マクロスFは2008年4月~の為まだ未放送
「私はマクロス7のPlanet Danceを歌いたいです」
「何それ知らないんだけど?」
あれ? 今の子ってアニメは見ないのか? それともこっちの世界ではもしや放送自体されていなかったのか?
唐突にやらかした感が出てしまい、慌ててケータイでマクロス7を調べて見たら普通に出て来た。
ビビらせるんじゃないよ!?
「カナン今日の夜カラオケに練習も兼ねて行きませんか?」
「……うん、それは良いけどマクロス7って何? バンド名?」
「アニメですね。まー歌がメインなんですけど……ちょっと、欠点がありまして……」
「欠点?」
マクロスFならトライアングラーやライオンがあるからアイドルが歌っても全然問題無いんだけど……マクロス7はロックだからなぁー
アイドルがロックンロールって今の時代どうなんだろう? いや、ロック好きな女子もいる訳だけど……それは、極端な事を言えば好きな男がやっているバンドだからの割合が多いのだ。
夢見る女子は夢見がちな売れないバンドマンに惹かれるのが多いのが世の常だし、仕方がない。
上原パイセンも役者としては売れている訳じゃ無いけれど、女性にはいまだにモテている。
浮気に寛容な愛梨パイセンじゃなかったら、上原パイセンは何時刺されてもおかしくないんだよなぁ~
出来れば上原パイセンには死んでほしくないけど……それは仕方が無いかも知れないな
っと考えすぎてしまった。
「アニメ内で歌われているものがロックなんですよ。まー私達にとっては些細な事ですけどね」
「ロック? アイドルがロック歌うの? カミキはロックを歌うアイドルって誰か知ってる?」
「……ロックンロール系アイドルの誕生ですね!」
「カミキィー考え直してよー」
考え直すも何も完璧で究極のアイドル様を相手にアイドル勝負しても勝てる気がしないんだもん。
歌で勝負するしかないけれど……あんなあざといコミ……いや、アイドルソングと同じ土俵は……ちょっとやだ。
「まーまだ時間はありますから夜カラオケで私が歌いますからそれをカナンが聞いて判断してくださいね」
「……わかったよぅ」
カナンを納得させる為にも、俺も本気でやらなければ……
コミカルソングは絶対ヤダ!!!
「ヒカルく~ん! どう今日の私可愛くない?」
アイはそう言うと黒いカーディガンに白いワンピースを着ており、両手を広げてその場でくるりと一回転した。
この間の出来事は脳内から既に消去されているのだろうか?
「……そうですね。初めてあった時は可愛げの無い灰色のパーカーにジーンズとオシャレって言葉を知らない芋娘でしたから、とてもアイドルとは思えませんでした」
「あはは~私ってその辺りは適当だったからね。だ・け・ど今日はヒカル君の為に気合を入れて来たんだよ? とりあえず演技指導が終わったらセックスしない?」
「ダメですよアイさん……それは勝ったらの話です」
「もぉーヒカル君は堅いなぁ~普通は私みたいな美少女に誘われたらホイホイついて来るんじゃない?」
自分の命と引き換えで行動するには対価がデカすぎるんだよ! って言いたいけど……言ったところでどうにかなる訳でも無いし、ため息を吐いてしまう。
しかも、ワークショップ中とは言え上原パイセンや愛梨パイセンもいる訳でアイの声はそこそこ大きいので聞こえてしまっており、2人のパイセンからは心配そうに見られている。
そして、チラッと見れば上原パイセンと愛梨パイセンが手に汗を握って目で語りかけてくる。
『どうしたカミキ何故行かない? イケ……イクんだ!』
『イクのよ。ヒカル! イッてアイを女にして来なさい! 男を魅せるのよ!』
うるせーな俺だって、俺だって……男だからやりてーに決まってるだろうが!
だけど、脳裏にカナンの悲しそうな顔がチラついてしまい、そんな気が無くなっちまうんだからしょうがないだろうが!
「……私はそんなに軽い男ではありませんよ」
「……うーん、そうみたいだね。じゃあさ、ここで会うのは今日で最後だから電話番号交換しようよ!」
「すみません。糸電話は今日持って来てないので……」
「むぅぅぅぅいい加減教えてよーーーーヒカル君のばかぁーーーー」
アイが爆発したが、これでようやくワークショップも終わった。
最終日と言う事で飲みに行こうって話が出て来た。
「カミキお前はどうする?」
「もっちろんヒカル君も来るよね♪」
上原パイセンは心配そうな目で、アイは何やらよからぬ事を考えている目でこっちを見ている。
「すみません。カナンと約束があるので帰ります」
「えー!? ヒカル君帰っちゃうの? じゃあ私も帰ろうかなー?」
こいつわざと大きな声で言いやがったな!
アイの声を聞こえた所為か、男共ざわつき始めたが……上原パイセンが周りの連中をひと睨みすると一瞬で黙った。
いや、黙るくらいなやるなよ!
「カミキ引き留めて悪かったな! ほら、お前らも変に騒ぐなよ?」
「いや、だってカミキが来ないとアイちゃんが来ないって……」
「じゃあ、俺が酌してやるよ。それで文句ねーだろ?」
「……そーいう訳じゃ無いんですけど」
「なんだ? 酒が飲めねーならミルクが欲しいのか?」
可愛い女の子と飲みたい気持ちは分からないでも無いけど、流石にこのままだと飲み会がハッテン場になってしまいそうだったが……
「……ちょっと清十郎そこまでにしておきなさい」
「……ちょっとふざけ過ぎたな。ま、お互い程々にな」
「本当に勘弁してくださいよ~」
上原パイセンはそんな風に言ってるけど、愛梨パイセンが止めなかったらやる気だったのが俺には分かっていた。
「……じゃあ、上原パイセンに愛梨パイセンお先失礼します」
「おう」
「気を付けるのよ~」
「むぅぅぅぅ」
「ほら、アイもそんなにむくれないの! ヒカルに嫌われちゃうわよ?」
「だって、今日はヒカル君とやれると思ったのに!」
「……あの女好きのヒカルがアイに手を出さなかったのが信じられないわね?」
「……カミキも本命が出来たんじゃねーか?」
「あの子刺されないかしら?」
「男は刺されて強くなるから大丈夫だな」
「……それは清十郎だけよ!」
俺が帰った後にそんなやり取りがあった事は全く知らなかったから、後日、本命は誰だとパイセン達に問い詰められるとは夢にも思わなかった。