「「「「「「「ア・ナ・タのアイドル~サインはBーチュッ」」」」」」」
舞台で7人の可愛いアイドルが笑顔で歌い踊る姿を横から見ているが……やっぱりアイの一強であり、その証拠に見ているファンが持っているサイリウムは赤ばかりだった。
ここまで有名になっているのに、他のサイリウムの色が全く見えないとは……歌詞が大分皮肉っていて見て居られないな
アイが居ての『B小町』であって、他のメンバーはおまけ扱いでファンですらそう言う扱いなのだ。
たった一人でも味方がいれば怖いものは無いだろうけど……そのたった一人が居ないのだ。
アイが悪い訳じゃない……悪い訳じゃ無いけど、人って奴はそんなに出来たものじゃない
自分より出来る奴がいれば、ムカつくのは当たり前だし、そもそも芸能界はそういうものだ。
アイ以外のメンバーも笑顔を振り撒いてるし、流石アイドルなだけあり、ちゃんと笑顔で踊っている所からプロ意識はあるようだけど……
ま、俺には関係ないし
これが苺プロの教育方針なのだろう
これなら……勝ち目はある
「……悔しいけど、やっぱりアイは凄いわね」
カナンは悔しそうにぽつりと漏らした。
「確かにアイさんは凄いですけど……私から見ればカナンもアイさんに負けてはいませんよ? 比べて見ても明確に劣っているところはありません」
常に私を見てと叫んでいるアイの主張のせいで、『B小町』のライブのはずなのにアイの単独ライブになってしまっている。
勿論他のメンバーもステージで歌って踊っているが、アイの所為で見えないのだ。
劇団ララライのワークショップで役者視点での目の引き寄せ方を教えた結果……それがより悪くなっている。
これがソロアイドルだったら問題無かったのに、このままアイドルを続ければ結局アイにとっては良くない事が起こる気がした。
「「「「「「「ア・ナ・タのアイドル~サインはBーチュッ」」」」」」」
そうこう考えていたら『B小町』ライブは丁度終わってしまった。
「じゃあ、私達も行きますよ」
「う、うん」
しかし、カナンは『アイ』に宛てられて緊張してしまったようで、動きがぎこちなかった。
「カナン……魔法をかけてあげます」
「ま、魔法?」
こてん首を傾げてこっちみたカナンを抱き寄せて唇を奪う
「んっ!? んー♡ チュッ♡チュッ♡」
突然の事にカナンはびっくりしたけど目を細めて受けいれてくれた。
カナンが舌を入れようとしたところで唇を離すと名残惜しそうな目でこっちを見た。
どうやら、緊張は解けたようだな
「……はい、では行きますよ。終わったらもっと凄いのしてあげます」
「や……やくしょくだよ!」
今噛んだけど……やり過ぎたか?
若干の不安を感じてしまったが、ま、カナンもプロである以上ステージに立てばアイドルだし問題無いだろう。
ステージに立つと案の定『B小町』に満足した会場の人達が大勢いた。
みんながみな、先ほどのライブを満足していたようで、余韻に浸っている所為か、まだ離れていない
まず、勝つための条件が人が居るか居ないかだが……これが一番難しい最大の条件であった。
何せ路上ライブを行い、多少知名度が上がったとは言え、実際に人が居なければモチベーションは下がってしまうのはしょうがないのだ
しかし、現状は『B小町』が呼び水となり、人は多いのだ。
ま、後は実力勝負なんだが……
ここで、本来ならフランになるべきだが……あえてアイで行こう。
スピカとアークトゥルスは『春の夫婦星』なのだから……
だから俺がここで演じるのは……妹様であるフランドール・スカーレットでは無く夜空に輝く一番星のスピカであるアイだ!
一旦目を閉じて深呼吸をする。
信じろ……私は一番星のアイだ!
人数はキュッと集めたし、後は会場をドカンって何か思考がフランになって居るが……まー良いとしよう
どうせ歌うのは2曲だけなんだし……出し惜しみは無し!
感情を込めろ!!
例え最前列でヒカル命と書かれたTシャツと鉢巻を付けてる愛梨パイセンと同じ格好しておまけに頬に紅葉が真っ赤に咲いてる上原パイセンが居たとしても……
笑いそうなるけど……寂しそうにしなきゃ……
「寂しくて切ない一人の夜には」
「消えたい言葉を捜して」
「「秘密のドアを抜けてきて here we gooh yeah oh yeah」」
……アイは凄いと思う。
7人のグループを一人の力でここまで押し上げて来た訳だ。
まー苺プロの力も勿論あったろうが、現実問題俺がアイと同じ事をやって同じ結果を出せと言われれば即答で無理と断言する。
しかし、夜空にひと際輝く一番星のスピカはそれをこなしてしまった。
そして、苺プロの代表はアークトゥルスを……宇流麻カナンを手放した。
アークトゥルス……世の中に広まる事が無かった珊瑚星という名に宇流麻は沖縄においてサンゴの島と言う意味がある。
中々に洒落た出会いではあったが……結局の所『春の夫婦星』は偽物である俺と落ち着いてしまった。
「目の前の扉を開ければそう、終わりのない夜への始まりだ」
「気球状のフロアの影から四次元への旅が始まるよ」
偽物ではあるが、ステージから見える人の表情は決して悪いものでは無い
アイを演じてやるだけじゃこうはならない
「流星の箱舟に乗ってさぁ 時空旅行へと進んでいくのさ」
今も隣で輝こうと頑張っているカナンが居るからこそ心が動くのだ
「天気予報は当てにならないから気の向くまま all right」
1+1は決して2じゃないのだ!
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「あ~ヒカル君凄いなぁー」
私達『B小町』ライブが終わった後私は舞台横から邪魔にならない様に見ているけど、見た感じ私にそっくりだった。
でも、私と唯一の違いはあの子カナンと一緒に歌っている時の笑顔がすっごい穏やかでずっと見ていたくなるものだった。
「ヒカル君やっぱり欲しいなぁ~でも、正直コレ負けちゃってるし……」
ファンの反応を見ていると皆静かにサイリウムを振っていた。
その時私はあの日ヒカル君が言った言葉を思い出した。
「「あげてきな Dance Dance 君の瞳から 輝く金の流星が 秘密のドアを抜けてきて here we go oh yeah oh yeah yeah yeah yeah」」
「……良い事思い付いちゃった。やっぱり私って天才だな~」
「「shake shake 今夜は止まらないだから今は oh 夢の中 ミラーボールが回りまわる hurry up oh yeah oh yeah yeah yeah yeah」」
「待っててねヒカル君♡」