古魔族、放漫のトラオムの羽ばたき   作:リッチ

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快楽の魔法

 

 

 

 吾輩は魔族である。名は放漫のトラオムだ。

 

 嬉しいことに、今度に孫が産まれることになりました。……早すぎィ!!

 

 

 

 まあ、うん。めでたいね。ゼーリエちゃんも喜んでるよ。…………なんも言えねぇ。

 

 その喜びが困惑と怒りに変わるのが目に見えるようで……。

 

 それに、少し前に娘にとんでもない種族復興案を提出された俺としては複雑過ぎてな……。

 

 

 まあ、ちゃんと約束は守る。約束は大事だって教育したのは俺だし。

 

 こっそり地下に作った隠れ里で孫たちは一定の年齢になるまではゴーレムたちに面倒を見させる。

 

 ちゃんとエルフに化けさせた俺の分身も何人か送り込む。

 

 外の世界に出る条件として、里の中央に植えた巨大な樹の迷宮を一定まで進むことを条件とした。

 

 魔王軍がエルフ狩りとかやってるからね。

 

 それでも実力さえ付ければ、俺が選んだ魔法を一つ渡して旅立つことを許す。

 

 ……文化レベルを外とは比べ物にならない物にして、できる限り引き留めてやろうかな。

 

 

 

 ……でも、これからどのくらい増えるんだろうな。ゼーリエちゃんが発狂しかねんから、手加減して欲しい。

 

 でも、説得されちゃったんだから仕方ない。

 

 エルフが増えれば女神様も寛大な気持ちになって俺を認めてくれるかもだし。それに、孫、欲しかったし。

 

 

 これも魔人たちが毛ほどもそういう話を持ってこないせいでもある。だからといって、エルフ娘は極端すぎだが。

 

 ……趣味の割合はどのくらいなんだろうな、あのバカ娘。

 

 俺を半ば脅して、そっち系の魔法を幾つも引き出してかつてない速度で習得したからには、生来の素質があったんだろうが。

 

 どんな魔法を作ってしまった時よりも、あのバカ娘を解き放ってしまったことへの不安が強い。

 

 どうなってんだ。俺は大陸を沈められるレベルの魔法使いだぞ。

 

 

 

 まあ、俺がこうやって悩まされている時点であの娘の思惑は半ば達成されているのかもな。

 

 それなら別に構わないと思えてしまうのがちょっと悔しいわ。

 

 

 

 

 

 なんて考えてた時期が俺にもありました。

 

 

 いつもの人間の魔法使いたちの集まりに行ったら主催者から特別な話があるって言われて、いつもと違う会場に集められたんだよね。

 

 

 ……この時にほのかに感じた嫌な予感に従って帰っておくべきだった。

 

 

 俺は普通に心配だったので声を掛けている内に仲良くなった狂三ちゃんと、人間の魔法使いとしては凄く優秀なんでよく話してたソーサレスっぽい人に挟まれて席に座ったんだ。

 

 ああ、ソーサレスっぽい人なんだけど、凄いスタイルと格好してるけど既婚者だって自己申告してたよ。旦那さんともアツアツらしい。いや、それならこんな集まりに来るのは正直どうなんだと思ったけど。

 

 

 両隣の二人と「一体何だろうねー?」って呑気に話しながら待ってたら、会場にあるスピーチ用の壇上にすげー見覚えのあるエルフ(妊婦)が現れたんだよね。

 

 

 

 ウチのエルフ娘だったよ。

 

 一斉に懐から某教団の聖印を取り出すスタッフの魔法使いたち。

 

 そして始まる怪しげなカルトのセミナーっぽい演説。

 

 

 

 

 

 Q.行きつけの集いが娘の運営するカルトの勧誘活動の一環だった時のトラオム君の心情を答えよ。(配点:20点)

 

 

 

 

 

 こんな酷い話ある? (半死半生)

 

 指先がチリチリする。口の中はカラカラだ。目の奥が熱いんだ!

 

 いつも俺を励ましてくれる心の中の煉獄さんも、もう諦めて鬼になれって言ってるよ。

 

 

 でも、挫けてる場合じゃない。狂三ちゃんを逃がさないと……。

 

 右隣を見ると、狂三ちゃんは緊張した表情でゆっくりと頷いた。良かった。流石にヤバイと思ってくれてる。あのエルフ娘ほど突き抜けなくても、アムみたいになったらどうしようかと思った。

 

 俺たちは何とか脱出する方法を探そうとした――――その矢先だった。

 

 

 

 地獄の二重底が口を開いたのだ。

 

 

 

 左隣に座ってたソーサレスっぽい人が、泡吹いて失禁してぶっ倒れた。

 

 素でめっちゃビビったよ。

 

 人間でもかなりの賢者であり、いつもクールな大人である彼女がこんな無様を晒すとは思わなかった。

 

 だから、反射的に魔法で彼女の容態を鑑定したんだ。

 

 集まりの詮索しないルールとか気にしてられる状況じゃなかったしね。

 

 

 

 でもね、それはしてはいけないことだったんだよ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 Q.魅惑のダイナマイトバディの人間魔女の正体が、変身したゼーリエちゃんだと見抜いてしまった時のトラオム君の心情を答えよ。(配点:114514点)

 

 

 

 

 

 ……彼女の介抱を理由に俺と狂三ちゃんはその場を抜け出した。

 

 

 狂三ちゃんは「抜け出せて良かったですわね!」と嬉しそうに言ってくれた。

 

 精一杯の空元気で同意しつつゼーリエちゃんを魔法で一瞬で綺麗にして、今日の記憶を消した上で同性の狂三ちゃんに預ける。

 

 そして俺は、別のもっと健全な魔法使いの集いでの再会を狂三ちゃんと約束して別れた。

 

 結局、全てにおいて俺は何も気がつかなかったことにした。

 

 

 いずれは半狂乱になったゼーリエちゃんから指輪で連絡が入るのは確定的に明らか。

 

 でも初孫くらいは純粋に喜ばせてやりたい。故に今回は発覚を先延ばしにした。

 

 

 だが……彼女と俺はいつかはこの歪な関係のツケを払うことになるだろう。

 

 その時のことはその時の俺に任せる……まあ、覚悟の準備はしておこうか。

 

 

 

 今日はゆっくり休むとしよう。泥の様に眠りたい……でも辛すぎて眠れねぇんだわ。

 

 ……アルちゃん、ちょっと何も聞かずに慰めてくれない?

 

 

 

 

 

 ◆

 

 

 

 

 

 勇者ヒンメルの死より30年後。

 

 諸々の後始末を終えて撤退の為に合図を出そうとしていたアルは、突如として急接近してくる魔力を感じとる。

 

 それは最古参の大魔族として知られるアルよりも大きかったが、よく知る相棒の物でもなかった。

 

 思わず勢いよく振り返った彼女の目に、絶望の化身が飛び込んできた。

 

 

「ふぁっ!? ぜぜ、ゼーリエちゃん!? どうしてここに!? いえ、どうして動いてるの!?」

 

「お前にそう呼ばれる筋合いは無い! 舐めるなよ、赤魔公アル! アイツができることが私にできないことばかりと思ったか!」

 

 

 急接近しつつ、大魔法使いゼーリエははち切れんばかりの獰猛な笑みを浮かべたまま、掌に凄まじい大魔力を収束させる。

 

 完全にヤル気だと気が付いたアルは、浮足立つ仲間たちの前に立ちはだかりながら話し合いを求める。

 

 

「待って! 私たちはトラオムが魔族に送り込んだスパイなのよ! 戦う必要は無いの!」

 

「やはり魔族は嘘だけは上手いな。だが、それが通じる私だと思ってもらっては困る!」

 

「ええええ!? 嘘でしょ!? そっちこそ本当は気が付いているんでしょ!! お願いだから話し合いましょう!!」

 

「……いつかの誰かの様なことを言いおって。あの時にお前を仕留めておくべきだったよ……だが、その因縁もここまでだ! 喰らえ! 『爆裂の魔法(エクスプロージョン)』!!」

 

「いやぁああああ──!!!」

 

 

 が……駄目っ……! 取り付く島無し……! 

 

 

 最初から話し合う気などゼーリエには無い。正論パンチされたら負けるので。

 

 

 全霊の魔力を込めて、回避を許さないために広範囲を破壊し尽くす戦略級極大魔法を放つ。

 

 その小さな掌から更に小さな虹色の球体が高速で飛び出す。

 

 小さくとも、この場の全員を跡形もなく消し去ってしまう威力のある大魔法だ。

 

 なにせ、この場で誰よりも大きな魔力を持つゼーリエが、フリーレンと同じく『魔血玉(デモン・ブラッド)』でその魔力を何倍にも強化して放った一撃だ。

 

 時が止まっていることはゼーリエにとっても都合が良かった。フリーレンたちを巻き込んでも問題無いからだ。

 

 

 アルは白目を剥きつつも必死に防御魔法を発動するが、それは台風の前の雨傘も同じに見えた。

 

 仲間たちも必死に協力して防御魔法を発動させようとするが、もはや間に合わない! 

 

 

 

 破壊の光が全てを薙ぎ払う──────

 

 

 

 

 

 ────その瞬間、二筋の閃光が戦場に突き抜ける! 

 

 

 

 

 片方は緑色の閃光。

 

 矢の如き形状の穂先を持ち、見事に飛来する『爆裂の魔法』を射抜く! 

 

 

 おお! 何ということか! 全てを破壊するはずだった光球は炸裂せず、それどころか小さなずんだ餅となって地に落ちた! 

 

 これは紛れもない禁呪。魔神さえ恐れた究極の呪いだ! 

 

 

 

 もう一筋はどぎつい桃色の閃光。

 

 それは時を同じくして大魔法使いゼーリエの胸を射抜く! そして何と、その強力な守りを施してある体を貫いて見せる! 

 

 フリーレンを遥かに超える歴戦のエルフの大魔法使いが、声なき絶叫を上げる! 

 

 あげく、大魔法使いゼーリエは飛行魔法すら維持出来ずに不時着。

 

 アルたちの前に転がって蹲り、意識こそ失わなかったものの痙攣しながら行動不能に陥った。

 

 

 

 

 

 当然のことながら、危機を救われたアルたちは閃光がやって来た方角を見た。

 

 そこには、まるで痴女の様な格好をした薄紫の髪のエルフが一人。

 

 彼女は太陽の様に快活に笑いながら言った。

 

 

「ハーイ、アル! 絶体絶命だったわね! それと、久しぶりね、ママ。……嫉妬深い女は嫌われるわよ?」

 

 

 

 

 

 ◇

 

 

 

 

 

 しばらくその場は沈黙に支配されていた。

 

 救われたアルたちでさえ、感謝の気持ちよりも、実の母を『快楽の魔法』で撃ち落とした娘の所業にドン引きだった。

 

 その娘は全く気にした風がなく、止まった時間すら侵食しようとしていたずんだ餅を『消えない黒炎の魔法』で消滅させると、悪びれる様子もなくゼーリエに声を掛ける。

 

 

「大陸魔法協会に居る友人から今回の決闘を知らされたのよね。それで、もしかしたらと思ったらやっぱりママが来ていたからビックリしたわ。……まったく情けない」

 

 

 なお、友人と書いてスパイと読む。実は大陸魔法協会にはある組織の構成員が大量に紛れ込んでいる模様。

 

 腕を組んで心底呆れた風に言う娘に、ようやく息を整えてきたゼーリエが倒れたまま叫ぶ。

 

 

「こん……の、バカ娘がぁ!! 何故魔族を庇う!? ……いや、よくも親にこんな魔法を……エルフの面汚しのド淫○娘め……!」

 

「友達を助けるのに理由が居るかしら? ふふふ、それにしても酷い言われようね。まあ、事実だからしょうがないけど」

 

「友達だとぉ……?」

 

 

 ゼーリエは殺気を放ちつつ視線を娘からアルに移す。倒れたままなので、若干、威勢が衰えているが、それでもアルに「ヒェッ」と怯えの声を漏らさせる迫力だ。もはや娘がこうなった原因すら押し付ける気である。完全に冷静ではない。

 

 だが、ゼーリエの前に仁王立ちする娘は全く怯まず、母親に冷や水を浴びせることを言う。

 

 

「……偉そうにするのはやめてちょうだい。事情は知ってるのよ。ママにはアルを責める権利、無いわよね?」

 

「何だと……?」

 

「ついでに言えば、私を責める権利も無いでしょう?」

 

「……な、なにを言っている」

 

 

 ゼーリエの脳裏にもしや、という予感が走る。だが、それは中々に受け入れがたい事実だ。

 

 故にとぼける。しかし娘は容赦しない。

 

 

「当時は知らなかったとはいえ、先にパパを好きになったのはアルの方でしょ。私が未だに何も知らないとでも?」

 

「……ま、まさか」

 

「あと、ママにだけはエルフの面汚し呼ばわりはされたくないわね。私は相手に強制したことだけはないの、その一点でママには勝っているわ。……()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()、分かる?」

 

「────うううっ! そ、それは、その…………いや! 最終的にはちゃんと合意だったぞ!」

 

「だまらっしゃい!! 動画は確認したんだから! 見苦しい嘘吐くんじゃないわよ!」

 

 

 逃げ道を塞がれ、完全に止めを刺された大魔法使いゼーリエは遂にその場に突っ伏して「ぐうううぅぅ!」と呻きだす。

 

 羞恥と罪悪感が限界に達したのだ。ずっと目を逸らしていたが、彼女も負い目は感じ続けていた。

 

 いっそ素直に謝るべきなのだが、重ねた年月と事の重大さがゼーリエからその余裕さえ奪っている。

 

 傍から見ているアルは見ていられなくなって「そこらへんで……」と止めようとするが、娘は更に追撃する。

 

 

 

「パパと仲良くなった最初は世界の為だの真剣に考えてたのよね。……でも、事に及んだ時には完全に建前になってたんでしょ。分かるわよ、ママは恋愛クソ雑魚種族筆頭だもの。真実を知ってから思えば、コッコロやフリーレンを下に見てたのは本当に滑稽だったわよ。自分も真面な恋愛なんてできなかったくせに」

 

「ぐううぅっ! よ、よせ……お願いだから、もう許してくれ……」

 

「何言ってるの、まだまだこれからよ。アルに土下座して謝るまで許さないんだから」

 

 

 追撃は容赦なく続いていく。

 

 全く好感を得られるような振る舞いをしてないのに、相手の好意に甘え続けたあげくに独占欲を持ったことが信じられないだとか、千五百年以上もあったのに未だに「愛してる」と直接伝えたことがないとかマジ? など、ボロクソである。

 

 そしてゼーリエが娘に完全にやり込められて呻くだけの肉塊になったころ、ようやくタオルを投げるように止めに入る当事者が一人。

 

 

「それ以上はやめてあげて。ゼーリエちゃん完全に泣いちゃってるから……」

 

「! 現れたわね! クソボケ親父ィ! フン!」

 

「うわらばッ!?」

 

 

 現れたエルフに変身した父──トラオムは娘の裏拳一発でゼーリエの隣に沈められる。

 

 娘と両親が揃うのは千年以上ぶりになるが、絵面は最悪だ。

 

 なにせ両親は娘の足元に這いつくばって呻いている。

 

 ゼーリエは反射的にトラオムに縋りつこうとするが、娘が両者の間に愛剣『アマノムラクモ』を突き立てて防ぐ。

 

 

「そもそもパパがママを甘やかしたからここまで悪化したんでしょうが! ママが子供っぽくて意地っ張りで無駄に重い女なの気が付いてたでしょ!」

 

「いや、それが全く。監禁されて初めて気付いたんだよね。凄くない?」

 

「そう……確かに逆に凄いわよ、この朴念仁!」

 

「ウボァー!」

 

 

『念力の魔法』でトラオムが地面に叩きつけられる。

 

 傍観者たちはもうすっかり遠巻きになって見守るばかりだ。どうせ死なないし。

 

 

「そもそもアルをさっさと紹介してればここまで拗れてないでしょうが! その場合は私は産まれてなかったかもだけど!」

 

「そんな悲しい仮定ある? ……いや、万が一にもゼーリエちゃんと敵対したくはなかったんだよ。まさか好感度を稼ぎ過ぎてるとは思わないじゃん?」

 

「このコミュ障どもめ……!」

 

 

 頭が痛そうに眉間にしわを寄せながらも、娘は改善案を出す。

 

 

「パパはせめてアルを正妻だって明言しなさいよ。もうそこらの貴族より大きな勢力の長なんだから、別に愛人の一人や二人を囲っててもそれなら問題ないわよ?」

 

「いや、増やす予定は無いぞ。経験人数は生涯一人で終えるつもりだったし……お前と違ってそっちでは超越してないから」

 

「どんだけアルが大事なのよ! だったら他の女にワンチャンあるって思わせるようなムーブするんじゃないわよ!」

 

「ははは。そういうのはもっとモテる奴に言う事だぞ。俺みたいなのを好いてくれるような物好きがそんなに何人もいる訳ないだろ」

 

「うわ、マジで言ってるわ。このクソボケ親父……」

 

 

 言い合う娘と父に、ゼーリエが思わず復活して言う。

 

 

「待て、お前は娘なのに、本当に私を推してくれないのか!? そっちの角ありの方が良いとでも!?」

 

「うん(断言)。だって、魔法使いとしてはママが勝ってるけど、それ以外ではママがアルに勝ってるところ無いでしょ? あと、パパを抑えておく役割ができるのも何だかんだ言ってアルだけだと思うわ。……と言うか、マジで早く反省してくれない? パパがクソボケでアルが聖人じゃなかったらとっくに捨てられてるわよ?」

 

 

 無慈悲な言葉の槍に貫かれてゼーリエは再び突っ伏した。

 

 トラオムは「可哀想に……」とゼーリエを哀れんだ。でも否定はしなかった。

 

 娘は「さて……」と周囲を見渡すと、両親を引っ掴んだ。

 

 

「アル。悪いけど、パパとママをちょっと借りていくから。二人にはあとでちゃんと謝らせるから、少しだけ時間を頂戴?」

 

「え、ええ。ごゆっくり。……それじゃあ、みんな。片付けが終わったら撤収しましょうか」

 

 

 既にマハトの回収はトラオムが出した分身によって終わっている。黄金の呪いも時が動き出すと同時に解けるようにしてある。

 

 この後も分身から指示をもらえればいいので、アルは気を利かせた。

 

 それにトラオムは目線で感謝を伝える。精神的なショックは大きかったが、ようやく話し合う機会がやってきたことは有難く思っていたので。

 

 その後、トラオムとゼーリエは娘に引きずられてその場から消えた。

 

 時が再び動き出したのはそれから一週間後だったという。

 

 

 

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