カミキヒカルになりました。(本編完結)   作:だめねこ

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第70話

 困った……

 

「お兄ちゃんアーンやって♡」

「……あーん」

 

 我が家の食卓が異常な事になってしまった。

 ……原因は分かっている。

 俺がルビーを抱いてしまったからだ。

 今までと違い、ルビーは俺にべったりくっ付いて離れないどころか、俺の首に腕を回して膝の上に横向きに座って可愛らしく口を開けてアーンを強請っている。

 そして、俺はルビーに言われるがまま、ご飯を運んでいた。

 

「ねぇアク「アイさんあーん」……あーん。ムグムグ」

「次は何を食べますかアイさん?」

「……じゃあ、ソーセージ」

「分かりました」

 

 対面ではアイが問いただそうとするたびに、カミキさんがアーンをしてアイを物理的に止めていた。

 いや、助かるには助かるんだが……

 

 カミキさんはそう言うとソーセージを咥えて、アイに向き直った。

 

「ふぁいほうぞ(はい、どうぞ)」

 

「ええ~? 良いの? 行くよヒカル君♡」

 

 カミキさんが体を張ってアイの動きを止めている。

 しかし、それを子供の前でやるのはいかがなものであるのだが……今回ばかりは助かっている。

 

「……カミキさんが今ママにやってるの私にもやって♡」

 

 訂正……何一つ助かっていなかった。

 

 今日の我が家の食卓は異常に淫靡なものであった。

 

 

 

 

 

 

 朝食が終わればやるべき事は一つ

 

「あ、今日は朝から仕事だから行ってくる」

 

 俺は仕事を盾にして逃げる事は出来る。

 

「私とルビーは学校に行かないとね」

「う、うん……そうだね」

 

 しかし、ルビーはアイから逃げる事は出来ずに肩を掴まれてしまった。

 アイは仕事を控えめにして、学業を優先しているから基本的に休む事はあんまり無いし、あったとしても放課後に仕事を入れてるから問題は無い

 ……せめてクラスだけでも違えば良いものの、芸能科は進級してもクラス変えがなかったので、仕事の無い日のルビーは四六時中アイと一緒に居る事になるのだ。

 俺が言うのもなんだけど……ルビー強く生きてくれ!

 

「アイさん……あまりルビーを責めないでください」

「うっ……わかってはいるんだけど、でも……兄妹でなんてインモラルだよ

「……そうですね。でも、私もアイさんもアクアやルビーの前でセックスは流石にしてはいませんが、それを連想させるような事をしていた訳なので、遅かれ早かれこういった事になっていたと思いますよ?」

「……確かにそうだね」

「なので、ルールを決めましょう。アクアとルビー……ハッキリ言いますがやるなとは言いません。しかし、避妊は絶対にするようにお願いします。もし作りたいと言うのであれば……」

 

 なんだろう……とても嫌な予感がするのに、ルビーだけは満面の笑みになっていた。

 

「22歳過ぎてから、外国で出産してくださいね。日本だと完全にアウトなので……」

「流石カミキさん大好き!」

「ルビーだめ! ヒカル君は渡さないよ!」

「そっちかよ!」

 

 カミキさんのあまりにあんまりな言い分にルビーは嬉しさのあまりカミキさんに抱き着いたが、アイはそれを奪いに来たと思い引きはがそうとした。

 そして、思わず突っ込んでしまった俺は悪くないと思いたいけど……今回は俺が悪いな

 

 

「そうだ。アクア現場は何処ですか? 送りますよ」

「お願いします」

 

 とりあえず、あかねとかなにどう言い訳をするかカミキさんに相談しなくては……

 

 

 

 カミキさんのベンツに俺は当然助手席に座る。

 カミキさんは車の周囲を確認してから運転席に座り、バックミラーやサイドミラーをゆっくり確認していた。

 

 気まずい

 果たして自分の父親に二股問題の解決方法を相談する息子がどれほどいるのだろうか?

 とはいえ、時間は少なからずあったとはいえ俺には解決方法は全く浮かばなかった……本当にどうすれば良いのやら

 

「カミキさん俺どうすれば良いですかね?」

 

 自分で言ってても思うがマジでクソみたいな発言ではあったが、カミキさんは困った顔をしながらも答えてくれた。

 

「前提条件として、まずアクアは性欲は強い方ですか?」

「いや、え? それが何か関係あるのか?」

 

 いきなり何言ってんだこいつ?

 

「……今から言うことは本当に、本当に親として……いえ、人としてどうかと思う方法ではありますが、丸く収める方法は有ります」

「それは一体?」

「アクアが二人同時に抱いてもまだやり足りないのであれば……そのままイカせ続けて言質を取る方法があります。無理なら一人づつでも構いません」

「方法が最低だな!」

「……正常な判断が出来ない位にやらなければいけないので、おすすめは出来ません……後は本当の本当に最後の手段ですが、わざと刺されて相手の罪悪感に漬け込むって手もあります」

「いや、刺されるってそんな事……」

 

 俺が難色を示した瞬間だった。

 

 カミキさんはワイシャツをめくり腹を見せた。

 

「……相手に対して悪い事をしている自覚はありましたが、手段を選んでいる余裕がない時はこの手に限ります」

 

 カミキさんの腹には大小様々刺された傷が残っていた。

 

「口八丁でどうにかなれば良かったのですが、どうにもならない事は多々ありますので……」

 

 そ、そこまでやるのか!?

 

「捨てて惜しくないなら構いませんが、責任を取るって事は相手の憎しみも一心に受け止めないといけませんからね」

 

 カミキさんはそう言うとワイシャツを戻した。

 俺に……刺される覚悟は果たしてあるのだろうか?

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