ああ、本当に15年経っているな……
大きくなったアクアとルビーを見て初めて俺は月日の流れを実感した。
当初目覚めた時はやたらと髪の毛が長く伸びていたから、おかしいと思っていたけど……まさかリョースケを巻き込んでのマンションダイブして、そこから14年は昏睡状態になっていたとは、我ながら悪運が強いと言うかなんというか……
まーお世話になっていた四条社長の外見があんまり変わっていなかったから、ドッキリを疑ったけど、目覚めた時涙を流しながら抱きしめられたから罪悪感が湧いてしまった。
それにしても……生きていたとは言え、良く昏睡状態の俺を14年も面倒を見てくれたよ。
見捨てられてもおかしくなかったのに……
それに今も住処や中学校の転入なども手伝ってくれた訳だし、本来なら中学の転入は出来ないはずだけど、文部科学省に四条社長もコネがあったのか、今回に限り特別に許可を頂けたし、本当に頭が上がらねーな
そんな背景があるんだが……
さて、どうしたものか……
アクアやルビーも大きくなってはいるんだが……俺会った事が無いんだよなぁ~
そう考えると、今更父親ですって名乗り出る事は出来ないし、かと言ってアイに連絡しようにも使っていた携帯は15年前にマンションからダイブしたときに壊れてしまったようなので連絡は取れないし、苺プロに連絡するにしても15年前に『B小町』のマネージャーしていたカミキって言っても信じてもらえないだろうし八方塞がりだった。
何故かニノ達が四条社長の所で働いており、俺の面倒を見てくれていたが……本当に30代かと思うくらいに外見が若く見えていた。
多分俺が昏睡状態の時にやりたい放題やっていたんだろうな……
その事に関しては何時までも寝ている俺が悪いから、特に言う事は無いし今後は俺も楽しませてくれればなんだっていいや
「ねね、神木君どうしてこの時期に転入してきたの?」
クラスの可愛い女子が話かけて来た。
多分カースト上位なんだろうなぁ~
スタイルも良いし、ナチュラルメイクで可愛いし眼福眼福♪
「それは勿論……可愛い君に会いに来たんです♪ 良かったらお昼休みにでも校舎の案内お願いしても良いですか?」
「もー神木君そんな事言っちゃ照れちゃうよ~」
女子はそう言いながらも照れ隠しで俺の肩をペシペシ叩き始めた。
うん? この反応だと、あんまりナンパはされていなかったのだろうか? 最近の若い奴等は草食系ってよく聞くけど……もったいないな。
せっかく同じクラスに居る以上見ているだけじゃつまらないと思うんだけど、まぁーそのおかげで俺が仲良くなれる訳なんだし、俺は俺のやり方で今を楽しむか……
アイの事もどうにもならないし、実の子であるアクアとルビーは……グレている訳でもないから問題は無いな!
とりあえずは学校が終わったらモデルの仕事をさせて貰って四条社長に恩返しをせねばいけないな……15年前とは別の意味で忙しくなりそうだ。
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「ねぇお兄ちゃん、あの転校生だけど……身長と髪型以外はお兄ちゃんそっくりだね」
「……ああ? いや、俺はあんなナンパなんかしねーぞ」
妹のルビーが転校生を見ながら驚いた表情をしていたが、ここはしっかりと否定しなければならない!
俺は断じてあんなナンパ野郎とは違う!
それよりも気になる事がある。
「……それよりもルビーも聞いたよな! あいつの名前」
「え~と神木ヒカルだっけ?」
そう、神木ヒカルだ!
『B小町』のマネージャーの名前もカミキヒカルだったはずだ。
15年前の苺プロに所属自体はしていたものの、顔写真は一切無く公の場に出た事が無い謎のマネージャーだ。
しかし、今日に至るまで調べて見たものの資料なども一切無く斎藤社長やミヤコさんに聞いても教えてくれる事は無かった。
だが、それも今日でおしまいだ。
何せ目の前に手掛かりが現れたのだから……
転校生の年齢は俺と同じ年である以上は……転校生の父親が俺達の父親である可能性が非常に高い!
ならば……15年前のケリはアイの代わりに俺が着けてやる。
アイを……俺達家族を傷つけた罪を必ず償わせてやる!
その為にも、神木に近づかなければいけないな……
「アイには転校生の事言う?」
「いや、辞めておこう……今でも夜は泣きながら寝ているんだから、これ以上負担を掛けたくない」
「そうだね……お兄ちゃんは大丈夫なの?」
「……今の所は一緒に寝ているだけで、着衣の乱れも無いから恐らく大丈夫だと思う、ルビーも一緒に寝ている訳だから強硬手段には出ていないのは分かるだろ?」
「そうだけど……アイのお兄ちゃんを見る目がヤバいよね」
「言うな! アイも自覚はあるみたいで、自己嫌悪に陥ってるんだ」
この悪夢を終わらせないと俺達は前に進めないからな