それは起こるべくして起こった。
「カミキさん役者の仕事なんか無いの!? 私ここ最近アイドルとモデルの仕事しかしてないんだけど! カミキさんハリウッドデビューしたんだから何かオファーとか無い訳!?」
今現在カミキさんの事務所の屋上でみんなと焼肉パーティーを行っている時にアイが飲んでいたカルアミルクをかなが間違って飲んでしまったが故に爆発してしまった。
「ゆらさ~んカルアミルクってクーラーボックス内にまだあったよね?」
「あ~高峯さん達が飲んじゃってもう空っぽですね」
「そんなぁ~」
アイが自分が飲むように用意したカルアミルクは何時の間にか高峯さん達に飲まれており、アイは落ち込んでいた。
「私のカルアミルク……」
「アイさん……カシスオレンジならありますから、これで我慢してください」
「カルアミルク高かったのに……」
端っこの方で落ち込むアイの面倒を見ているゆらさんだけど……アイの方が年上なのに全く威厳が無かった。
というかコップ一杯で完全に泥酔している俺の彼女が問題だ。
据わった目でカミキさんを思いっきり睨んでいるのは彼氏として居た堪れないし、周りの子供達もびっくりしていたが、酔っぱらっているかなはそんな事気にもせず、カミキさんに詰め寄っていた。
「……そうですね。ホラー系のだったらオファーがありますが……」
いや、カミキさんもオファーが来ていたんならかなに回してやれば良いのに……ホラーでもかなだったら問題無くこなせるだろうし……
「何でもやるわよ!」
案の定即答でかなは答えているけど、カミキさんも大分困っていたようだ。
「それが、学校の怪談なんですよ……」
「え!? 何? 学校の怪談? 流石に私も身長は低いけど……小学生は演じられないわよ」
如何にかなが小柄だとはいえ流石に小学生をやるなんてことは無いだろう
「あ~その辺は大丈夫ですよ。配役は女子高生になりますからね」
「なら問題ないわね。で、それで何をためらっていた訳なのよ?」
「あ~今回のオファーは短編ものでして、過去作のリメイクなんですが……」
「もったいぶらずに早く言いなさいよ!」
喋りづらそうにしているカミキさんに対してかなは早く言えとまくし立てて、そしてカミキさんはタイトルを告げた。
何だろう? この光景前にも見た事がある気がするぞ
「過去一で最も怖いと言われた『アサギの呪い』なんですよ」
「『アサギの呪い』って何?」
「こちらです」
カミキさんはそう言うと自身のスマホを操作して、ネットに上がっていた動画を見せた。
「カミキさん私もみるー」
「私もー」
「私にも見せてー」
子供達も瞬時に集まり始めて皆で『アサギの呪い』を見る事になった。
カミキさんは過去一怖いと言っていたが果たしてどれほどのものか……
他の大人組はあまり興味が無い所為か、焼き肉を食べているし……大輝さんに至っては炊飯器からご飯をよそって食べていた。
大輝さん……自分でもご飯よそれるんだなっと感心してしまった。
20分後
「ここここここれやるんですか? カミキさん!」
「女の子が両目潰されて死んじゃったよ!」
「「「「カミキさん怖いよー」」」」
かなとルビーが映像を見終わったらドン引きして、子供達に至ってはわらわらとカミキさんに抱き着き始めた。
かく言う俺も作りものだとは分かってはいるものの所々でビビってしまった。
「正直な話……私も当時はこの話だけはあまりにも怖くて最後まで見れませんでしたが、救いはありませんでしたね」
「あの、これを……リメイクするんですよね? 演者はやっぱり?」
ゆらさんはたどたどしくカミキさんに尋ねるも、カミキさんはハッキリと答えた。
「勿論救いは無いでしょうね」
絶望的な内容だった。
「ちなみにこれはどっちで話が来てますか?」
「殺される女子生徒ですね」
「アサギ役は?」
「私とボスの両方にオファーが来てる。私としてはやって見たいなとは思っている。」
「私も今ならかなちゃんに思うところがあるから良い演技が出来ると思うよ」
アイはグビグビと酒を飲みながら……フリルはカルビをパクパク食べながら答えた。
アイとフリルのどちらかがアサギかぁ……
長い黒髪を前に垂らして、ボロボロの赤い布みたいなのを身に纏って追いかけて来るのか……いや、顔が見えないから誰がやっても同じなんじゃ?
「タイトルが『アサギの呪い』だから私がバッチリ目立って良いんだよねヒカル君?」
そりゃ脅かす役だからバッチリ目立って良いけれど……
「勿論目立っても大丈夫ですよ」
「うん。ヒカル君お墨付きも頂けたし……フリルちゃん私負けないからね!」
アイはそう言いながらフリルの方を見ると……
「それにしても焼き肉にはマヨネーズが合うし、ご飯がすすむ。大輝さんご飯お代わり」
「あ? ああ……わかった」
あの大輝さんが頼まれたからとはいえ、ご飯をよそってあげていた。
その様子をニコニコしながら見ていたカミキさんはと言うと……
「あっタルタルソースも用意してますからお好きなの使ってくださいね」
「「試してみよう」」
この二人意外と仲が良いよな