パイセン達の墓も綺麗にしたし丁度お昼まに終わったから、何か食べてから帰ろうと墓地を出た所で花を持っている大輝君に会った。
「兄さん……命日だからやっぱり来ていたか」
「ええ、丁度掃除も終わった所なので帰りますが……待ちましょうか?」
「……待ってくれると助かる」
「分かりました。では駐車場で待っていますので、終わりましたら声掛けてくださいね」
「分かった」
日差しもキツイから何か冷たい飲み物で買って大輝君を待つとしよう。
10分後大輝君が駐車場にやって来たので、冷房を入れて涼しくなった車内に招きいれた。
「お帰りなさい」
「ただいま」
大輝君も今回の映画に出演するって昨日アイから連絡があった訳だし、そうなれば当然脚本にも目を通しているはずだ。
そうなれば必然的に俺とパイセン達の関係も気になるのだが……やっぱり上原パイセンの事が多少?……かなり?……いや、大部分がネックなんだよな。
どう考えてもダメージデカいし、普通に致命傷なんだよな……
上原清十郎はバイセクシャルである事と愛梨パイセンが上原パイセンの子供よりも俺と愛梨パイセンの子供を先に見たいと言った事がそもそも問題ではあるのだが……俺が一番ショックだったのはコンドームに細工をされた事よりも、愛梨パイセンと生でやる機会を奪われた事が一番のショックだったが、まーそれは今回は関係無いから良いとして……
「大輝君……外暑かったでしょ? アイスコーヒーでも飲みますか?」
「飲む!」
上原パイセンの性癖は黙っていたいけど……そうなると愛梨パイセンの無理心中の動機が嫉妬に狂った事になるんだけど……それはそれで違うし、本当に難しい問題だ。
ちょっとパイセン達命日になんだから、こっちに戻って来てるんだし……俺の代わりに大輝君に説明してくれないかな? などど割とガチ目に考えて居た時だった。
「兄さん……いや、カミキさん聞きたい事がある」
カミキさん呼びは他人行儀過ぎてちょっとダメージ入るから出来れば兄さんでお願いしたいけど……大輝君が真面目にこっちをじっと見ている以上俺も耐えなければ……
「どうぞ」
「上原清十郎と姫川愛梨とカミキヒカルの関係を嘘偽りなく全部教えてくれ」
パイセン達申し訳ないけど、俺の事恨まないでね。
「分かりました。……ところでお昼ってもう食べましたか? まだならどこかで食べませんか?」
「カミキさんの手料理が食べたい!」
「分かりました」
まー事務所内ならお酒を飲んでも問題無いよな……と言うかこんな爆弾話はシラフで出来る訳も無いし、お酒の力を借りないと無理だ。
その後スーパーで買い物をしたのは良いけれど……酒を購入しようとしたらレジのお姉さんに『君のような未成年には売れません!』って怒られてしまった。
もう30過ぎてるのにやっぱり見た目が幼いからなのか信用されないのはしょうがないが、傍にいた大輝君が笑いを堪えながら、『悪いね弟には後でキツく言って置くから』と答えてしまい何とかレジを通る事が出来たが……大輝君にしろアクアにしろ俺の子供ですって言っても信じて貰えるとは思えないから、そう言った意味では映画内の設定は無理があるんじゃないかな?
事務所に着いたから、早速ご飯の支度をしなければ……
「大輝君はソファーに座って待っててください。すぐ用意しますから」
「じゃあ、先に飲んでる」
大輝君はそう言うと缶ビールを手に取り、プルタブを開ける。
プシュっと言う音とともに一気に飲み始めた。
「ぷはぁー昼間から飲むビールは美味いな」
「えーっと確か柿ピーとチーズ鱈があったはずなので、摘まんででくださいね」
「うぃ」
とは言え揚げ物を作るにしても少しばかり時間が掛かるし、急いで用意をしなければ……
から揚げにポテトサラダに紅ショウガ揚げやチーズの包み焼きなどつまみにおかずと色々と用意して、大分豪勢になってしまったが遅いお昼と考えてればまぁ良いだろう。ご飯もついでに炊いたからこっちもお茶碗によそって持って行く
大輝君も俺の事を待っていたようで、ビール缶はまだ1本目であった。
「じゃあ、モグモグ……カミキさん……これ美味い!」
「ええっとじゃあ私と上原先輩と愛梨先輩との関係ですが……まぁー二人とも仲良くして頂いておりまして……」
「モグモグ……それで? から揚げにレモンかけて良い?」
ここからは俺も酒を飲まないと話辛いから、氷結果汁のレモン味を飲みながらも答える。
「どうぞ……上原先輩には女性の口説き方を教わり、愛梨先輩とは……肉体関係もありましたが、それに関しては上原先輩も知っていましたし寧ろ三人で楽しもうとか言ってましたが……まぁ何が言いたいかと言えば私含めて3人とも仲が良いと言う事です」
「それは……ちょっと聞きたく無かった」
「……出来れば私も大輝君に限らず黙っていたかったのですが、大輝君が気になっている部分ってありますか?」
俺がそう聞いた時ビールを片手に渾身のチーズの包み揚げを食べながら答えた。
「俺の出生に関して……あふいけどコレも美味い!」
まだ、出来立てだから中のチーズは大分熱いからやけどには気を付けて貰いたいものだけど、大輝君は冷ます為にも更にビールを飲み始めた。
「あー上原清十郎は知っていたのか?」
「寧ろGOサインを出していましたね」
「姫川愛梨は?」
「勿論GOサインでした。しかし、私がそれを知ったのは愛梨先輩が妊娠したときでコンドームに細工していたとのことで……ちょっとショックを受けました」
実際はちょっと所かかなりショックを受けたけど、生でヤレなかったからとは言わないでおこう。
何せ大輝君の箸がピタッと止まってしまったからだ。
「じゃあ、カミキさんは二人の事を恨んでたり……」
大輝君はそう言うと恐る恐るから揚げ全体にマヨネーズをかけ始めた。
俺もマヨネーズ派だから問題無いけど……一言掛けようね?
「いえいえ、そんな訳無いですよ。実際に大輝君が小さい時から面倒は私が見てましたしね」
俺がそう言うと大輝君も安堵の息を吐きながらから揚げを食べ始めた。
「良かった……モグモグ……俺は望まれて生まれた訳だ。じゃあ最後に二人が無理心中をした理由なんだけど……父さんはしっくりこないから、やっぱり兄さん呼びだな。兄さんは分かる?」
大輝君からその質問に関しては当然来ることは分かっていたが……上原パイセンがバイセクシャルで男のファンを喰った事で起きた事件と言えば違う意味でショックがデカすぎるから、俺が思った理由を伝えよう
「これに関しては憶測になってしまいますので、確証はありませんがそれでも良ければ……」
「兄さんの考えを聞かせて欲しい」
パイセン……事実がきつ過ぎるから、やっぱり性癖に関しては黙っている事にします。
氷結果汁を一気に飲み干して俺は答えた。
「恐らくですが、大輝君もある程度大きくなったことだから愛梨先輩ももう一人作りたいと思い今度は上原先輩の子供を作る為に耐久レースをやったんじゃないのかと思います。その結果無理心中と言いますか……腹上死をしてしまったのかと……」
俺がそう言った瞬間大輝君は新しいビール缶を開けて一気に飲み始めた。
「だ、大輝君駄目ですよ! 一気飲みは体に悪いです」
「いや、こんなの飲まずにはいられないし!」
大輝君の気持ちは分からない訳でも無いから……俺は無理に止める事は出来なかった。
そんな事を考えて居た時だった。
玄関のドアが開いたと思ったらバタバタした足音が響き渡りリビングに涙を流しながらアイが駆け込んで来たと思えば、そのままの勢いで飛びついて来た。
「うえぇぇぇーん!」
アイは大きな声を出して俺の胸の中で泣き始めた。
アイにとっても今日はとても辛い選択をした訳だから、アイを優しく抱きしめて頭を撫でてあげた。
「アイさん……頑張りましたね」
「……とっても辛かったよぅ」
アイも女である前に自身が母親である事を再度自覚出来たようだ。