魅力がある。外見が良いだけじゃ女は寄って来ないが、そこに加えてカミキには”色気”がある。現に見て見ろキャスト達がカミキにアピールし始めてる」

 

 アピールどころからカミキさんに抱き着いていたし、カミキさんも抱き着いてる女の子の頭を撫でていた。

 ただ酒飲んでいるだけなのにこの人は息を吸うように女性を落としに行ってしまう

 

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