高峯がバイクを飛ばしてくれたおかげで、撮影現場には余裕を持って30分程前には着くことが出来た。
30分あれば一回やってる余裕があるな……
「はい、じゃあヒカル楽屋で準備してきて」
「その前に高峯まだ時間ありますよね? ちょっとだけ良いですか?」
高峯を抱き寄せながら、耳元で囁くように言う
「……仕方ないわね♡ 復帰1回目のお仕事なんだから、ちゃんとこなしてよね?」
「勿論です。当然こっちも満足させますよ」
俺は高峯を楽屋に連れ込んで、短い時間ではあるものの濃厚な時間を楽しんだ。
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モデルの撮影も終えて、楽屋に戻るとようやく元気になったのか高峯も起き上がっていた。
「もう、ヒカルの所為で私現場に出れなかったじゃない!」
今回はマネージャーみたいな形で俺を案内した訳なんだが、苺時代とは立場が変わってしまったな
「……すみません。でも、高峯も気持ち良かったでしょ?」
「……まぁー確かにそうだけどムグ」
言い淀んだ高峯の顎をクイっと掴み、そのまま舌を絡めるキスを行いつつ、体を密着させる。
「……もう、強引なんだから♡」
「この後のスケジュールはどうなってますか?」
「皆との復帰パーティーよ♡」
「……それはとても魅力的ですね」
「はい、じゃあ帰るわよ」
高峯からヘルメットを受け取り帰路に着いた訳だが、やっぱり今日のキャラ弁はそう言う意味だったか……
リハビリ中はそう言った事は一切出来なかったし、ましてや空いた時間帯で娘達の教科書を借りて、勉強もしていた訳だ。
娘達は親だからってのもあるが……とっても可愛いくて、知らなければナンパしていたかもしれなかった。
多分喜んじゃ駄目な部類な事だし、何よりインモラル過ぎるから自重しないといけないが……原作でアク×ルビーと言うインモラル全開なカップリングが十分あり得るのが質が悪い!
アイの子供は死産する予定だったみたいで、中身はゴローとさりなっていう全く知らない人になって居る訳なんだが……
それを知らないアイからしてみれば唯のヨスガにそらってるだけである。
アイは実際アクアとルビーがそういう関係になったらどう思うんだろう? 手放しに喜ぶのかな? それとも……常識を説いて否定するのかな?
うーん、アイに常識を説く感性があるとは思えないから……喜びそうではある気がしてならない
それにもし、そういう関係になってしまっていたら、俺は注意出来るのだろうか?
親らしい事を何一つしていない俺が、そんな事を考えても仕方ないし……
今は高峯達の事だけを考えるとしよう。
何せ夜は長いのだから
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神木が転校してきてから、一ヶ月が経過していた。
この一ヶ月観察してたところ授業などは真面目に受けており、当てられても受け答えは出来ていた所から頭は良いのかもしれないが、反対に友好関係は薄くて、モデルの仕事をしているせいか、放課後遊んでいる様子は全くないが……それとは別に女子生徒には、美形だから人気があるようでお昼は何時も誰かしらと一緒に食べている。
その為……同性から好かれてはいないようだが、だからといって決して嫌われている訳では無いようで、上手い事やっているようだ。
そして、驚くことに中間テストは5教科全部合わせて480点超えの点数であった。
俺は中身大人で有る訳で、ちゃんと勉強もしているが……子供の時に知り合った五反田監督の下で裏方の仕事をこなしたり、役者の仕事もしているから分かるが、芸能関係の仕事をしながらも学業で結果を出すって言うのは簡単な事ではないし、なんなら妹のルビーは俺と同じく転生者で有るはずなのに……勉強をしない為、テストは何時も低空飛行である。
アイドルになるのが夢であるらしいが……出来ればアイドルになるのは辞めて欲しいものだ。
アイがアイドルとして活動していたから、俺達は何不自由なく生活出来ていたのは事実であるが、その為にアイは大切なものを無くしてしまった訳で、仕事や家事などに没頭するようになり、自分の時間を削って面倒を見るようになってしまった。
今の所は倒れてはいないし、俺やルビーも大きくなったので自分の事は自分で出来るようになって来たのだが、そうなると……アイ自身が必要とされてないと考えるようになってしまい泣いてしまうのだったが……
それも転校生の神木ヒカルが来てから……アイは変わった。
正確に言えば、アイは転校生である神木ヒカルに関して非常に興味を持っている。
人の名前を覚える事が出来ないアイが一発で名前を覚えた事は俺とルビーにとっては衝撃以外の何物でもなかった。
何せ自分の子供であっても名前を間違えて居たのに、赤の他人で会って話した事も無い人物の名前を覚えたなんて……嫉妬しない訳が無い!
俺と同じ容姿に、俺と同じ目の色で俺はアイから受け継いだ星があるが、神木ヒカルの目には星はなかった。
なら、転生者である俺の方が能力は上であるはずなのに……
何かが俺は劣っているのだろうか?
「ねぇアクア……神木さん帰ったし、私達も帰ろうよ」
「ああ、そうだな。特におかしい点は無いし、モデルの仕事先にはバイクで送り迎えされているみたいだから、尾行する事は出来ないしな」
「それにガードが堅い所為か、連絡先も交換してくれないしね」
「芸能界で生きてる以上は仕方ないだろうな。変に教えると何処から漏れるのか分からないからな。ルビーも安易に教えないようにな」
「そもそも、私はまだアイドルじゃないから教えた所で……」
ルビーはそういうと落ち込んでしまった。
「それにしても、アイになんて言えば良いのやら……」
「そうだねぇ電話番号交換しよって言ったら……『今は糸電話しかありませんので無理ですね』って正直に伝える?」
「……そうだな。嘘を吐いてもアイは見破るから正直に言うか」
アイは仕事の為、今までは帰りが遅かったが、神木の出ているモデル雑誌を見つけてからというもの帰って来るのが早くなっており、そして転校生である事を知ってからは、その神木の話を聞いて来るようになった。
それも、どんな些細な内容であってもだ。
一体神木の何が琴線に触れたのか全く分からないが、アイが帰ってきたら糸電話を話をするか……
「たっだいまー」
「「おかえりー」」
「ねぇねぇ神木君の事で何か変わった事あった?」
ああ、早速か……
「今日電話番号聞いたんだけどね」
「うんうん」
「神木君……『今は糸電話しかありませんので無理ですね』って言われて断られたの! 右手にスマホ持っているのに酷くないかな? 私みたいな美少女に聞かれたら普通教えてくれるもんだけど……」
ルビーはそういうと若干ではあるものの不機嫌さを出して伝えたが、ルビーの話を聞いたアイは喜色の笑みを浮かべながら涙を流し始めた。
「……ってママ大丈夫!?」
「……うん、大丈夫だよ。……やっぱり神木ヒカルは私の知っているヒカル君だったんだね」
「なぁそろそろ神木の事を気にする理由を俺達にも教えてくれ」
……涙を流して喜んでいるアイに聞いたけど……一緒に生活していた俺やルビーですら、それこそ初めて見るアイの本当に嬉しそうな表情に言葉を失った。
「なーいしょ♡」
内緒かぁーじゃあ仕方ないなぁ~