カミキヒカルになりました。(本編完結)   作:だめねこ

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第47話

 ヘルニアと診断された俺は整形外科医に行き、ブロック注射を打ってもらった。

 まだまだ治療してもらってから日は浅いが、少なくとも激痛に怯えることはもう無かった。

 しかし、こんな形とは言え長期休暇を頂けたことだし……この機会に暇だからピアノでもやってみようと思い、アマゾンでピアノのキーボードを購入した。

 

「カミキマネージャー、ピアノ弾けるんですか!?」

 俺の世話を甲斐甲斐しく行っているニノが、驚いて尋ねてきた。

「……いえ、弾けませんよ」

「え? じゃあ、何で購入したんですか?」

「将来的に必要な事なので、弾けるようにはなりたいのですよ。……ギターでも良かったんですが、腰をやったばかりなので……ピアノにしただけです。ちなみに、ニノさんは弾けますか?」

「……私も、カミキマネージャーと同じく弾けないです」

 とりあえず、楽譜が読めるようになるの目標の一つに……今すぐの目標としては、鍵盤にドレミファソラシドと書いたシールを貼って、簡単な曲から弾き慣れていこう。

「第一目標は……猫踏んじゃったを弾けるようになりたいですね」

「……ピアノ教室に通い始めた子でも、弾けると思いますが……」

 ……仕方ないだろう。何分、初めてだし……? ピアノ教室に通う程の時間は取れそうにないから、俺には無理なのだ。

「……さて、まずはゴジラからですね」

 YouTubeで演奏してる人がいるから、それを参考に練習だ!!

「……たぶん、私でも弾けますよ?」

 

 こうして、俺の長く辛く厳しい戦いが始まった。

 

 東大に通いながら、時間を見つけては中庭でピアノの練習をして……。

 仕事をしながらも、暇な時は迷惑にならないようにすみ~っこの方で練習をして……。

 整形外科に赴いてヘルニアの経過観察をしてもらうと……順調に回復しているとのことで、2・3ヶ月には治る見込みと言われた。

 今ヘルニアが治るまではセックスは誰ともしていないし、する気は無いが……抜いてもらったり、手でイカせれば問題は無い。

 うむ、これもピアノ練習の成果が出て来たのだろう……。

 まだまだ、あの淫獣モンスターには敵わないが、着実に成果は出てきている。

 いまだに『ゴジラ』しか満足に弾けて無いが……今は『きらきら星』の練習中だ。

 これを歌いながらの演奏……いわゆる、『弾き語り』とは中々の難易度だ。

 歌に集中していると今どこを弾いているのか分からなくなるし、中庭で練習していると『きゃはは、あの人キラキラ星の練習してるーw』、『キラキラ星なんて小学生でも弾けるのにw』と複数人に笑われる始末だが……何でか知らんが、今じゃあ中庭で練習していると俺の周りをウロチョロし始めている……?

 もしや、これは構って欲しいという事なのか?

 クッ……ヘルニアになんぞなっていなければ即、口説いてアンアン泣かせたものを……!

 この悔しさをバネに……俺は、高く飛んでやる!!

 

 

 

<1ヶ月後>

 

 ……ようやくヘルニアも大分良くなった。それだけじゃなく、練習の成果か『キラキラ星』に加えて、『さくらさくら』も弾けるようになった。

 あいかわらず、うざったい観客もいる。

 ……俺なんかに構わず勉強でもしていれば良いものを……何でか知らんが近くまで来ては『きゃはは』と笑いに来るが、練習中は必ず見に来てる。

 俺もそろそろ、ステップアップの時だ!

 ピアノ発表会で良く弾かれる、『金の星』に挑戦だ!

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

 最近、大学の中庭で金髪の生徒がピアノ練習をしていると噂があった。

 これも昨今の時代なのかと思い、様子を見いに行くとあまりのレベルの低さにがっかりしてしまった。

 周りにいたものも金髪の生徒を嘲笑っていた。

 勉強に専念せず……ピアノで遊んでいる暇があるような生徒は、遅かれ早かれ自主的に辞めるようになるだろう……。

 私自身も彼を馬鹿にして、その場去った。

 

 

 ……だが、驚きがあったのは……一か月が経ったときくらいだ。

 

 中庭でピアノの練習をしていた生徒の彼を、何故かふと思い出した。

 そういえば……私は彼の名前を知らなかった。

 しかし、あの目立つ金髪に見目麗しい容姿だから調べるの容易かった。

 調べた結果私は驚いた。

 彼は入試に於いて上位の点数を取り、あの理工学の生徒であったことに感心もしたが、それと同時に深い憤りの様なものも感じた。

 彼がその気ならば、学年一位を取れてもおかしくないのに……!? 

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