カミキヒカルになりました。(本編完結)   作:だめねこ

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第68話

 宮崎で『2代目B小町』のMV撮影が終わって気が付いたら半年が経過していた。

 当然俺とルビーとアイは進級して2年生となり、あかねとかなは3年生である。

 芸能界で働いている以上一般の高校生と比べて忙しいのは仕方が無いのだが……流石にこれは忙しすぎる!

 それと言うのも『東ブレ』の評価が例の方々のおかげで、大変良かった為に俺個人の仕事が馬鹿みたいに増えてしまった。

 今ではネットTVのバラエティ番組でレギュラーの座を獲得してしまい、ドラマにも出演することになったが幸いな事に脇役であった為、長時間の拘束は無く出番までゆっくり寝ている事も出来るから、忙しくはあるものの切羽詰まるほどでは無いのだが、空いてる時間はモデルの仕事もあるし……お得意さんの四条社長からの仕事は断れないのだ。

 ……こんなに忙しくなって初めて、カミキさんの気持ちが良く分かった。

 『脇役で良い』ではなくて、あくまで『脇役が良い』のだ。

 何せモデル業だけで食っていける程稼げているのに、ドラマの主役級なんかやらされたら、休む時間が取れなくなる。

 まさに今俺がそんな状況なのだから、当然……アイの目を盗んでルビーとの話し合いの機会など出来るはずも無く、芸能一家が故に家に帰る=寝るになってしまっていた。

 俺だけが忙しいのなら、なんとしても時間を作って話し合う場を設ける事も出来るが、『2代目B小町』も大変忙しいみたいで、特にMEMなんかは常に他のYouTuberにコラボの打診を行い、企画やら営業やら色々やってくれている。

 そのおかげも有って、5等分とはいえYouTubeの収入は凄まじいものがあったから、MEMだけボーナスが出ており、それも驚く程の金額だった。

 しかし、あかねもかなもゆらさんも負けておらず、三人が三人共役者経験がある為、三人揃ってのドラマの仕事もあるし、あかねは映画の出演もこなして、かなとゆらさんはモデルもやっている。

 そして、肝心かなめのルビーは……

 

「もうやだー! 勉強したくない! 私もみんなと一緒にドラマに出たいのー! 役者やってみたーい!」

「アハハー♪ 何言ってるのルビー? 勉強が出来ないと皆に迷惑かけちゃうんだよ。だからしっかりとやらないとね♪」

 

 学年末の期末テストが赤点では無かったものの、ギリギリだった為……アイと一緒に猛勉強をしていた。

 

「……入学当初はママもおバカキャラだったのに!」

「今ライン超えたからね! そもそも私は現役じゃなくてハンデがある状態だったけど、少しでも時間があれば勉強していたからね!」

 

 涙ぐましい努力をしていたアイだからこそ言えるセリフだ。

 入学当初は確かに恥ずかしいレベルの残念さだったが、テストの点は徐々に上がって行き、学期末の期末テストではクラスで1位になったそうだ。

 相変わらず人の名前を覚えるのは苦手なようだけど、元アイドルだけあり運動能力や興味のある事に関しての記憶力は出鱈目であるし、未だに『B小町』の歌詞や振り付けは全部覚えているのだ。

 

「良いルビー? 私は学歴に関しては特にあーだこーだは言わないし大学に行くべきだとかも思ってはいないよ? だけれど、私は……アクアやルビーの親だから、選択肢は与えないといけないなっとは思ってるんだ」

「……そもそも、頭が良い芸能人っているのかなー?」

「忘れちゃいけないけど……ヒカル君は東大卒だよ」

 

 アイの言葉にふと違和感を感じた。

 

 俺は元国立医大卒だし、そもそも転生者であるから勉強に関しては今のところ学校の授業だけで補えているが……そもそもなんのアドバンテージも無い人が塾に行かず学校の授業だけで勉学に至っては参考書を読む程度でしかやっておらず、当時最も忙しかった『B小町』のマネージャーをやりながら事務作業にモデル業もこなしあまつさえ、子供の面倒をみていた人が東大に現役で合格なんか出来るものだろうか?

 今の俺の状況よりもさらに過酷で、愛人達も居た訳だし……もしや、カミキさんも転生者だったりするのだろうか? 

 ……するかなぁ?

 物心ついた時から過酷な状況の中で生きて来た人だから、考え方は普通じゃ無いのは仕方ないけど……俺がもしカミキさんと同じスタート地点から人生を始めたらどっかしらで死んでいるような気がしてならない

 そんな事を考えていた時だった。

 

 ピンポーンっと家のインターホンが鳴り響いた瞬間

 ルビーの横で勉強を教えていたはずのアイがいきなり立ち上がり玄関に猛ダッシュした。

 

 その光景に俺とルビーは顔を合わせお互い頷くと玄関に向かった。

 

 俺とルビーが玄関に辿り着くのとアイがドアを開けるのは同時であり、そこに居た人物はやはり……

 

「ヒカル君だ!!!」

「ただいま帰りました。アイさんにアクアとルビーもお久しぶりですね」

 

 案の定カミキさんに抱き着くどころか、両足を腰に回してしがみついて離れない、そんなアイを困った表情をしつつもどこか嬉しそうに抱きかかえているカミキさんだった。

 

 うーん、やっぱり転生者っぽく無いんだよなぁ~

 もし、カミキさんが転生者だったら、もっと自由に生きていると思うし、違う気がする。

 やっぱり過酷な状況で生まれたから、必然的に能力が高いだけな気がする。

 俺はそう思う事にした。

 

「いやーラスベガスで大分稼げましたから、アクアとルビーにこれお小遣いです」

 

 カミキさんはそう言うと札束を俺とルビーにくれた。

 

「え~!? カミキさんありがとう!」

「これ……100万ですか?」

「そうですよ~スロットとかブラックジャックなど色々ありましたが、やっぱりルーレットが一番楽ですね」

 

 それは同意しかねるな

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