約束の日になってしまった。
俺はこの2週間もはや生きた心地がしなかった。
てきとーに買った3連単が的中した。
それは唯の偶然で、ビギナーズラックだ。
次は外れるだろうと思ってもとりあえず、50万ぶっこんで50~100倍程度の3連単を一点買いでレースを見てみたら再度的中した。
こんな事ありえる訳がないのに……神通力染みた偶奇の勘
その後のレースも同じことを繰り返した。
払い戻しされた金額を大きなカバンに無理やり詰め込んで事務所に帰った。
俺は1日でいくらの金額を手に入れたのかは正確には分からないが、恐らく1億以上は稼いでるはずだし、その為カバンはかなり重くてバイクで帰るのは大変だった。
まだまだ猶予は有る訳だから、明日は別の競馬場で同じ事をして1億以上稼いだら撤退する。
競馬場も関東なら六ヶ所ある訳だし、バイクがあるから最悪地方まで足を運んでも問題は無い……
それを2週間繰り返した。
そして、今斎藤社長とミヤコさんの前にカバンいっぱいに札束を詰め込んだ物を三つ用意した。
「ハァハァ、さ、斎藤社長持ってきましたので確認してくださいね。私は数えてはいませんが、一つのカバンに着き1億は入っているはずです」
1万円札が1枚1グラムだから単純に1億は約10Kgだ。
面倒だったから、カバンいっぱいに入れて事務所にあった体重計で確認したら10Kgは余裕で超えたから問題は無いだろう。
「……カミキお前一体どうやってこの金を用意したんだ?」
「競馬ですよ……もう、当たる事は2度と無いでしょうけどね」
「け、競馬で当てたってのか!? この金全部!!!」
「そうですよ。私が持ってきたこの金は全部競馬で稼いだお金です」
「俺だって競馬位するが……必勝法とかあるのか?」
誰もが皆驚される魔法の言葉
あらゆる雑誌・メディア・サイト何処にでも着いて回る。
本当は気が付いてるはずなのに誰もが目を背けて信じて縋り付いてしまう必勝法……
カミキになる前の俺も当然競馬やパチンコに麻雀だってやっていたし、それは当然勝つこともあれば負けることもある。
それは至極当然の事だ。
だけど、それを否定したくてデータ解析や、馬の状態・レース会場あらゆるもの調べてみたけど結局は必勝法なんてものは存在しなかった。
「ギャンブルに必勝法なんてものは存在しませんよ斎藤社長」
「じゃあ、カミキお前はどうやって勝ったんだ?」
「……こんなのは唯の偶然ですよ。たまたま買った馬券が勝った。……ただ、それだけです」
この神通力のようなものは俺なりの理屈の上で行動した結果だが、こんなのは必勝法でも何でもないし、ましてや真似をされて逆恨みをされても困るから、言えないし言ったところで理解できる訳では無い……
「……分かった。カミキの退社を認める」
「壱護!?」
「仕方ないだろミヤコ……カミキは何時だって結果を出してきた。そして、3000万で良いところを3億用意もしたんだ。カミキお前は一体何を望んでいるんだ?」
さて、ここからが本番だ。
「私は独立して芸能プロダクションを設立したいと考えてます。そこでアイさん以外の旧B小町メンバーを全員移籍させて頂きます」
「アイを持っていくんじゃなくて、なんでアイ以外のメンバーなんだよ!?」
「アイさんにはアクアとルビーがついてますし、斎藤社長やミヤコさんもいるので問題ありません。しかし、彼女たちは違います。今まで冷遇されて来ていて、ようやく日の目を見れるようになった訳ですが、過去にアイに行った事が彼女達を苦しめてしまう事になってます。これは彼女達にとって苺プロは決して良いものでは無かった。ともすれば辛く苦しい思い出でです。なので彼女達を解放してあげてください」
俺は二人に頭下げる。
「……そうね。私達は彼女達にも負担を強いてたんだからね」
「分かった。カミキ……頭を上げろ。俺なんかが言えた義理じゃないけど……何かあれば連絡しろよ」
「私にもよカミキ君!」
「ありがとうございます」
こうして退職と高峯達の移籍問題等も何とかクリアした。
「ただ、辞めるのは大学卒業後にしてもらって良いですか? まだ物件探し中なので住むところが無いんです。……あと、高峯達もまだスケジュールが埋まってますので、消化出来るまでは苺プロ在籍って形でお願いします」
「「カミキ(君)いつまでも居ていいんだからな(ね)?」」
それはお断りします。