色々あったが一旦脚本を仕上げる事が出来た。
「アクアお疲れさまでした。紅茶でも飲みますか?」
「……頂きます」
カミキさんはそういうとニコニコしながらも労いの言葉を掛けてくれたけど……あなたの濡れ場シーンでもある訳ですから、少しは恥ずかしがってください! なんでそんなに平然としているんですか! っと心の中で突っ込みを入れつつも、差し出された紅茶が入ったカップを手に持ってありがたく頂く事にした。
「……酸味が強いけど、これってローズヒップか?」
「ええ、最近疲れ気味なので私も良く飲むんですよ」
カミキさんはそう言うとはちみつを用意していたようで自分のカップに入れていた。
「アクアもはちみついれますか?」
「……入れる」
「はい、どうぞ」
カミキさんから渡されたはちみつを入れて再度ローズヒップを飲むと先ほどとは違い酸味だけでなく、はちみつの甘さも感じられて全身が癒されるようだ。
しかし、何時までもこうしては居られない
何せ敏腕編集がオレの脚本を今か今かと待っており、催促の連絡を一日100件も送って来ているのだから……
とりあえず出来た事を連絡して置けばすぐにカミキさんの事務所にすっ飛んでくるだろう
早い話し俺は当事者の一人であるカミキさんの事務所に逃げて来て、ここで脚本を書いて一週間が経過した。
自宅だとアイからの修正が多くなり、とてもじゃ無いけど映像化不可能なAV作品待った無しの物になってしまうからこっち避難して来た。
いや、濡れ場も問題なんだけど、アイのアイドル人生を語る上で『初代B小町』の関係は外せないけれど、致命的なまでに関係が悪かった以上……そのまま流すと為れば苺プロは勿論カミキさんなんてアイドルハーレム築いてしまった以上はバッシングは避けられなくなる。
なんとかオブラートに包みたい部分ではあるものの……アイの濡れ場で2回目のシーンはカナンさんを除いた『B小町全員』の乱交パーティーが赤裸々に描かれていた。
アイ以外の誰が見ても分かる。
これは絶対に流してはいけないものだと言う事が!
寧ろアイの情念が宿るあの湿り気を帯びた脚本をどうにかしないといけない訳だけど……
カミキさんも事実を盛られていたら反論していたようだけど……質が悪い事にアイの言う通り間違いなく事実100%でそれ以下でもそれ以上でもなかった。
「アクア……クッキーも焼いたので食べてくださいね」
「頂きます!」
サクサクのクッキーはお店で売られているものとなんら変わらないぐらい美味しいし、ご飯も好きな物を作ってくれるし、正に至れり尽くせりだ。
カミキさんの事務所は本当に居心地が良すぎる。
ぶっちゃけずっとここに居たいレベルではある。
いや、俺カミキさんの子供だし住んでも良いんじゃないか?
などど考えてしまうぐらいだけど……実際そんな事をしたらアイが爆発しそうではある。
夫婦なのに世間に未だに公表していないから別居している状態だし、カミキさんはスキャンダル写真は撮られていないけど……アイはたまに男性と歩いていた所を撮られてしまう事もある。
アイが結婚した事は公表しているが相手は公表してる訳では無いのでメディアは気になってしまうのだろうか?
しかし、面白い事にカミキさんと一緒に居る時は撮られる事は無いのだ。
やっぱりカミキさんの見た目がショタで髪が長いので一見すると少女に見えてしまうから、女性同士にしか見えないのだろうか?
そんな事を考えていたらドアの鍵を開ける音が聞こえてパタパタと足音がしたと思ったら黒いサングラスを掛けたアイがやって来た。
「アクア! 脚本は何処!?」
「これだ」
アイはそう言うと俺が書いた脚本を読み始めた。
「アイさん喉渇いてませんか? 紅茶でも飲みます?」
「飲まして!」
アイはそういうと目を潤ましてカミキさんを見始めた。
まさか口移しで飲ませる訳無いよなと思いつつカミキさんを見ると……カミキさんは慣れた手付きで、新しいカップを用意して紅茶を注ぎ、そのままアイの口元に持って行きカップをゆっくり傾けたが……
「あふ! あふいよ! ひぃかるふん」
アイはそう言って抗議するも口を押さ付けられている所為で閉じる事が出来ずゆっくりではあるものの、カップ一杯分を流し込まれていた。
多分俺の事でアイに多少思う事があるのだろう。
とりあえず俺は見ない振りをした。
「酷いよヒカル君! 舌がヒリヒリするよ」
アイはそう言うと若干涙目でカミキさんの事を見ていたけれど、カミキさんは堪えた様子もなく
「すみません? ちょっと舌出してください」
「もー意地悪しないでよー」
と言いつつもアイは可愛らしく舌をだした直後……
「ハム」
カミキさんはそのアイの舌を吸い始めた。
唐突にされた所為で、アイも目を白黒させていたけれど……
「んー! んっ♡うん♡」
最後には流されてしまったようで行為に没頭し始めたが……
「はい、これで大丈夫ですね」
「……う、うん♡」
「ではアイさんも落ち着いたようですので、アクアの作った脚本に目を通してあげてくださいね」
「わ、分かったよ。……ところで読み終わったら、その後良い?」
「勿論です」
その後アイが脚本を読み終わっていざ駄目だしをしようとし始めた時だった。
「アクア私の濡れひゃん♡ ひ……ヒカル君今耳舐めちゃいや♡」
「ダメですか? 私はアイさんとこうしていたいですけれど」
「……そんな事言われちゃ断れないよ」
こんな感じでカミキさんがアイに絶妙なタイミングでちょっかいを掛けて有耶無耶にしてくれていたけど……結果的に俺の仕事は終わったけど目のやり場に困ってしまう。
俺も男だし、一週間は長かったが……考えてみると、女たらしのカミキさんが一週間もそう言った事をよく我慢出来たものだ。
もしかしたらカミキさんもギリギリだったのかもしれないな