なんかもういろいろ察せてしまうが、とりあえずそんな話。
その魔族は、何よりも「堅固さ」を求めていた。
血塗られし軍神リヴァーレのように、力や戦いを求めていたわけではなく、ただひたすらに固く、強固な守りを実現する魔法を目指していた。
いかなる勇者の剣も弾き。
いかなる戦士の斧も物ともせず。
いかなる僧侶の加護も弾き飛ばし。
いかなる魔法使いの魔法も無効化する。
そんな不滅、不壊、絶対無敵の堅牢な防御魔法、彼が魔族として極めんとしている魔法はそうした性質のものだった。
彼は魔族らしくそれを研鑽していった。魔族の長い寿命をかけて極めて行った。
そうして遂に編み上げた、究極の鎧。それこそが彼の『絶対の鎧を纏う魔法』。
大魔族には、その圧倒的な魔力を高密度に凝縮させ、衣のように纏って防御するタイプがいる。彼が目指したのはその究極系。
例え地獄の業火だろうと、裁きの光だろうと、破滅の雷だろうとも、彼の『絶対の鎧』の守りの薄皮一枚剥がすことは出来ない。
かの腐敗の賢老の『
彼は長い時間をかけて遂に作り上げた己の魔法に、当然の如く絶大な自信を持っていた。
この魔法ならばリヴァーレの攻撃だろうと容易く防ぐ。
この魔法の前ならば、たとえエルフの大魔法使いゼーリエの攻撃魔法ですら涼風だ。
いや、たとえ「女神の剣」の一撃だろうと防ぎきるだろう。
この世のいかなる攻撃も、彼の魔法の前には無力。まさに強靭!無敵!最強ォ!の三拍子がそろった究極の守り。
その意気のままに彼は行動し、実際に彼の魔法の鎧の前に、これまで誰も傷一つ付けられなかった。
魔法使いではない者から見れば薄布一枚しか纏っていない彼の姿だが、魔力が見えるものにとってはまさに堅固な鎧に見える。
そんな日々の中、彼は次なる獲物を見つけた。まだ若い人間の女の魔法使いだ。
魔力量もそれほどではない。これくらいなら「鎧」を纏うまでもないかもしれないが、彼はそんな糞みたいな驕りと油断は持っていない。彼は慎重であるがゆえに、防御の魔法を極めたのだ。まさか一撃で倒されるような情けない姿を晒すはずもない。
だから当然、自慢の「鎧」を纏った状態でその女魔法使いの前に現れ―――
「―――あ?」
ただの一撃で、体を両断されていた。
「魔族の体は、前に何度も切ってるからね」
塵となって風に吹かれゆく彼が最後に聞いたのは、さして興味もなさそうな黒髪の少女の声だった。
クソ驕3人衆「ナカーマ(;´∀`)」
不動の外套さん「俺は実戦なら躱していたから一緒にするな」