アイとルビーが警察署から戻ってくるまでまだ時間が有る訳だし、周りに人もいない事から丁度良い機会なのかもと思い俺は思い切って斎藤社長にある事を聞いて見た。
「斎藤社長……一つ聞きたい事があるんですけど」
「なんだアクア?」
「カミキさんが苺プロに入った理由ってアイを守る為だと思うんですけど、具体的には何て言ってましたか?」
斎藤社長は腕を組み眉間を揉みつつ、何とか思い出そうと頑張っていた。
「あー、そうだなーあんときは確か……『アイの担当医が出産間近で行方不明・・・これは本来ならばあってはならない事です』って言っていた気がするな……何分10年以上も前の事だから事細かに覚えている訳じゃねーけど……」
そうだな。確かに担当医が出産間近に行方不明になるなんて、本来あってはならない事だし、病院側のミスだよな
「アクア……誤解を生まない様に言っておくが、カミキが言いたい事は病院側の医療体制の不備の指摘じゃなくて……
つまり……カミキさんはこの時点でアイが狙われていると思ったのか!?
「その結果……お前たち双子がまだ赤ん坊の時だったから覚えていないだろうがリョースケのクソ野郎がアイを殺しに家に来たんだが、まーカミキが居たおかげで怪我も無く無事で良かったぜ」
ああ、初めてカミキさんと会った日は衝撃的過ぎて未だに忘れられない
裸のアイが上半身裸のカミキさんに抱き締められて一緒のベットに寝ていたのだから、俺とルビーは思わず凝視してしまったが……恐らくカミキさんは気が付いていないだろう
「後はアイがインフルエンザになった時に来た半グレみたいな奴も居たけど、一発でのしちゃったから結局は何も聞けなかったし……」
半グレかどうかは別として相手もヤクザみたいな見た目をしてる斎藤社長には言われたくは無いだろうな
「……一つ疑問なんですけど、斎藤社長は格闘技か何かやって居たんですか?」
「……いや、やってないが何でだ?」
こっちが聞きてーよ! 何で自分よりもデカい奴をパンチ一発で仕留められるんだよ!
驚愕の表情を向けるも斎藤社長は本当に分かっていないようで腕を組んで困惑していた。
そんな事を話していたらようやくミヤコさん・アイ・ルビーの三人が帰って来た。
「あーアイもルビーも災難だったな。とりあえず一旦宿に戻って休め。ミヤコもご苦労だった」
「うん……じゃあ、私部屋に戻るね」
そう言うとルビーはトボトボと部屋に行ってしまった。
今この場ではさりなちゃんと呼ぶ訳にはいかないし、かと言って俺がゴローで有る事を伝える事も出来ない
今しばらくは様子を見て、頃合いを見て告げるべきだな
「ルビーの事は私に任せて! ミヤコさんとアクアと佐藤社長も今日はありがとね」
「ああ、じゃあルビーの事頼む」
「何かあったらすぐに連絡してねアイさん」
「俺は斎藤だっつーの!」
アイと斎藤社長の何時ものやり取りを見て思ったが……この何気ないやり取りこそが平穏の証なのだろう。
ま、復讐相手はもういないのだから、ルビーに関しては撮影の合間にでも、カミングアウトすれば良いだろう思っていたのだが……
しかし、撮影が忙しすぎてそんな暇は全く無かった。
考えてみたらメンバー5人の個人パートの撮影もあるし、年長であるMEMとゆらさんの撮影を早い時間で終わらす為にも余計な時間をかける訳に行かない為、常に神経を注いでいるのだ。
だから撮影が終われば皆疲れ切っているので、少しでも体力の回復を図るべくすぐさま宿に戻って眠ってしまうので、その後に時間が取れるハズも無く。
漸く撮影も終わって、自由時間になったから大丈夫だろうと思っていたのだが、世の中そんなに甘く無く……
まず、ルビーの近くには常にアイがおり、2人っきりになる事が出来なかった。
そして、俺自身もかなとあかねの二人の彼氏で有る為、彼女達を労うのは当然の事だった。
そうこうしているとツクヨミからは早く行けと急かされるが、流石にそんなタイミングで言える訳も無く……気が付いたら、今は帰りの飛行機の中であった。
飛行機内では大体のメンツがお疲れの為、眠っていた。
ツクヨミはやっぱり飛行機にビビってる為、落ち着かない様子で深呼吸を繰り返している。
俺自身やれる事なんて全く無いので、退屈しのぎにスマホでニュースを見ていたら”ラスベガスドリーム”なる見出しのニュースがあった。
そう言えば宮崎に行く前にもスロットで大当たりをした人が居た事を思い出した。
興味本位で”ラスベガスドリーム”のニュースを見て見るとどっかで見た事があるような名だたる俳優の名前が5人上がっており、いずれも何十憶も一夜にして稼いでいたようだった。
「こいつら……もしや俺の幸運を吸い取っているんじゃないだろうな?」
思わずそんな事を口からこぼしてしまうぐらいには、宮崎旅行は散々だったから、八つ当たりとは思いつつもつい言ってしまった。
そう思いつつも何か別のニュースは無いかと読み続けていくと今度は”ディーラーが有利のルーレットにおいてバカ勝ちをしている金髪の美少女!?” という如何にも頭の悪い見出しがあった。
カジノのルーレットでバカ勝ちなんてことは不可能である。
ディーラーですら狙った目に入れる事は不可能なのだ。
しかし、当てる事が難しいかと言われれば実はそういう訳では無いが、それでもルーレットで勝つとなるとそれは至難の業であるとし言えないだろう……
だが、記事に書かれている金髪の美少女はディーラーが玉を投げた後に一点賭けの36倍を当て続けているようで、この五日の間で既に何十億も稼いでいるようだ
「もしや……これはカミキさんなんじゃ?」
正面から写っている画像があり、恐る恐るその画像を見て見ると……長いゆるふわのロングの髪を靡かせた絶世の美少女に扮したカミキさんだった。