カミキヒカルになりました。(本編完結)   作:だめねこ

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第59話

「ダメだ! カミキ考え直してくれよ。お前が辞めたらアイを筆頭にみんな悲しむぞ? だから頼む! 辞めるなんて言わないでくれよ……」

 事務所内で斎藤社長の声が響くが……俺の答えは変わらない

「いえ、アイさん達にはもう伝えてありますし、納得してもらってます。それにこのまま俺が残り続けてしまうと、それは苺プロにとって悪い影響がありますからね」

「どういうことだ?」

「私の仕事の取り方が問題なんです。今の所は表沙汰になってはいませんがこのまま苺プロが成長していくうえでは汚点でしかないですからね。何せ男娼染みたやり方ですからね。」

「だけどよぉ、その件に関してはカミキだけの所為じゃないし、お前はちゃんと報告してくれたし、何よりそのやり方を認めたのは、社長である俺だ。だから責任を取るのはカミキじゃないんだ」

 やっぱり良い人だね斎藤社長は……だからこそ、責任を取らせる訳にはいかない! 今この人が責任を取ってしまったら、アイ・アクア・ルビーを守れる人間が居なくなる。それだけは絶対に譲れない!!!

「なら斎藤社長には私の家族をお願いします」

「な、なら交換条件だ。3000万! 3000万持って来たらカミキが辞めるのを認める! それと期日は一ヶ月だ。用意が出来なかったらこの話は無しだ」

 その斎藤社長の交換条件を横で聞いていたミヤコさんが等々黙っていられずに斎藤社長の胸倉を掴んで自身に引き寄せる。

「壱護の馬鹿あんた自分が何を言ってるのか分かってるの? そんな大金一ヶ月で用意出来るわけないじゃない!」

 ミヤコさんも相当怒っているが、金額として3000万はアクア・ルビーの大学卒業までの教育費用と考えれば妥当ではある。

 むしろ譲歩してもらってるくらいだ。

「……一桁足りませんね。3億持ってきます。それに期間は一ヶ月も要りません。2週間もあれば十分です」

「は?」「え?」

 二人とも驚いて表情で俺を見る。

「私に3億用意出来ないと思いますか?」

「い、良いだろう3億だからな! 3億用意出来なかったらカミキは今後もここで働いてもらうからな」

「もう知らないわよ勝手にしなさい!」

「分かりました。あと期間中は休ませて貰います」

「ああ、分かった。とりあえずこの話はおしまいだ」

 俺は大きめのカバンを持って事務所を出た。

 

 今現在財布の中にはこの前銀行で下ろした100万が丸々入っている。

 一応姫野に連れて行ってもらった高級レストランでの万が一の時に備えて下ろしたお金だが……特に問題なく姫野が支払ってくれた訳だから使うことは無かった。

 詰まるところ、この100万に関して言えば使い切っても構わないお金だ。

 そして、おかしな話だが禁欲していた為か、今は何故か精神が落ち着いている。

 性欲と金の執着が不思議と無いバランスが取れているフラットな状態だ。

 以前アイとババ抜きをしてた時の偶然の的中率100パーセントが出来る。

 そんな確信があった。

 今から行ってすぐに稼げる場所なんて競馬かな?

 とりあえず東京競馬場に行くか……

 

 

 競馬場に着くと人がごった返していた。

 勝って笑う人、負けて涙を流してる人、競馬そのものを楽しむ人と多種多様な人々で溢れ返ってる。

 そんな中電光掲示板を見ると今丁度第4レースが終わったところだった。

 俺は偶々その辺に落ちていた新聞紙を拾って、競馬のオッズを確認する。

 ちまちま遊ぶの性に合わない!

 買うのは3連単のみで、倍率は69倍の3-5-13で良いや……

 自動販売機の所に行き、3連単を選び3-5-13を選んだ。

 とりあえずが50万が買える限界みたいだからぶっこむか……

 はてさて、どうなることやら……

 

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「ねぇ壱護本当にカミキ君が3億持ってきたらどうするつもり?」

「……いや、流石にいくらカミキでもそんな大金を2週間で用意出来るわけないだろうし、続けてもらうさ。それに俺たちはカミキに貰うだけもらって何一つ返せて無いんだからな。こんな恥ずかしい話あるかよ!」

「そうよね……カミキ君がどれだけうちに貢献してくれたのか私だって分かってるつもりよ。あんな状態のB小町を方法はアレだけど修復してくれたし……」

「よせ、アレは俺が悪いんだ! そもそもカミキは初めて会った時から俺に対してちゃんと明言してくれてたんだ。『劇団ララライ所属女たらしのカミキヒカル』ってな。それに6股問題だけじゃない! 営業の内容だってやる前に俺に相談してくれてたんだ。俺は……ただカミキに責任を押し付けてきた薄汚い社長だったんだよ」

 壱護はそういうと酒が並々と入ったグラスを一気に飲み干した。

「……でも、それは」

 言い淀むミヤコを前に壱護はグラスを置いて答えた。

「……カミキはアイを守る為に入った訳だが、今じゃあ苺プロも守る対象なんだよ」

 壱護の言葉にミヤコも返す言葉を失った。

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