カミキヒカルになりました。(本編完結)   作:だめねこ

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第81話

「はーいOKでーす。お疲れ様でしたー」

 

 監督の声が現場に響き渡るとスタッフさん達は撤収の準備し始めた。

 

「アクア君この後どうする?」

 

 先ほどまで役に入り込んでいたあかねだったが、撮影終了と共に俺の元にすぐさま駆け寄って、可愛らしく首を傾げていた。

 『今ガチ』から一年以上経過したが公認カップルであるものの、あかねはアイドルなので街中でデートすれば多少は炎上するかと思っていたが意外とそんな事は無く……ネットではアクアそこ代われ! やテディーアクアの分際でとわざわざスレを立てて書かれているが、最終的にはイケメンしか勝たないのよ。この豚共が! と書かれて締められるのがテンプレとなっているのだ。

 害は無いので放置しているのだが……おもちゃにされている気がしてならない

 

「かなももうじき終わるだろうからカフェとかで待とうぜ」

「そうだね!」

 

 カフェで待ってるとラインでメッセージを送るとすぐさま既読が付いた。

 かなも丁度撮影が終わったのか?

 

「どうしたのアクア君?」

「いや、ラインを送ったらすぐに既読が付いたからかなも撮影が終わったようで……」

 

 とあかねに伝えている最中にすぐさま返信が来た。

 

「『20分位で着くから待ってて』って返信来た」 

「そうなの?」

「ま、少し時間もあるしケーキでも食べるか? ここのおすすめはモンブランみたいだぞ」

「じゃ、じゃあ私モンブランにするね」

「分かった。店員呼ぶぞ」

 

 テーブルに備え付けのベルを鳴らすと若い女性の店員がやって来た。

 

「お待たせしました♪ ご注文は何になさいますか?」

「じゃあモンブランのケーキセットを2つお願いします」

「ハイ♪ モンブランのケーキセット2つですね。かしこまりました~♪」

 

 店員さんはそう言うと上機嫌で厨房に消えて行ったが、中での喋り声だけは聞こえていた。

 俺とあかねが座っているところからそれなりに離れているけど、興奮していた所為か声は大きくて俺とあかねにはしっかり聞こえていた。

 そもそも店内にはお客が俺達以外おらず、店内のBGMも決して大きくはなかったせいでもあるが……

 

「キャー苺プロのアクアとあかねが来たわよ! 『今ガチ』の時から思っていたけど……やっぱりアクあかよ! アクあかこそがこの世で一番尊いのよ!」

「うるさいわよ! アクルビが一番に決まってるじゃない! 何せ生まれた時から家族なのよ! 赤の他人とは訳が違うのよ!」

「何言ってるのよ! あの毒舌ツンデレの有馬かながアクアと一緒に『東京ブレイド』で共演したときに魅せた太陽の様に輝いていた姿を忘れたと言うの! あれこそがまさに至高なのよ!」

 

 あかねは兎も角何故かなの名前が出て来るのか不思議でならない

 ルビーは『深堀れ☆ワンチャン』以降双子タレントとしてTVに出演する機会が多いから分かるが……かなに関しては店員さんが言った通り『東京ブレイド』以降はほぼ共演は無く、合っても『深堀れ☆ワンチャン』が炎上した時にリポーターで一回出た位だし……

 

 というか……ここまで俺達の事に世間は関心を寄せている事に正直驚いてしまったが、対面に座っているあかねをチラッと見ると……

 

「……アクア君と私が一番尊いんだ♡」

 

 顔を赤く染めてもじもじしているあかねは可愛らしく呟いていたが、もうすぐかながここに到着する訳だけど……このままここに居ても良いのか正直不安で仕方なかった。

 

 

 しばらくすると、先ほどとは違う女性の店員が注文したモンブランのケーキセットを持って来てくれた。

 

「お待たせしました。ご注文のモンブランのケーキセットが2つになります。それではごゆっくりどうぞ」

 

 俺もあかねも軽くお辞儀をするに留めた。

 というか……声が出なかった。

 

 この人がさっきアクルビが一番だと言っていた人だった。

 

 金髪ロールで勝気な印象が強く、顔だちも整っておりなおかつスタイルも良い

 俺が言えたことでは無いが……こんな人が何故アクルビというインモラルにどっぷりハマっているのか不思議でならない

 

 俺が言えた事では無いのが確かではあるが……

 

「アクア君……ああ言うのが好みなの? 私だって……胸は大きいし、アクア君次第ではもっと大きくなれるよ?」

「いや、もう増えないし増やさないから、そんな事言うな」

「……アクア君信じてるよ。もし増えたら今日の撮影みたいな事が現実で起きる事になるからね」

 

 映像では一体どうなるのか分からないが……最後の方の俺の顔は放心状態だったことは確かだった。

 

 その後ケーキを食べ終わった後にかなと何故か呼んでいないルビーも来てしまい、店員が厨房に引っ込むと再度論争が始まったのは言うまでもなかった。 

 

「何だか……凄かったね」

「ふっふっふ私も人気になったしこれからはガッポリ稼ぐぞー」

「お金は稼げてるんだけど……私は役者としての仕事が欲しいのよ!」

 

 三者三葉の回答ではあったが、俺個人としては今の世間とのズレを何とかしないと致命的な事が起きそうだと思わずにはいられなかった。




アクアとあかねは恐怖心理学入門の撮影
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