アクア君と会ってから数日が経過したが……何かがおかしい?
娘が以前にも増して、抱き着いてくるどころか……足も巻き付けて来るようになったし……。更には、モデル業の仕事で早く家を出る際は『パパ……アイに行って来ますのちゅ~は?』と口をとんがらせて、アピールまでしてきた。思わず首を傾げそうになるが……それよりも、その可愛さのあまりに抱きしめて、おでこにチュッてしてあげたら『もぉ~パパは照れ屋さんなんだから……おでこじゃなくて口でも良かったのにぃ~』……って、体をくねらせていた。
……最近の子供は、おませさんなのかな?
ゆらも娘に触発されたのか……物欲しそうな顔をしていたので、顎をクイと掴み朝からディープな方で対応した。
ゆらもまんざらでは無かったようなので、今日は帰ったら楽しみだ。
モデルの仕事は終わったが、ゆらのマネージャーとしての業務がまだ残っている。
……と言っても今後のスケジュールや、どんな仕事内容なのかを割り振っていく簡単なものだ。
ゆら自身が女優としてトップクラスの才能を持っているし、何より努力を怠らない。……だから、仕事に穴が空く事はまずないし、体調管理は俺が見ているから間違いは無い
しかし、予定は未定とは良く言ったものだ。
たまたま、ゆらが長期ロケに行くことになってしまった。
こう言ったことは、この業界ではよくある事なので仕方が無いのだが……よりにもよって娘の学芸会の日だった。
ゆらは泣く泣く……遠い異国に飛んでいってしまった。
「……ねぇ、パパ? アイの学芸会、もう少ししたらあるんだけど……見に来てくれるよね?」
「もちろんです。アイの活躍期待してますよ」
「やったー! パパだーい好き」
アイはそう言うと、正面から飛びついて来た。
今はまだ小学生だけど……この子が成長したら、俺より身長が高くなると思うとちょっと抱えきれないかも……。
まぁー時間が経てば少しは落ち着くだろうし、いずれは反抗期も来るだろう……。
若干悲しくはあったけど、男親の扱いなんてどこもそんなもんだ。
<学芸会当日>
アイの学年は、どうやら劇をやるようだ。
何の劇かは分からなかったけど、アイがウサギの耳を付けて踊ってる姿は可愛らしかった。
この辺はゆらの血を引いてるからか、演じる才能はあるようだ。
「アイさんのお父さんですよね?」
後ろの方で見ていたら、若い女性の先生が話しかけて来た。
「あ、いつも娘のアイがお世話になっております。父親のカミキヒカルです」
「いえいえ、私もカミキさんには夜な夜な……ゲフンゲフン失礼。アイさんには助けて貰っています」
……もしや、この先生俺の事をおかずにしてる?
ま、あんまり突っ込む話題じゃないし……女遊びは卒業したからね。
でも、この先生可愛い顔しているし、良い身体してるなぁ~? ……ちょっとぐらい味見しても……ゾワゾワ
その時……何故か悪寒が走ったが、気の所為だろうか?
「それでは先生、アイの事で何かあればこちらに連絡ください」
とりあえず……可愛い先生の手を優しく握り締めて、電話番号を握らせた。
「はい♡ その時は、お願いします♡」
後ろの方に居たし……何より身長が低いので、バレることは無いだろうと思っていたんだが……。
「……ヒカル君? ゆらさん以外の浮気はだめだよ……?」
アイの言葉は……他の子のセリフに紛れて、誰の耳にも届いていなかった。