修学旅行に行って無い
クリスマス番外編
振り返ってみると……カミキヒカルとして生を受けて、30年が経過していた。
大輝君と遊びつつ、ニュースを見ていたら……B小町のアイがしばらく活動休止と流れていた。
確かあの時は……ちゃんと避妊をしたから、俺が親な訳が無いと現実逃避をしたことは今でも覚えている。
けど、何故か首筋にまるで、死神の鎌が振り落とされようとしている錯覚を覚えた俺は……すぐさま劇団ララライを辞めた。
以降は芸能界から足を洗い、高校に進学した。
その過程で、B小町のアイがストーカーと化したファンに刺し殺されたニュースを見て『運命はやはり変えることは出来ない』……とその時俺は悟った。
しかし、これに関しては俺は特に関わって居ないわけだから、堂々としていれば問題ないだろう。……そう思い、アイドルの事は忘れる事にした。
それから更に数年が経過した。
開き直った俺は四条社長のコネを使い……昼はファッションモデルの仕事して、夜は女優を口説いて遊んでいた。
そんな中、片寄ゆらと出会った。
初めはツンケンしていたけど、ゆらと一緒の時間を過ごし行くと態度も軟化していき、ゆらと一線を越える事が出来た。
今まで遊びで一夜を過ごす女性は多くいたが……個人を求めたことはなかった。
だから、俺は俺のやり方で片寄ゆらを口説き、俺に執着させるように仕向けた。
もちろん、彼女を守るためなら何度でも刺されても構わない。
最初は軽く炎上気味にはなったが、俺の容姿に加えモデル業もしていたおかげで、知名度もそこそこあり……ゆらのファンからも最終的には認めてもらえた上で、結婚をした。
結婚後はゆらの専属マネージャーを行いながらも、暇な時はモデル業を行っては稼いだ。
ゆら程は稼いではいなかったが、だからと言って家庭内の空気が悪いとかはなく……夜も二人で楽しく励んだ結果、可愛い女の子が産まれた。
子供の顔は……何処と無く、昔抱いた女にそっくりな気がしたが……まぁ〜気のせいだろ……。
そして、女の子の名前はアイと名付けられた。
アイはゆらが居ないときは終始俺にべったりくっ付いて、離そうとするとそれはそれは大きな声で泣き叫んだ。
ふふん、やっぱりイケメンは正義なんだよな!
反対にゆらにはあんまり懐いておらず、寂しそうにしていたが……それをまとめるのは夫の役目なので、ゆらを抱き寄せて頭を撫でる。
そうなるとアイも不満顔になるので、顎の下を撫でてやるとくすぐったいのかキャッキャ笑い出す。
さらに数年が経ち……アイも小学生になった。
この位の子になると、次第にお父さん大っ嫌いと何時言われてもおかしくないはずなんだが……未だにアイは、俺にべったりくっ付いて離れない。
何なら『お風呂も一緒に入るもん』……なんて言い出す、パパっ娘だ。
しかし、一緒に入るのは良いが……パパの腰のタオルを引っ張るのはやめなさい。
それは子供が遊び半分で見るものじゃないんだ!
しかし、ある日ゆらから思いもしない一撃を受けてしまった。
『ヒカルさん、身長が低いからパパと思われて無いんじゃない? それに髪の毛もセミロングだし……男には見えずらいじゃない?』……なんて言われてしまった。
今更髪型を変える気は無いけど……身体的特徴をあげるのは辞めろください! 傷ついちゃうだろうが!! 今日はゆらさんはおやつ抜きの刑だ。
そんな感じで日々を過ごしていたある日……ゆらから凄い剣幕で詰め寄られた。
「ヒカル君……今日、撮影現場に君そっくりの役者が居たんだけど……どういうこと? 星野アクアって、高校生位の男の子でヒカル君よりも背が高いのよ? 私、思わずヒカル君って叫んじゃったもん!」
「どういうことと言われましても……私はアイと一緒に家に居ましたし、私より身長が高いと言われましても……」
「そうだよー? アイと一緒に、ちっちゃいヒカルパパはお家にいたよー?」
「うーん、じゃあ今度現場に来て良いから、アクア君に会ってみてよ……。もしヒカル君が他所の女で孕ませた子だったら……殺しちゃうからね?」
「わ、わかりました。会うだけあってみましょう……」
「アイも行くー」
何だろう? 途轍もなく悪い予感がするのは……決して気の所為だとは思えない……。
案の定、
「初めましてアクア君……カミキヒカルです。いやーすっごいなぁ……まるで鏡越しに見ている気分ですね」
「初めましてカミキ君……失礼ですが、今おいくつですか?」
「……? 私は、今年で30歳ですが……何か?」
「……その身長で?」
「昔は貧乏でしたので……後、この子が娘のカミキアイです」
「はじめましてーカミキアイです♪ よろしくねアクア君」
「え、いや、だって……!? 嘘だ……何でここにアイが? アイは死んだはずじゃ……!!?」
アイを見た瞬間、アクア君がすっごいうろたえ始めたんだけど……どうすればいいのやら……?
メリークリスマース