カミキヒカルになりました。(本編完結)   作:だめねこ

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第63話

 とうとう宮崎に行く日になった。

 行くメンバーは『二代目B小町』のメンバーは勿論として斎藤夫婦と家にいてもやる事が無いアイとゆらさんが居る以上カミキプロダクションから四条みゆさんと娘のツクヨミとウズメも来ていた。

 

「大人数になったな……」

 

 俺がぽつりと漏らすとツクヨミが耳ざとく拾って来た。

 

「陰キャだからアクアは落ち着かないのかなー? 私が手でも握ってあげようか?」

「お姉ちゃん!? アクアさんに失礼だよ!」

 

 良くあんな小さい声が聞こえたと思いつつ、生意気なツクヨミを見るとニヤニヤしていた。

 ま、ツクヨミの事に関しては何時もの事だから気にすることも無いけれど……

 

「……どうしたツクヨミ? 初めて飛行機に乗るからビビったのか? 素直に怖いから手を握ってくださいと言えば考えてやるけど?」

「はあ? べ、別にビビッて無いし!」

 

 とはいうもののツクヨミはどこかソワソワして落ち着ついておらず、反対に妹のウズメは困った表情をしていた。

 

「……お姉ちゃん、私はちょっと怖いから手を握って欲しい」

「……しょうがないわね~」

 

 みゆさんの所は姉と妹の立場が逆転しているのは何時もの事だった。

 

「ごめんねアクア君……いつもツクヨミが迷惑をかけて」

「いえ、もう慣れたものですよ」

 

 たまに物凄くイラっと来るが結局は子供のやる事だし、そこまで気にはしていないが、それにしても他の子達はかなり大人しいのに何故ツクヨミだけはこんなにお転婆なのだろうか?

 

「アクア君ごめんね。この子この間ロードショーでやってた『ファイナル・デスティネーション』を見てからちょっと飛行機に苦手意識があるのよ」

「それは……一作目ですか?」

「一作目よ」

 

 よりによって、何故飛行機事故が起きる一作目を見てしまったのだろうか?

 それを踏まえてツクヨミを観察すると、額から汗を流しており、目も忙しなく泳いでいた。

 今日ぐらいは生意気な事を言っても、寛大な心で許してやろうとちょっとだけ思った。

 

「じゃあ、そろそろ時間だから皆行くわよ!」

 

 ミヤコさんの号令の元飛行機に乗り込んだ。

 

 席順は出来れば三列の席があれば良かったのだけど……無かった為、かなとMEMちょ、あかねとルビー、ゆらさんとみゆさん、斎藤夫妻、ウズメとツクヨミ、アイと俺になった。

 

 特に映画のような事が起る訳も無く、無事に宮崎に到着した。

 

 アクアに転生してから、初めて宮崎に来るがなんだか不思議な気分である。

 

 特に調べた訳では無かったけど、そう言えばゴローの死体って見つかって居なかった気がするけれど……いまだにあの山の中にあるのだろうか?

 そんな事を考えている時だった。

 

「ねぇねぇ、アクアこれ見て!」

 

 アイが自分のスマホの画面をこっちに向けていたので何かと思えば……

 

「確かこの間ニュースで話題になっていたテイラーだっけ? それがどうかしたのか?」

「そうそう、このディナー? って人なんだけどアメリカの有名な俳優さんらしくてね。もしかしたら……ヒカル君に何か関係があるんじゃないかって思ったの!」

「いや、流石にそれは無いと思うぞ」

「そうかな~? もしかしたらヒカル君が出る映画に出演する人かも知れないよ?」

「……例え出たとしても、大金を得たのはテイラーだからカミキさんには関係ないと思うけどな」

「確かにそうなんだけど……ヒカル君が勝たせてあげたんじゃないか?」

「アイ……スロットは設定と打つ人の腕が無いと勝てないぞ?」

「へぇーそうなんだ。……ところで何でアクアがそんな事を知っているのかな?」

 

 あ、しまった。

 高校生の俺が知っているのは不自然だったか……

 

「そう言ったのはユーチューブで良く流れているから、暇つぶしに見ていただけだ」

「……うーん、なるほどねー! アクアは実際にやっていないよね?」

 

 アイは疑う目で俺の事を見ているが……今は勿論転生前のゴローの時もそういったギャンブルはやってはいない

 

「勿論やってはいないし、する気もないぞ」

「……なら、良いよ」

 

 あんまりきわどい事を言うのは控えるようにしよう

 

 そんな事もあり、飛行機は宮崎に着き早速レンタカーを二台借りて、高千穂に向かった。

 

 飛行機の時もそうだったけど、皆静に過ごしておりツクヨミも当初は完全にビビッていたけれど、気が付いたら鼻提灯を膨らませながら爆睡していたが、そんなツクヨミの様子をウズメはニコニコしながら眺めていた。

 この姉妹は本当に逆だと思う。

 

 そして、高千穂に着くと大き目なサングラスに長い黒髪を後ろで結んでいる美女がいた。

 

「いらっしゃい高千穂へ! 私は映像Dのアネモネって言います」

「アネモネ!」

「MEMちょおひさー!」

 

 アネモネさんとMEMちょは会うなりお互いハイタッチで挨拶を交わした。

 

 MEMちょとのやり取りを見る限り大分仲が良いみたいだから失礼の無いようにしないとな

 

「この度はお忙しい中こんな田舎にわざわざ来て頂いて!」

 

 アネモネさんはそう言うと一護社長とミヤコさんに挨拶し始めた。

 

「いえいえ……」

「それではよろしくお願いします」

 

 そんな中周りを見渡すも俺が知っている景色とは少なからず違いはあったが、そもそも16年も経っているのだから、変わらない方がおかしいのかもしれないな

 俺は元々住んでいた事もあるから、郷愁に駆られるものがあるが、他のみんなは初めて来る場所でもあるので、自然と興味が出るのは分かるが……ルビーだけはそれとは違うように思えた。

 どちらかと言えば俺と同じ郷愁に近いのだろうか?

 ルビーに転生前の事は小さい時に聞いたことがあるが、はぐらされた事もあり改めて問いただしたことは無いが、もしかしたら宮崎出身なのかも知れないな

 

「そうそう、ここ宮崎県高千穂は芸能の神様が祀られてる事でも有名なんだよ」

 

 アネモネさんはそう言うと上を向き思い出すしぐさし始める。

 

「なんて言ったかなぁ~日本神話に出て来る……」

「天之鈿女命で荒立神社に祀られている女神だな」

「あっ知ってる?」

「ええ……」

 

 そりゃ、元々住んでいた訳だから知ってる。

 

「今言われたように歌や芸能の女神様でね。芸能界の人もしょっちゅう東京から来る訳さ、縁起も良いっちゅう事で意外と商談に困らない」

「えー参拝行こ! 話には聞いてたけど私来た事無かったのよね」

「私もちょっと興味あるな」

 

 アネモネさんにそう言われてかなもあかねも興味深々のようだが……

 

「今回はPVの撮影2本ありますんでね! スケジュール詰め詰めなんですわ! 早く衣装に着替えてスタジオに入ってもらいましょう!」

 

 『2代目B小町』にはどうやら自由時間は無いようだ。

 

「アクア助けてー!」

「頑張って来いよー」

 

 かなの助けを求める声にそう返すとメンバーの大半が移動してしまった。

 

「ところでアクアどうするの? もしよかったら私がこの辺の案内してあげようか?」

 

 この場に残っていたアイは楽しそうにそう言った。

 

「そうだなーじゃあ良い機会だから、行きたい所があるんだ」

「アクアは何処に行きたいの?」

「宮崎だよね? 俺とルビーが生まれた場所って……だから、生まれた病院を見てみたいんだ」

 

 ついでに、俺の死んだ場所でもあるんだよな……

 

 

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