学校で授業を聞き、休み時間では可愛い女子達に囲まれて中身の無い会話を楽しむ日々が転校してから2か月が経過した。
中間テストでは良い点数が取れたし、モデルの仕事も順調で3:7の取り分ではあるものの……結構な金額を得ている。
正直なところを言えば、四条社長には迷惑をかけていた訳なんだから、1:9でも俺は構わなかったが……『じゃあ、1週間に8回抱いてくれたら考えてあげると』言われてしまい……かなり魅力的で嬉しい提案だったが、高峯達に怒られてしまったので、一週間に1回だけとなってしまった。
そんな訳でお金はあるにはあるのだが……使う暇は全くなく
家からは中学まで距離はあるものの、行きと帰りは高峯や渡辺がバイクや車での送迎をしてくれてるおかげで定期代はかかっていないし、ガソリン代も会社負担なので、タダとなっている。
じゃあ、食事代はと言えば朝・昼・夜ともにご飯を作って貰っているのでかかっておらず、生活費位しか俺は使っていないのだ。
そう考えると……俺中卒でも良いかなと思ってしまうのだが、年齢的に今年30歳だし、何より中卒で30歳って芸能界を引退したら、人生詰むも可能性が極めて高いので、冒険は出来ないな
高校に通うようになったら、年齢問題は無いも同然だから車やバイクの免許も取りに行けるし、仕事の幅を広げる事も可能だ。
そうなったら、また役者でもやろうかな?
そんな事を考えていると、今日の授業も終わって放課後になっていた。
「……神木お前に会わせたい人が居るんだが、時間良いか?」
帰ろうと準備をしていた所にアクアとルビーが来て、漸く餌に食いついて来てくれたが、行動に移るまでが意外と長かったな。
俺が知っているアイなら、『糸電話』の下りを聞いたら、次の日にでも突撃して来そうな気がしたのに……
アクアとルビーと共にアイも人として成長したのかな?
ま、モデルの仕事も18時以降にしてもらったから、時間に関しては問題無いし、そもそも、いつ来ても対応出来るようにしてきたのだ!
「ええ、良いですよ」
アクアとルビーに連れられて、歩いて行ける距離の喫茶店に来た。
店内に入るとカジュアルな感じで若者受けしそうな雰囲気ではあるのだが……角の一角に不審人物が座っており、黒いキャップにサングラスとマスクをしており、紫かかったロングヘアーの究極の元アイドルの人がこっちをじーっと見たかと思うと凄い勢いで手をブンブン振っていた。
思わずアクアとルビーの顔を見て聞いてしまった俺の対応は間違っていない。
「あの……角の所に座ってる人が会わせたい人物ですか?」
アクアもルビーも愛想笑いをしているが……口の端が引く着いたのを俺は見逃さないからな?
二人は……何も言わずに 究極の元アイドルが座っている席の……対面に座りやがった!?
えっ!? こういう場合って俺が対面じゃないの? なんで隣に座らないといけないんだ?
「ねぇー早くこっちに座ってよヒカル君!」
自身の隣の席をバシバシ叩いて存在をアピールする元アイドル様
「では……失礼します」
「もぉーそんなに畏まらなくても良いのに私とヒカル君の仲じゃない」
「そうですね……ではお久しぶりですねアイさん。元気そうで何よりです」
俺がそう言った瞬間だった。
アイはサングラスとマスクを外して俺の胸元に顔を押し付けて来た。
「本当だよ……ひっく……ヒカル君が、私の事を守ってくれたから、私……私生きて来れたんだよ……ひっく……」
「……アイそろそろ俺達にも説明してくれ、アイと神木は一体どんな関係なんだ?」
「そうだよ。お久しぶりも何も神木君って私達と同じ中学生なんだし、ママと会った事無いよね?」
あーアクアとルビーにはまだ説明していなかったのか……
相変わらずの秘密主義なことで……
「アクア、ルビー信じられないと思うけど、ヒカル君が君たちのお父さんだよ」
アイがそう言った瞬間だった。
アクアから物凄い目つきで睨まれてしまった。
「……あの、何故アクアは私を睨んでいるんですか?」
「お前が俺の名前を呼ぶな!?」
何故俺は嫌われているのだろうか?
これじゃあ話にならないからアイに任せるか……
「……アイさんお願いします」
「アクア落ち着いて……一体どうしたの?」
アイにぶん投げて見た所、アイも驚いたのでこんなアクアを見たのは初めてなのかもしれないが、ここは一緒に生活していた母親としての威厳を出して対処して欲しいが……
「落ち着いてなんか居られないよ! だってその人の所為でストーカーがアイを殺しに来たんじゃん!?」
ルビーの唐突な回答に俺もびっくりしたが、まぁー確かにすっごいタイミングだもんな。
疑われてもしょうがないけど……
「ヒカル君の所為じゃないよ!? アクアもルビーも勘違いしてるみたいだけど……ヒカル君がストーカーから私達を守ってくれたんだよ。それも命がけで」
そうだ。
アイの言う通り俺は命がけで守ったぞ!
結構な高さからリョースケ共々ダイブして、知らない人の車をぶっ壊したけど……
「だから、そのストーカーを手引きしたのが神木ヒカルなんだよ! そうじゃなきゃあの日マンションに居た理由が説明出来ないだろ!」
あ、そういう事ね。
そうか、そうだねー。確かにそれまで親交の無かった俺が唐突に泊っていたら、疑わしいよな……
「あの日は……えーっと、その、なんというか……」
アイは耳を真っ赤にしてゴニョゴニョし始めた。
実の子供の前で酔いつぶれた俺をお持ち帰りにして、おせっせしようとしたなんて言えねーよな!
俺も言えないし……言わないが、アクアとルビーの目の星が真っ黒に染まっているんだけどどうすれば良いのかな?
「とりあえず、何か飲み物でも飲みませんか? 私が出しますので……」
「じゃあ私赤ワイン飲む」
アイはそう言うと颯爽と手を挙げた。