★★★☆☆
高校3年になってからも、カミキは俺たちの迎えには必ず来てくれた。
自身も大学への進学を考えている中であっても、俺とルビーを優先してくれてる。
……だけど、俺はまだカミキに対して壁を作っている。
雨宮吾郎であった頃の父親が……どうしても、カミキとダブってしまう。
……本当は分かっているんだ。
カミキは決して、俺達を見捨てない事は…………。
今じゃ、あんなに嫌っていたルビーですらも……カミキと楽しそうに話している。
夜中……アイが寝ているときを見計らって、ルビーに聞いてみた。
「私ね? 先生以外、あんなに優しくされた事は無かったから……期待しちゃてるみたい……」
俺の妹は、ただのチョロインだった。
けれどもルビーは、カミキを認め始めて踏み込んだ。
俺だけが……一歩を、最後の一歩を……踏み出せない。
どうだろう……俺もいずれ、カミキを信じることが出来るだろうか?
今の俺には……まだ分からない。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
アクアとルビーの面倒を見てから、大分時間が経った。
大学に進学する希望ではある。だからこそ、家事や夕食の準備が終わったら……アイが帰って来るまでは参考書を読みながら、膝の上に座っているルビーの頭を撫でていた。
そんな中、アクアから話を振られた。
「……カミキさん? カミキさんは、大学に進学するって言ってましたけど……どこを目指しているんですか?」
「そうですねぇ……とりあえずは、東大を狙っていますよ」
神奈川出身だから、神大とかもあり得そうだが……
「模試の結果はどうでしたか?」
「…………残念ながらB判定です。まだまだ勉強不足ですね」
アクア……驚いてるところ悪いけど、別段模試がB判定ってだけで受かる訳じゃ無いからな?
そんな中、玄関を開ける音が聞こえた。
「たっだいま~」
どうやら、アイが帰ってきたようだ。
膝の上に座っていたルビーも、アクアと共にアイのもとにすっ飛んでいった。
「「ママお帰りなさい」」
「アクア、ルビーただいま~」
「アイさんお帰りなさい」
「ヒカル君もただいま」
「では『手洗い・うがいでしょ? 分かってるよ』……はい、それではお願いします」
アイもようやく、学習してくれたようだ。
やはり……反復するというのが一番大事なことであるのを痛く、痛感した
「手洗い、うがいも終わったよ。ところで……今日の夕ご飯はなーに?」
「カレーです」
「か、カレーかぁ~」
「もしかして……アイさんはカレーが嫌いでしたか?」
「そうゆう訳じゃ無いんだけど……私、カレーを食べるといつも口の周りが汚れるから…………ちょっとね?」
……この女はカレーを食べるとき……それこそ犬みたいに、皿に顔でも押し付けているのか?
「……それでは、私が食べさせてあげますからこちらへ」
俺がそういうとアイは横に座るのではなく、膝の上に座って来た。
お前…………二人羽織は普通に無理だし、せめて髪の毛ぐらいまとめろよ……。
「…………アイさん、この態勢は無理です。そして失礼ながら、重たいです……」
「私、重くないよ!?」
身長同じぐらいだから、キツイって! 何なら、江戸時代の石抱の刑を食らってる気分だよ!?