カミキヒカルになりました。(本編完結)   作:だめねこ

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第48話

 ようやく……ようやく、ヘルニアが完治した!

 これで、病院に通うことも無くなり……事務作業に追われることになってしまった。

 ……なんだろう? 嬉しいハズなのに……。まぁ、それはともかく……ピアノを弾くようになってから、両手共に手先が器用になった気がする……。

 『金の星』も満足に弾けるようになったし、『猫ふんじゃった』に挑戦すべき時が来た!

 相変わらず俺はいつもの中庭で演奏をしていると、何故かギャラリーが湧き始める。

 いや、本当に大したもんじゃないんだから、スルーしてくれりゃあ良いのに……何でか知らんが求めても居ない感想を吐いて帰る輩もいる。

 暇なのかねぇ~。

 同じ東大生だから分かるけど……結構宿題とか多いし、そっちに気を回した方が良いと思うんだが……

 

 

 ……『猫ふんじゃった』も意外と問題なく演奏が出来た。

 

 出来てしまった……。

 

 やはり、努力だ。努力こそが重要なのだ!

 ……と、なると……俺のピアノの腕は最早、初心者を超えつつあるということになる。

 よし、次は『トルコ行進曲』に挑戦だ。

 

 あっ! これはまだ無理な奴だった。

 弾くスピードが速い所為で、指が吊りそうだわ……。

 流石、中級者向けの曲であるな……練習のし甲斐があるぜ。

 

 

 さらに、時間が経った。

 

 東大の文化祭は特に興味も無いから、邪魔にならないように隅っこの場所でピアノの練習をしていた。

 そもそも俺は友達を作りに大学に来ている訳でも無いから……出されたレポートを、授業が終わったら休憩中だろうと可能な限り終わらせて、出来ればその日の内に片付ける。

 宿題が無い日は当然の様に中庭でピアノの練習をしているが、最近考えることがある。

 カミキヒカル(本物)が何故理工学に入ったかの理由だが……自然科学に関する研究および教育を実践する組織であることから、科学的に人を殺す手段を得る為に入ったのかなと考えるようになった。

 もし、この考えが当たっていたら……俺は理工学じゃなくて、普通に教育学部にすればよかったと若干だが後悔していた。

 ま、どちらにせよ欲しい資格は取れる訳だから良いんだけど……。

 この世界にカミキヒカル(本物)はいないのに……一体、いつになったら俺は解放されるのやら……。

 そんなことを考えながらも、指だけは絶え間なくピアノを弾いていた。

 

 ……結構夢中だったのか、休憩時間も残り僅かになっていた。……まぁ、いつも通りに片付けて……次の講義に向かおうとすると、最近良く絡んでくる奴らがいる。

 

 どいつもこいつも『君のそれは芸術ではない!』『本気でやっている人たちを馬鹿にしているのか?』『下手くそ』と大体同じ事を言ってくる。

 それに対して俺は『私の将来に必要な事で、やっているだけですのでお構いなく』と返すと口をもごもごして黙ってしまう。

 いや、黙るんなら最初から絡んでくるなや! 

 鬱陶しい奴等だな!

 ……あ、そうだ。そろそろテストが近いから勉強もしないとな……。

 

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

 <ピアノサークル部>

 

 あいつが……カミキヒカルが気に入らない!

 あいつはピアノなんかやった事ない。

 そういうのは、音を聞けば本気でやっているかどうかなんて俺達は一発で分かる。

 ほんの数か月前まではゴジラを満足に弾けなかった奴を、その時俺たちは馬鹿にして笑っていた。

 しかし……ある日、うちのサークルの姫を傷つけやがった。

 ピアノの演奏において……国内でもトップクラスの国宝ともいえる存在を……!

 姫がカミキに告白したことも驚いた。

 カミキは確かに容姿が整っている。

 しかし、それだけだ。

 何かしらのオーラがある訳では無い。そんな中身すっからかんの男が姫から『あなた……可愛いわね? 私が飼ってあげるわ。光栄に思いなさい』と声を掛けられたのも気に入らないが……。『私はあなたみたいに暇ではないので結構です。……ただ、良い身体しているので……セックスくらいなら、相手をしても良いですよ?』……なんて、スカした上に下品な返しをしやがった……!

 顔真っ赤にして口をパクパクさせてた姫の表情は正直、可愛かったが……カミキのあの言い分だけは許せなかった。

 だから、あいつが中庭でピアノの練習をしているときは、罵詈雑言を浴びせているが……奴は聞いちゃいなかった。

 それどころか『私の将来に必要な事で、やっているだけですのでお構いなく』と言い放った。

 ……俺は……カミキに、恥をかかせてやりたく仕方なかった……!

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