苺プロの激務をこなしていたら……いつの間にか卒業式となっていた。
思い返せば、クラスの奴等との交流がほとんどなかった。
文化祭や修学旅行以外で、会話をしていた記憶がまるで無い。
双子の面倒に始まり、学業にお仕事に告白ラッシュ……唯一の楽しみが女子からのお弁当のみで、後は全くなかった……。なんともまぁ……寂しい高校生活であった。
大学も多分こんな感じだと思うと……気が乗らない。
しかし、B小町の受け皿を作るって宣言しちゃったし……今更やっぱなしでなんていった日には、今度こそ刺殺されちゃうよな……。
あーあ、どうしてこんなお先真っ暗な人生を歩まなければいけないのだろうか?
やっぱり、あの時アイを抱かなければ良かったのかな?
でも、多分抱いて無くてもいずれアイに一服盛られて逆レイプされてそうだし……かと言って、中学の修学旅行を休んでいても、劇団ララライに所属していたことはバレていた訳だからアイドルに復帰した後に何らかの形で来る事は予想出来たことだ。
仮に来なかったとしても……『アイが死ぬ=アクアとルビーに父親が犯人』だと思われて、やっぱり殺される運命だったのかと思うと涙を禁じえない。
何だろう……? 俺とアイは「一心同体」ならぬ、「一蓮托生」か何かなのかな?
ああ、これはいけないな。メンタルが病んで来た。
……何か……何か、楽しい事は無かったのか!? 俺の人生で!!
……そう振り返ってみても、セックスとサウナ位しか思いつかなかった。
大輝君は楽しいとかじゃなく、唯一の心のオアシスだし……。
……と、長い事考えているうちに卒業式は終わっていた。
特に友達がいる訳でもなく、一人寂しく帰ろうとした時に何やら嫌な予感がした。
「カミキ君、ちょっと待って!」
「……何でしょうか?」
振り返るとそこには、多数の女子達が居た。
「実は……カミキ君の第二ボタンが欲しいの!!」
ああ、少女漫画とかで良くあるやつね。
まあ……ボタンくらい、いくらでもあげるよ。
「私ので良ければ、ボタンくらい……いくらでもあげますよ」
言った瞬間に女子達の目の色が変わり、俺は取り囲まれ四方八方から無数の手が伸びてきてブレザーはおろかYシャツやTシャツまで脱がされた。
「やったー! カミキ君の匂いがしみ込んだTシャツ、ゲットよぉぉぉ!!!!」
「私はYシャツのボタン……」
「ブレザー私のものだ!! 一生の宝物にしますぅぅぅ」
女子達の勝利の雄たけびとは引き換えに……ズボンだけは何とか守ったが、まだ3月で肌寒いのに半裸にされるとは夢にも思わなかった。
一応、バイクの中にダウンジャケットを入れてるから良かったけど……半裸ダウンってかなりおかしい状態だ。
まぁーどさくさに紛れて、俺も女子のおっぱい触ったし……お互いさまだがな!
そんな訳でバイクに跨って事務所に帰ると……元B小町のメンバーが勢ぞろいしており、みんなが皆俺を野獣の様な目で見てきた。
「ねぇ、ヒカル君……? ブレザーはどうしたのかな?」
「大多数の女子に、ブレザーどころかYシャツもTシャツも取られましたが……もしや、皆さんも欲しかったんですか?」
「「「「「「「勿論欲しかったよ」」」」」」」
ああ、仕事は休みなのにまだまだ休めそうには無いな。
やるのは良いけど、休憩もさせて欲しいものだ。
俺は内心でため息を吐きながらも……結局、最後まで楽しんでしまうのだった。