「な、なぁ……!? あっ、アイなんだよね? 俺の事……分かるよね? アクアだよ!」
アクア君……!? なんか、うちの娘を誰かと重ねて見ている気がするけど……大丈夫? どうにも言動が怪しいけど……暴力とかは辞めてね。身長差があるから、喧嘩になったら俺がフツーに負けそうだし……というか、フツーに怖いよこの子!?
「えっと、アクアさん? 私の名前はアイだけど……後、アクアさんの事は知らないかなー」
アイも何だか困り顔で返答しているけど、アクア君の顔色がものすごく悪くなってる……水でも買って来てあげようかな?
「あの、アクア君? 顔色悪いけど……大丈夫ですか? 何か、飲み物でも買って来ますので……待っててくださいね?」
「あ、アイもパパについて行くー」
「では……ゆらさん? 少し申し訳ありませんが……アクア君の事、ちょっと見ていてあげてください」
「え、ええ~!?」
……いや、驚いているけど……その状態のアクア君を放置は出来ないでしょうが!?
幸い撮影現場のすぐ近くには休憩所もある為、自販機を探さなくても良かった。……けど……。
「ねぇ〜パパ〜? アイは抹茶ラテが飲みたーい」
……うちの我儘お姫様が背中にしがみついて、俺の耳元で甘ったるい声を囁きながら抹茶ラテをおねだりする。
……えっ? あれェ……? 抹茶ラテとか……飲んだことなんてあったっけ?
……まぁいいや、飲みたい物を飲めばええやろ……。
「……ハイ。お姫様、お待たせしました……」
「うむ、くるしゅーない!」
……王様言葉が似合わないなぁ……カワイイけど。
とりあえず、ゆらさんとアクア君は水で良いとして、俺はどうしよかなって思ったら……
うっわ~すっげー懐かしいなぁ~。子供の時は良く飲んでいたんだけど……ある日を境に全く見なくなったから、てっきり製造中止にでもなったのかと思ったんだよな〜。……よしっ、久しぶりに飲んでみるか……!
「アクア君、ゆらさんお待たせ♪ 水買って来たから、アクア君はこれ飲んで落ち着いてね。ハイ、ゆらさんの分の水ですよ」
「あ、ありがとうございます」
「……ヒカルさん、ありがとう……」
アクア君も落ち着いたみたいだし、良かった良かった。
それにしても、水を飲んでいるゆらさんも小動物みたいで可愛いなぁ~
「……むぅぅ~~パパ!!」
「……うん? アイ、どうしたんですか?」
……えっ? 急にむくれだしたけど……本当にどうした?
そう疑問に思い、顔をアイに向けた瞬間だった……!
「ひゃう!?」
いっ、いまま今!? みっ、みみみみ耳を舐められた!!!?
動揺する俺を他所に……何故かにんまりしているアイ。それに思わず出てしまった変な声で、アクア君とゆらさんが不審な顔をしていたが……とりあえず、慌てて誤魔化した。
「……へぇ〜? パパは耳が弱いんだぁ~。覚えちゃったぞ~?」
……うちの子が何か言っていた気がしたが……気が動転していた為、分からなかった。
その後、撮影自体は特に問題もなく終わったが、再度アクア君がこっちに来た。
「あの……カミキさん? アイと電話番号交換したいんですけど?」
「アクア君? 小学生のアイに君は一体何を求めているんだい?」
「いえ、決してやましい気持ちは無いんです!」
……いや、アクア君? そりゃあ……この場面では、誰でも決してやましい気持ちは無いって答えるよ!
「アクア君、ごめんねぇ~? アイはスマホ持ってないし……。今、手元にあるのは……パパとの糸電話だけなんだ♡」
「クッ! じゃあ……せめて、片寄さん交換しませんか?」
「アクア君? 私の目の前で、嫁をナンパするなんて良い度胸してますね!?」
「いえ……ナンパとか、そういう訳じゃないですから!?」
アクア君はそう言うと、ダッシュで逃げた。
全く……人の女にちょっかいかけるなんて、悪い奴だなぁ~? 親の顔が見てみたいぜ!