カミキヒカルになりました。(本編完結)   作:だめねこ

184 / 220
第77話

 最近のルビーはおかしい!

 

 壱護さんの入れ知恵もあるにはあるのだが……ADの吉住さんを気遣っている。

 元々さりなちゃんの時から優しいけれど、あの漆原Dに怒られてる所を目撃した所為かどうにも入れ込んでいるような気がする。

 

 昔ながらの業界人である漆原Dはパワハラ・モラハラは当たり前だし、何より平然と人を見下しているところがあったが故に問題を起こしてクビになった事がある人間だ。

 

 なんだって俺の時はこんなにトラブルが舞い込んで来るのだろうか?

 今はルビーも同じ番組に居る訳だし、本当に何事も無く終わってくれれば良いのだけれど……何かあってからだと遅いからカミキさんに相談するとしよう

 

 

 

「カミキさーん」

 

 カミキさんの事務所に行くとそこには……ソファーに座ってるカミキさんの膝の上でツクヨミがソフトクリームを美味しそうにぺろぺろ食べていた。

 

「あ、インモラル次男だ」

「誰がインモラル次男だ!」

「……ツクヨミ? アクアはインモラルではありますが長男ですよ?」

「いや、カミキさん鏡見た事ある? 大輝お兄ちゃんと顔そっくりだよ」

「そうですかね? どちらかと言えばアクアとそっくりなんですけど」

 

 ツクヨミにそっくりと言われて、否定はせずされど肯定もしないで本当にそっくりな俺を引き合いにだしたが、自分に似ていると言われた所為か物凄く嬉しそうだった。

 

「……姫川さんが俺の異母兄弟だって事は知ってるから」

「何故!? 大輝君にもバレていない筈なのに……」

「いや、姫川さんは基本ぼ~っとしているから、鈍感というか……」

「大輝君の悪口は例えアクアでも許しませんよ?」

 

 長男への愛が強すぎないかカミキさん?

 

「いや、そんなことよりも相談したい事があるんだけど?」

「私にとってはかなり重大な事なんですが……ま、良いでしょう。何かありましたか?」

「実はルビーの様子がおかしくて……」

「え!? もしや……妊娠したんですか? ちゃんと避妊はしなさいと言ったのに……」

 

 いや、確かにやる事やっているけど……ちゃんと避妊はしているから、今にも泣きそうな目で俺を見るな!

 あと、ツクヨミお前も自分の体を抱きしめるな! ルビーは特別枠で合って他の子は絶対にそういう関係にはならないから!

 

「そうじゃない! 実はルビーが番組のADにやたらと気を遣っているからどうしてなのかが気になって、カミキさんに聞きに来たんだ」

 

 俺がそう言うとツクヨミはつまらなそうにして、冷蔵庫に行き新しいアイスを取り出して再度カミキさんの膝上に座って食べは始めた。そしてカミキさんはほっとしたのかにこやかに答えようとして、一回首を傾げた。

 

「どうかしましたか?」

「……いえ、そもそも番組を作る上で、出演者とはいえ大きな顔をしていたらすぐ干されちゃいますよ? だから、ルビーの対応は褒められこそすれ指摘する部分はありませんけど……アクアも傲慢な態度はいけません。カメラが回っている時はキャラがありますから仕方ありませんけど、終わった後は必ず挨拶をしっかりするのと後出来るなら、あらかじめ打ち合わせもしておくのがベストですね」

「ああ、気を付けるよ。ところで漆原Dって知ってる?」

「……漆原Dですか? うーん、話位は聞いた事がありますけど、私はバラエティ番組に出た事はありませんから、実際に一緒の現場で働いた事はありません」

「そっか……ちなみにどんな話を聞いてたんですか?」

「あー元々キー局の社員だったのは知っていますか?」

「それなら知ってるし、そこで色々と問題を起こしてクビになった事も知ってる」

「つまり……クズ野郎って事ね」

 

 ツクヨミは我が意を得たりとしたり顔だけど……ちょっと黙っててくれないか? 

 

「あ~ツクヨミ少しの間静かにしててくださいね。そしたら今日の夕飯はツクヨミの好物を作ってあげますから」

「分かったよ」

 

 ツクヨミはそういうとアイスでお腹がいっぱいになったのかカミキさんの膝に頭を乗せて寝始めた。

 そんなツクヨミの頭を撫でながらカミキさんは話始めた。

「漆原がクビになった理由はパワハラだけが原因じゃありません。多くのテレビマンに言える事なんですが……面白ければ何をやっても許されると思ってる人が本当に多くて、労働時間やコンプラなんか気にもしていない時代です。だからこそ、面白いものを取る為にどの番組よりも、より過激な物を作っていた訳です。なので、今の様にコンプラに厳しい時代になってしまった以上過激な番組なんて放送出来るはず無く、そうなれば漆原みたいな過激な企画を出してた人たちは軒並みクビにされてしまったんです」

 

 カミキさんはそう言うとどこか寂しそうに言った。

 

「時代に生かされて、時代に殺されるのが芸能界ですから、それは番組制作陣も例外ではありません」

「だけどそれは上手く適応出来なかった人が悪いんじゃないのか?」

「そうですね。アクアの言う通り適応出来なかった人が悪いのかもしれません。何せ楽な方向に舵を切っていた訳ですからね。簡単な話……人を切っていた側の人間が切られただけの話です。……以前アクアに言いましたが人は一度でも逃げたら、同じ状況に陥れば必ず逃げてしまうものです。……だからこそ自分の主義が必要になってきます」

「自分の主義?」

「譲れない一線と言えばカッコいいですけれど、要は何処まで妥協出来るか、または妥協するかを決めておけば良いのです。そこの軸がブレない限りは大体の事は上手く行きますよ」

「競馬とかも?」

「競馬は唯の勘ですから、私の真似をしていくら額を指で叩いたところで出来る事ではありませんから、絶対に真似なんかしないでください。私に言う資格はありませんが、結局の所額に汗水流して働くのが一番なんですよ」

 

 カミキさんはそういうが……今も競馬の回でネット上では議論が白熱しているのだ。

 

 その所為か、競馬場にて額を叩きながら馬券を買ってみたでYouTuberが何人も大負けしている動画が多数上がっていた。

 

「とりあえず、ルビーには関してはしばらく様子見してます」

「それは妊娠のですか?」

「違うわ!」

 

 そんな事をカミキさんに相談してから数日後

 

 深堀れ☆ワンチャンでコスプレイヤーの回が始まり、そして番組は炎上した。

 

 ルビーが一体何でこんな事を仕込んだのか理由は分からなかったけど、炎上騒動が終わった後、俺はその時初めてルビーの闇を垣間見た気がした。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。