カミキさんが家に来た事により空気が一瞬で和らいだ。
「ねぇヒカル君今日は泊まって行く?」
「そうですね~一応事務所の引継ぎもありますけど、明日以降で問題ないでしょうし……今日は泊まっていきます」
「やった!」
カミキさんが泊まる!?
となれば当然ルビーの監視から外れる訳だから、千載一遇のチャンス到来!
「……ちなみに余っている布団ってありましたっけ?」
「私と一緒のベットで寝れば良いじゃん♪」
まぁーアイとカミキさんは夫婦な訳だから問題は無いが、程々にして欲しいものだ。
「ちなみに夕食は食べましたか?……私はまだなんですよ」
「じゃあ私が作るから、ヒカル君ちょっと待ってて」
「分かりました」
アイはそう言うとパタパタとキッチンに駆け込んだ。
チラッと時間を見ると21時を過ぎており、夕食には少し遅いけど久しぶりに家族揃っての食事だ。
テーブルの席にちょこんと座るカミキさんを見ると……髪の毛も長い事もあり、本当に美少女にしか見えないな
「ところでカミキさん映画の撮影でしたけど、なんのジャンル何ですか?」
俺がそう言うとルビーも反応を示した。
「私も聞きたーい」
「あ~ちょっとした恋愛物ですね」
恋愛物!? カミキさんが恋愛物なんて、劇薬以外の何ものでも無いと思うが……果たして大丈夫なのだろうか?
俺がそんな事を考えていたら、ルビーもマズイ事を想像してしまったようで、引いてしまっていた。
「カミキさん……現地妻とか出来てはいないですよね?」
思わず聞いてしまった俺だが、タイミングが悪かった。
キッチンで料理を作って居る以上位置関係は物凄く悪かった。
キッチンとカミキさんがいるテーブルは極めて近い為、アイにも勿論会話は聞かれている訳で、じ~っとこちらに目を向けているが幸いカミキさんの真後ろにアイがいるので、カミキさんからはアイの表情は見れていないが、俺らからはアイの表情は丸見えな訳で……正直かなり怖い
「アクアの言いたい事は分かりますし、女たらしの私が言っても説得力は有りませんが、今回はハリウッドに呼ばれた訳なので、あっちではそう言った事は自重してますし、私にも好みのタイプはありますからね」
現地妻は作って居ない事にアイは瞬時にニコニコし始めたが、そう言えばカミキさんのタイプって重たい女性以外に何かあるのか?
「そうなんですか? てっきり女性であれば誰でも良いのかと思ってました。ちなみにどういった女性がタイプなんですか?」
「顔が良いのは当然なんですが……」
「うわ~まさかのルッキズム!」
ルビーはドン引きし始めたが、当のアイは鼻高々であった。
まーアイは可愛いからな
しかし、ここで止まらないのがカミキさんの恐ろしい部分であり、平然と続けて言った。
「髪の毛も短いよりは長い方が好きですね」
アイはグッとガッツポーズをし始める。
「出来れば私よりも身長が高くて……」
カミキさんの身長はアイと同じ位だから雲行きが怪しくなって来た。
「後は胸が大きいのが良いですね」
胸? 胸は……身長に対してはアイは意外と大きい方だけど、流石に親のサイズを把握している訳で無いからこれは分からんな
アイも自身の胸を見下ろしているが、判断が着かない様子だった。
そんな事を考えていたら、ルビーからある名前が飛んできた。
「あ、フリルちゃんとみなみちゃんは条件に合致しているね」
「高峯さんとかでも良かったのに何故わざわざそっちの名前を出した!?」
「ひ、ヒカル君私だっておっぱい大きいよ……大きいよね?」
「みなみちゃんはGだよママ!」
「……Gは流石に勝てないなぁ~」
何故追い打ちをかけるかな?
ルビーの言葉のナイフによりダメージを受けたアイではあるものの、手の動きだけは止まらずに夕食は完成したのだった。
そして、俺とルビーは失念していた。
カミキさんが居る時に夕食を食べると言う事は必然的に……
「ヒカル君あ~んして♡」
「ハイあ~ん」
アイはカミキさんの真横に陣取りあ~んを強請るし、カミキさんもそれを拒否る事無く、普通に対応している。
いや、甘いよこの空間! 甘すぎるよ!
「……私だけ、独り身……大好きな先生は死んじゃったし……」
隣に座って食べているルビーから蚊の鳴くような小さい声で寂しそうに声が漏れた。
今日中にどうにかしないとルビーが……いや、さりなちゃんがヤバそうだ!
目の前でいちゃついてる夫婦の事は……一先ず置いといて、今この場で約束をしなければ!
「ルビーこの後時間あるか? 少し話たい事があるから後で俺の部屋に来て欲しい」
「えっ? まぁー良いけど……」
何とかルビーに話を持って行くことが出来そうだし、カミキさんとアイはしばらく部屋から出る事は無いから問題は無いだろう
夕食が終わった後アイはソワソワしながら時間を気にしていた。
「あ~洗い物は俺がやって置くから……」
「やっぱり持つべきものは愛する家族だね♪ ヒカル君一緒にお風呂に入ろ♡」
「……じゃあ、アクアお願いしますね」
アイに手を引っ張られて、カミキさんは風呂場に強制連行されたが恐らくすぐには出てこないだろう
「ルビー先に部屋に行って待っててくれ」
「……私も洗い物手伝うよ。早く寝たいしね」
「そうか」
洗い物の量は多く無く、2人で片付けた事もありすぐに終わった。
「じゃあ、部屋に行くぞ」
「私はここでも良いけど……」
「頼む
「!?????」
俺がルビーをそう呼ぶと物凄く驚いた様子でこっちを見るものの、素直に部屋に着いてきてくれた。
この時の俺はルビー=さりなちゃんと認識はしていたけれどそれを知った後もルビーを性的に見る事は無かったし、かなやあかねとも上手くやっていた事もあったから性欲も無かった。
だが、それはあくまで俺の話で合って、ルビーは違った様だった。
しかし、それも当然の筈だ。
性欲なんてのは男も女も関係なく有って然るべきものだ。
俺自身も二人と付き合うまで発散するレベルでは無かったが、あるにはあった訳だ。
なら、当然ルビーだって有ってもおかしくない筈だ。
しかし、一つ屋根の下に暮らしているのにそう言った行為をしている風には見えなかった事から、発散する程のレベルでは無かったのかもしれないと俺自身勝手にそう思っていた。
自身に置き換えれば分かるはずだった。
タガが外れるまでは問題は無いが、外れれば最後だし……そもそもカミキさんは間違いなく強いし、アイもやれるときはやるタイプなのだ。
そんな二人の息子と娘で有る以上バラしたらどうなるか? そもそも同じ部屋に一緒に居る訳でベッドもあれば何も起きない事なんて有る訳も無く……
結果を言えば当然俺は頭を抱える事をしてしまった訳だし、ルビーは鼻提灯とよだれを垂らして寝ていた。
いや、本当にどうしよう……