★★★★☆
カミキが高校3年生に進級した。
カミキの高校生活から始まった共同生活で、保育園に通うようになってからは迎えに来てくれるのは決まってカミキだった。
アイも順調に仕事をこなしているし、以前よりも帰りは比較的早くなっている。
カミキは……俺が思っているような奴じゃないのか?
そんな疑問が頭を過るが、俺の中の雨宮吾郎が……その経験が……その考えを否定する。
『母親と俺を捨てた父親と同類さ、所詮はただの女たらしだ。自身の都合が悪くなれば俺達家族を捨てるに決まっている! アイは騙されているんだ』
『そんな訳ない!
だが、星野アクアとして過ごしてきた俺が反論する。
『俺が愛して止まないアイドルだぜ? 一緒に居れば金だって……今以上に、今後はたっぷりと稼いでくる』
『稼ぎの良さなら、カミキの方がはるかに上だ。今だってアイ以上に荒稼ぎしている!』
『……そうか? だが結局、女遊びで稼いでる醜い金だ』
『それでも、俺達家族を守る為に
大人の雨宮吾郎、子供の星野アクア……二人の言い分に、今の俺は賛成も反対も出来なかった。
カミキ……お前は一体、何なんだ?
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「カミキさん、今日はハンバーグが食べたい!」
ルビーから話かけてくれたのは、今回が初めてだった。
未だにパパ呼びはされないけれど……まぁ、それはいいや。
前世と合わせれば、精神的には17歳位だし……。反抗期みたいな時に、俺みたいな女たらしが双子の父親なんだから……そりゃ嫌がられるよな……。
……うん、そうだ。そんな中でも……きっとそう、歩み寄ろうとしてくれているんだ。
なんだろう……心が満たされた気がする。
こんな些細なことが……とても嬉しい。
「ええ、勿論良いですよ。今回はルビーも一緒に、ハンバーグ作ってみませんか? アイさんも喜ぶと思いますよ。アクアもどうですか?」
「ママも喜ぶんだったら、私も一緒に作る!」
「俺はやめとく」
「っ……そうですか。では、気が向いたら頼ってください」
アクアに断られた時、なんだかものすごく悲しくなった。
双子は転生者だから愛せないなんて嘯いても、結局は俺も唯の人の子か……。
今まではそんな事思いもしなかったのに……やっぱり長く一緒に生活していると、なんだかんだで情が湧くよな……。
「じゃあ、ルビーも手を洗ってください。アイさんも今日は早く帰ってくるようです」
「よーし、お母さんに喜んでもらえるように頑張るぞー」
「たっだいま~」
「「ママお帰り~」」
「アイさんお帰りなさい」
「ねぇねぇ、今日の夕ご飯は何? もうお腹ペコペコなんだ~」
「とりあえず……帰ってきたら手洗い、うがいをしてください。ばっちいですから」
「ばっちくないよ!」
「手洗い、うがいもしたよー。……で、夕食は何?」
「今日はルビーと一緒に、ハンバーグを作ってみました」
「ママ! 頑張って作ったから、ルビーの作ったハンバーグ食べて!」
「あれ? 私の家が天国になったんだけど……私、死んじゃうの?」
「その時は私が体を張って守りますので、アイさんは死なせませんよ」
……ああ、本当に口だけじゃなく守ってやらないとなぁ……。