カミキヒカルになりました。(本編完結)   作:だめねこ

69 / 220
第33話

★★★☆☆

 

 高校3年になってからも、カミキは俺たちの迎えには必ず来てくれた。

 

 自身も大学への進学を考えている中であっても、俺とルビーを優先してくれてる。

 

 ……だけど、俺はまだカミキに対して壁を作っている。

 

 雨宮吾郎であった頃の父親が……どうしても、カミキとダブってしまう。

 

 ……本当は分かっているんだ。

 

 カミキは決して、俺達を見捨てない事は…………。

 

 今じゃ、あんなに嫌っていたルビーですらも……カミキと楽しそうに話している。

 

 夜中……アイが寝ているときを見計らって、ルビーに聞いてみた。

 

「私ね? 先生以外、あんなに優しくされた事は無かったから……期待しちゃてるみたい……」

 

 俺の妹は、ただのチョロインだった。

 

 けれどもルビーは、カミキを認め始めて踏み込んだ。

 

 俺だけが……一歩を、最後の一歩を……踏み出せない。

 

 どうだろう……俺もいずれ、カミキを信じることが出来るだろうか?

 

 今の俺には……まだ分からない。

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

 アクアとルビーの面倒を見てから、大分時間が経った。

 

 大学に進学する希望ではある。だからこそ、家事や夕食の準備が終わったら……アイが帰って来るまでは参考書を読みながら、膝の上に座っているルビーの頭を撫でていた。

 

 そんな中、アクアから話を振られた。

 

「……カミキさん? カミキさんは、大学に進学するって言ってましたけど……どこを目指しているんですか?」

 

 本物(カミキヒカル)は大卒の理工学出身としか、情報が無かった。どこの大学を受けたなんて知らんが……奴は頭が良いから、恐らく東大でも受けたのだろう。

 

「そうですねぇ……とりあえずは、東大を狙っていますよ」

 

 神奈川出身だから、神大とかもあり得そうだが……本物(カミキヒカル)の考えることは、偽物(カミキヒカル)の俺には分からないし……理解も出来ない。

 

「模試の結果はどうでしたか?」

 

「…………残念ながらB判定です。まだまだ勉強不足ですね」

 

 アクア……驚いてるところ悪いけど、別段模試がB判定ってだけで受かる訳じゃ無いからな?

 

 そんな中、玄関を開ける音が聞こえた。

 

「たっだいま~」

 

 どうやら、アイが帰ってきたようだ。

 

 膝の上に座っていたルビーも、アクアと共にアイのもとにすっ飛んでいった。

 

「「ママお帰りなさい」」

 

「アクア、ルビーただいま~」

 

「アイさんお帰りなさい」

 

「ヒカル君もただいま」

 

「では『手洗い・うがいでしょ? 分かってるよ』……はい、それではお願いします」

 

 アイもようやく、学習してくれたようだ。

 

 やはり……反復するというのが一番大事なことであるのを痛く、痛感した

 

「手洗い、うがいも終わったよ。ところで……今日の夕ご飯はなーに?」

 

「カレーです」

 

「か、カレーかぁ~」

 

「もしかして……アイさんはカレーが嫌いでしたか?」

 

「そうゆう訳じゃ無いんだけど……私、カレーを食べるといつも口の周りが汚れるから…………ちょっとね?」

 

 ……この女はカレーを食べるとき……それこそ犬みたいに、皿に顔でも押し付けているのか?

 

「……それでは、私が食べさせてあげますからこちらへ」

 

 俺がそういうとアイは横に座るのではなく、膝の上に座って来た。

 

 お前…………二人羽織は普通に無理だし、せめて髪の毛ぐらいまとめろよ……。

 

「…………アイさん、この態勢は無理です。そして失礼ながら、重たいです……」

 

「私、重くないよ!?」

 

 身長同じぐらいだから、キツイって! 何なら、江戸時代の石抱の刑を食らってる気分だよ!?

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。