カミキヒカルになりました。(本編完結)   作:だめねこ

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第103話

 嫌な事って言うのは本当に起きるものだ。

 

「ボスとカミキさんには本当に申し訳ないです」

 

 フリルは本当に悔しそうに顔を伏せており、手が白む程に力を入れており目からぽたぽた涙まで流していた。

 

「……この際アクアさんで我慢しようと思ったんですけど……子宮がカミキさんを求めているので」

「そんな生々しい事言うんじゃねーよ!」

 

 思わずフリルに突っ込んでしまった俺は悪くない筈だ!

 

「不知火フリルの降板は痛いが……アクアどうする気だ? 延期にするのも一つの手だぞ?」

 

 五反田監督はため息を吐きながら俺に提案してくれたが……そうなると今度は全体のスケジュールがヤバくなる。

 元B小町の人達が基本忙しい訳では無いけれど……みんな休みが被らない様に働いてる関係上中々合わせ辛いのだ。

 そして、そんな事すればスポンサーが嫌がる筈だし、カミキさんの顔に泥を塗ってしまう事になるので、それだけは何としても避けたい! 

 

「延期はしない……撮影は行う」

「じゃあ、フリルがやる筈だった姫川愛梨の役は一体誰がするんだ?」

 

 五反田監督は俺にそう問いかけるもこうなれば答えは決まっている。

 不知火フリルがやる筈だった姫川愛梨の役は役者としての能力なら負けていない彼女がいる。

 

「姫川愛梨役は黒川あかねで行く……ルビーはアイ役だ」

「そ、そうだよね! 私しか出来ないもんね。いやーママの役なんて大変だけど頑張らないとね!」

「……姫川愛梨役でもアクア君と繋がれるし、かなちゃんに比べれば大した事無いしね」

 

 ルビーは棚から牡丹餅みたいな感じで喜んでいるし、あかねも理解を示してくれていて嬉しいけれど……

 

「じゃあ私はカミキ君の代わりに代表取締役の仕事があるから……有馬さん私の役お願いね」

「は、はいぃぃぃ」

 新野さんはそういうとかなの両肩を力強く握りしめて、圧を掛けていた。

 カミキさんが風邪をひいてしまった以上代理の代表取締役である新野さんが事務所の仕事をしないといけない訳なので、泣く泣く事務所に戻って行かざるを得ない状況だし……その光景を隅っこの方でカナンさんだけがニヤニヤしながら見ていた。

 悲しい事にカナンさんは『B小町』をクビになってしまったので今回役が無く、ただ一人カミキさんと絡みが無い訳だったが、新野さんもとばっちりを受ける羽目になってしまった。

 

「ニノ……何時までもかなちゃんの事を苛めてるとカミキが悲しんじゃうわよ」

「……だってカミキさんが役者の仕事をかなちゃんの為に取るのにあんなに頑張ってるのに……かなちゃんのあの態度は許せないよ! 当時の私達なんかアレやりたいコレやりたいなんてカミキさんに我儘なんか言えなかったのに……」

「……当時はアイだけドラマとか映画とか番組にラジオやっていて……私達はモデルばっかりでアイドルとはちょっと違ったけど……収入では私達が勝っていたのが凄い結果だよね」

「しかもアイはかなりハードなスケジュールだったけど、私達はちゃんと休めていたしね」

 

 いつの間にか新野さんの周りには高峯さん達が集まっており、当時の事を思い出し懐かしんでいた。

 そして新野さんから解放されたかなはと言うと

 

「何で……何で……私は何時もこんな役ばっかり……」

 

 それは俺から見てもかなのカミキさんに対する当たりがキツかったから自業自得としか言えないけれど……当の本人であるカミキさんはかなに対して全く気にして無いし、何なら楽しんでいた部分もあるけれど、カミキさんラブな愛人達はやっぱり思うところがあったのでこればっかりは仕方が無いかも知れないな

 

 当たりがキツイで思い出したけどカミキさんの子供達って反抗期はまだ早いけど……何か困らせるような事をしてる所は全く見た事が無いな。

 みんな各々で好きな事をやってはいるものの……カミキさんが居ると子供達は傍に寄って行って微笑ましい位だ。

 

「かな……今回ヤバい位にスポンサーが付いてるからこの映画が成功すれば役者の仕事も確実に増えるぞ」

「それは私的に嬉しいけど……一応シマカンの『俯瞰』に出演した事で私自身の評価も高くされてるのよ」

「カミキさんと一緒に出演した映画だろ? 今度一緒に見に行っても良いか?」

「勿論よ……じゃあ二人っきりのデートって事ね」

「ちょっと先輩それって抜け駆けじゃないですか!」

「かなちゃん……抜け駆けは駄目だよ」

「あんたたちは今回の映画でアクアとの濡れ場があるんだから少しぐらい譲りなさいよ!」

 

 かなのそれはまさしく正論で合って二人は何も言い返す事は出来なかった。

 

「おい、そろそろ撮影始めるからアクアとあかねも準備するように!」

「わかった」

「はい」

 

 五反田監督に言われて俺とあかねは早速ベットシーンから撮影を始めた。

 理由はルビーの演技力が役者として大分まずいので極力後回しになる様にと後は、かなにルビーの演技指導もお願いしてるので、ある程度……本当にある程度で良いので育って欲しいものだからだ。

 

 一番良いのはアイかカミキさんが復帰してくれればだが……アイの様子を見た限りだと無理っぽいし、カミキさんに関しては今千佳さんが付きっ切りで看病しているみたいだから恐らくだめかもしれないな

 

 何故かは分からないが千佳さんは残念な臭いが漂っているからだ。

 

 

 

 

「じゃ姫川愛梨とカミキヒカルのシーンからスタート」

 

 カチンコの音がスタジオに響き濡れ場から始まる撮影がスタートし、そしてその直後俺はあかねを通して姫川愛梨の魔性を垣間見た。

 

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