カミキヒカルになりました。(本編完結)   作:だめねこ

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第85話

 『2代目B小町』を結成して、2度目のJIFを迎えた。

 前回は鏑木Pのコネのおかげでの出場ではあったが、今回は各々のメンバーが実力を発揮して舞台に立っている。

 

「「「「「みんなー応援ありがとー♪ じゃあ2曲目いっくよー」」」」」

「「「「「「「おおー!!!」」」」」」」

 

 今年の『2代目B小町』のライブは凄まじく、他のアイドル達を圧倒するパフォーマンスを発揮していた。

 やはり、推しているアイドルのライブは生で見るに限るな!

 俺も『2代目B小町』のライブに当てられたようで、オタ芸にも一層熱が入ってしまった。

 

「……え~っと、なんと言いますか、アクアのサイリウムを使った踊りですかね? あんまり両手をブンブン振り回されるのは、ちょっと危ないと思いますけど、アイさんはどう思いますか?」

 

 俺の隣にいた長い髪をポニーテールして、アロハシャツに7分丈のパンツと非常にラフな格好をしており、胸元にはネックレスにした結婚指輪が付けているカミキさんは苦笑いしながらも、隣にいるアイに聞いていた。

 

「う~ん。今までは応援してもらう側の立場だったし、ステージからそういうのを見ると私もがんばろーって気になって居たけど……真横で踊られると正直ぶつかるんじゃないかと思って気が気じゃなかったよ」

 

 アイも夏だからか、白いTシャツにデニムとラフな格好をしていた。

 どちらも胸元にお揃いのサングラスを掛けているものの、お揃いなのはそれだけで無く本日はアイも珍しくカミキさんと同じポニーテールにしていたが……

 俺は二人に言いたい事が……いや、言わねばならない事がある!

 

「いや、二人ともグッズはまだ良いとして、せめてTシャツ位は着て応援しろよ! 周り見て見ろよ。みんな『2代目B小町』のTシャツやタオルなんか身に着けて応援してるんだぞ!」

 

 俺は二人にオタクの何たるかを説くも……

 

「……そうですね。アクアの言いたい事は分かりますが、私とアイさんがそれをやっちゃいますと、今後新しい子が入る度に先輩がそういった事をやらなきゃいけない風習を作りかねないですし、それにグッズにも限りがありますから、純粋なファンの方たちにこそ、そういったものが届いて欲しいと私は思いますので、この場では買うのを控えています」

「私も出来ればルビーの限定グッズは欲しいけど……流石に買っちゃうと身内贔屓になっちゃうからヒカル君と同じく買わなかったの」

 

 カミキさんの言い分もアイの言い分も筋が通っているように思えた。

 

「それに私が『2代目B小町』の限定グッズを買ってしまったら、他の子……特にフリルさんのも全部買わなきゃいけない事になりますから、それは流石に無理です」

 

 フリルの場合グッズに装飾に企業とかのコラボ商品などなど山の様に存在するので、置く場所もそうだが金額も桁違いにかかるし、期間限定の物が多いので今じゃ手に入れる事が出来ない物が多いのだろう……

 

 そんな事を考えていたら、カミキさんの後ろから細長い手がにゅっと伸びてカミキさんをがっちり掴んでいた。

 

「大丈夫! カミキさんには私自身を買ってもらうから折り合いは付けてる」

 

 件の人物フリルはそう言うとカミキさんの頭に自身の顎を乗せて抱き着いたので、フリルの胸にカミキさんの後頭部が埋まっていた。

 今この場にフリルのファンがいれば、普通だったら八つ裂きにされてもおかしくないのだが、カミキさんの見た目が”アレ”なので問題無いのだろう……

 

 カミキさんの身長が低いのもあるが……フリルってこんなに身長高かったか?

 俺よりは確か低かったはずだけど……と思いながら足元を見るとヒールを履いていた。

 身長が高く見えたのはその所為か……

 

「……一応お金は用意しましたので金額に関しては問題は無いと思いますが、移籍するのはフリルさんの契約が切れる来年以降でお願いします」

「……事務所に辞めた場合の違約金を試しに聞いたら、推定でも10億はくだらないと言われた……個人的には嘘でも100億って言ってくれた方が嬉しかったけど、カミキさんは100億の女ってどう思う?」

 

 俺もアイもフリルの発言にぎょっとしてしまったけど、カミキさんだけは違ったようだ。

 

「買う側の私が言う事ではありませんが……10代の少女に金額を付けると言うのもおかしな話ですよね。個人的にはでありますが”100億の女”よりも、その”辺りに転がっている石ころ”に100億以上の価値を付与できる出来る人間でありたいものです」

「100億の価値じゃなくて、100億以上の価値を付与できる人……ちょっと面白いかも」

 

 フリルもそうだが、カミキさんも億の金を動かしている訳だから金銭感覚がバグっているとしか思えない

 

 そんな事を考えていたときだった。

 

「あの~私は違約金無しでただ同然だったんやけど~」

 

 ムッとした顔のみなみがおり、カミキさんをフリルから奪い自身の胸元に押し付けられて、正直目のやり場に困る。

 

「……私からすればいい買い物が出来た訳なので、悲観する程の事じゃないですよ。”みなみお姉ちゃん”」

「カミキさん……私頑張るから、頑張るから絶対捨てんといて」

 

 みなみはそういうと更に力を込めてカミキさんを強く抱きしめた。

 

 そうこうしていたら、2曲目が終わってしまったようで、ルビー達はさらっと告知をし始めた。

 

「みんなー今日はありがとー! また来月ライブやるから私達の公式ページやYouTube見てね~」

 

 そう言うとルビー達はステージからサッと出て行ったが、途中あかねと目が合ったような気がして、背筋に寒気が走った。 

 

「じゃあ、そろそろ帰りますか……」

「そうだねーこの後ご飯でも行かない?」

「あっ! ボスそれなら私良い中華料理店を見つけました!」

「フリルちゃんナイス!」

「私も行くー」

「じゃあ、ゆらさんも来たら移動しますよ」

「「「「はーい」」」」

「ところでアクアはどうしますか?」

 

 カミキさん達はこの後夕ご飯を食べに行くようだけど……

 

「あ~とりあえず、ルビー達次第かな?」

「分かりました」

 

 その後はルビー達と合流してみんなでフリルの見つけた中華料理店に入った。

 俺は今生で初めて北京ダックを食べたがあかねの視線が怖くて味は分からなかった。

 

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