カミキヒカルになりました。(本編完結)   作:だめねこ

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第104話

 当時の姫川愛梨は稀代の大女優であったが、それと同時に男を手玉に取る魔性の女でもあった。

 触れる距離まで近寄れはするが決して、肉体関係を持つことは出来なかった。

 姫川愛梨が放つ魔性染みた空気に誰もが心を奪われて行動に移す男もいた訳だが……そうなれば当然上原清十郎が黙っている訳が無く敢え無く玉砕するまでがセットであったとの事。

 そんな訳で姫川愛梨と関係を持つ事が出来たのは上原清十郎とカミキヒカルの二人だけであった。

 

 カミキさん曰く……

 

『愛梨先輩は性に奔放であるのは否定の仕様が無いのですが……ちょっと独自のルールが独自過ぎて何とも言えないんですけど、胸やお尻を触るのは全く気にもされないようなんですが……キスや本番と言った粘膜の接触に関しては心を許した相手しか駄目との事で、当時の私には全く分からなかったんですが恐らく……人を人と見ておらず犬か猫みたいなペットだと思っているので、触られようが揉まれようが意に介さないのでしょうけど……流石に犬や猫と性行為をする気は無いので、愛梨先輩と肉体関係が有った男性は私と上原先輩しかいないんじゃないのかなと思います』

 

 言いたい事は分かるが……それは流石にどうなのだろうか? とこれを聞いてる時には首を傾げた。

 

『なので今回の映画での濡れ場の撮影に関しては私とフリルさんで演じる場合は問題は無いと思いますが……』

 

 カミキさんはこの時何を察知したのかはその時は分からなかったが、あかねみたいな憑依型の演技をする場合だと……

 

「ねえヒカル! もっと! もっと! 私を感じて! 強く抱きしめて!」

 

 俺の上に乗った状態で覆いかぶさる姿はまるで蜘蛛の巣にひっ掛った獲物を捕食するかのようで、情欲に染まった目で俺の事を至近距離で見つめていた。

 そして本番さながらの動きをベットの上で繰り広げているものの、普段のあかねとは全く違う情熱的な演技に思わず俺は……

 

「愛梨先輩……可愛いですよ」

 

 カミキさん役だけど……すぅーっと自然にカミキさんが言うであろうセリフを吐いていた。

 カミキさんなら相手の後ろ頭を優しく掴み

 

「ちゅ♡……ちゅ♡」

 

 長いキスを交わした。

 

「カーット!!」

 

 五反田監督からのカットがようやく入り……NGが無い事を祈る。

 撮影本番中だし、何ならさっきはカミキさんだったからそこまで気にならなかったけど……普通に恥ずかしすぎるし……

 

「ちょっとやり過ぎたかな……」

 

 あかねは顔を真っ赤にしてさっきまでの乱れた姿とは一気に打って変わり、小動物のように見えた。

 

「まーかなり際どいけど……カミキヒカルと姫川愛梨の濡れ場はこんなところで良いだろう……アクアこのままアイとの濡れ場シーンイケるか? アイとのシーンは台詞はほとんど無いし、動きも無いから問題無いだろ?」

 

 まーアイの初体験はマグロだった訳だし、喘ぎ声をあげる位しか無いから問題は無いけど……行為が一旦終わってカミキさんが寝ている間にピルを吐き出すのとコンドーム内の精子を利用するというとんでもないシーンがあった訳だが……流石にこれを流すのはマズイので偶発的に妊娠したことにするしかなかった。

 

「そうだな……ルビーはどんな感じなんだ?」

「既に気をつけの姿勢でベットに横たわって待ってるわよ」

 

 それはまさしくマグロのあるべき姿なのかもしれないが……

 

「じゃあアクアとりあえず今日は濡れ場だけで終わらすから……頑張れ」

「……ああ、わかった」

 

 実際に手を出している俺がこんな事を今更思うのは間違っているが……何が悲しくて映画の撮影とは言え妹との濡れ場シーンを取らないと行けないのだろうか?

 

「良し! じゃあアイとカミキの濡れ場シーンスタート!」

 

 カチンコが鳴り響いた。

 

「じゃあ、ヒカル君セックスしよう! とりあえず入れてくれればなんだって良いからさ」

 

 確かに……処女の分際でこんな事言われたらカミキさんじゃなくてもイラって来るな

 

「こういうのは本来一方的に楽しむ物ではありませんけど……ちょっと黙っててくださいね!」

「ちょ……ヒカル君! そ、そんなの良いよ! 入れてくれれば……あっ……ああ……あっ……あっ……何コレ……嘘! こんなの……知らない! 駄目! ヒカル君! 待って……お願い! イっちゃう! イッちゃうから!」

 

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

 

 

「アクア……お疲れ様、コーヒーでも飲む?」

「ああ、かなか……ありがと」

 

 かなから受け取ったコーヒーを飲み始めるも流石に今回は精神的に疲れてしまった。

 違う意味で最難関であった濡れ場の撮影は終わったが……それと同時に俺の人生も終わったような気がしてならない

 とりあえず、濡れ場のシーンを俺も確認したが、うまい具合に撮ってるけど……見る人が見ればAVにしか見れないし……事実ルビーを本番さながらイカせた訳だから罪悪観が半端ないのだ……

 

「あーとりあえず、今日は解散でまた明日次の撮影をするから遅刻しない様にするんだぞ」

 

 五反田監督はそう言うと気まずそうにそう言ってる編集作業に戻って行ったけど……

 

「ねぇお兄ちゃん! この後ママの役作り頑張らないと行けないから自主練に付き合ってよ」

「それはかなちゃんの役目だからね! アクア君とはまだ姫川愛梨との絡みがあるからこっちが先だよ!」

 

 あかねとルビーはお互いがお互いの主張をぶつけ合っているものの、姫川愛梨との単独の絡みはこの先無いので優先すべきはルビーになるのだが……

 どうやら俺はルビーが演じたアイとあかねが演じた姫川愛梨の魔性に当てられたようで、今どうしようもなく我慢が出来そうに無かった。

 

「かな悪いけど今日泊って良いか?」

「……良いわよ」

 

 少し間があった事から、かなとしては大変不服であったのでかなを抱き寄せてると……

 

「ちょっとアクア君!」

「お兄ちゃん!」

「勿論二人ともだ。どっちにしろアイが風邪をひいてる以上俺らも気を付けないといけないし……それにこれ以上役者が倒れたら撮影は……無理だし……」

「「そ、そうだね」」

 

 二人とも分かってくれたようで何よりだが……

 

 俺の曇った心とは裏腹に東京の夜空は満天の星空だった。 

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