〜〜〜[アレクシア視点]〜〜〜
「これは、?」
「巨大な扉?」
「新たな戦士が出てくるのでしょうか?」
「魔女の次よ?魔人でも出てくるって言うの?」
「まさか、シャドウに聖域が応えたというのか?」
「司教様、応えたとは?」
「あ、あぁ、いえ、その、ご存じの通り今日は年に一度の聖域の扉が開かれる日です。しかし、女神の試練のさなかに扉が現れるなど、これまでは、」
「聖域の扉は大聖堂の内部に秘されていると聞いていますが?」
「扉とは、実体を持つそれ一つを指すものではないのです。あのように、自在に形を変え、ある場所を変え、求める者、資格ある者に応じてふさわしき姿で映し出されます。すなわち、招かざる扉、召集の扉、そして歓迎の扉。あの扉が何の扉かは…」
「いかん!扉が開いてしまう!信徒たちを外へ出せ!扉に近づけさせるな!」
〜〜〜[ナイト視点]〜〜〜
「さあ、皆様に万一のことあっては、退室を…」
反射的にアレクシアとローズが剣に手を伸ばし、戦闘態勢に入る。
「ヒィッ」
「いったい何を?」
「ハワワワワ」
左を見ると、そこには黒服に身を包んだ者たちが居た。
「貴様ら!まさか、シャドウガーデンか⁈」
「首を突っ込むなって言っても首を突っ込みそうな奴がいるが、特にアレクシア王女とか。一応、言っておく。扉が閉じるまで大人しくしてろ。」
「しんがりは予定通りで。アルファ達は先に入れ。」
「分かったわ。」
「デルタ。」
「はいなのです。」
アルファを先頭に、シャドウガーデンが扉の前に並び、扉に触れる。
「消えた!?」
「待て!聖域に入るんじゃない!」
「何をするつもりなのです。あなた達は、」
「何があるかを見るだけだ。」
「ウワァッ!」
イプシロンが、ナツメを人質にとる。
「動くな。」
「動くと、この女がどうなっても知らないわよ?」
「ワァーァ~ア~」
「ナツメ先生!」
「見捨てるのもありよねえ?」
「だめですよ!」
「私なら大丈夫です。」
「(うさんくさ)」
(小声でも普通に聞こえるんだが、)
「平気、ですからぁ~」
「ナツメ先生!」
「わざとらしい。」
ベータの演技が続きつつ、聖域の扉が閉じようとしていた
「そろそろ内部へ向かう。ネルソンと民間人にはついて来てもらうぞ。」
「ふん!行きたければ貴様だけで行くが良いわ!あの世へな!」
ナイトの後ろで物音がする。
(前から来るって知ってるけど、一応後ろ向くか。)
振り返る。
「やれ!処刑人ヴェノムよ!」
そして振り返った勢いのまま一回転しつつ、スライムソードを手に取る。
(完璧な位置にいるじゃないか。)
回転の勢いを使って、ヴェノムを斬った。
「ヒィィィ」
ネルソンを取り押さえる。
「さて、行くぞ。」
ネルソンを掴んだナイトに、ナツメを掴んだイプシロンが続く。
「「ッ!」」
「アーレェー」
(聖域の入り口に来たか。後続に巻き込まれないようにしないとな。)
「王女達も突っ込んで来る。避けておいた方が良いぞ。」
アレクシアとローズが落ちてくる。
「「うわぁーぁ~」」
「大丈夫ですか?」
「ローズ先輩、速くどいて」
ナイトが近くに歩いていく。
「「ん?」」
「「あ」」
「えっと、、、」
「ごめんなさい。つまづいて転んでしまって、そしたら扉が目の前にあってどうしようもなかったの。」
「シャドウの『関わるな』に対して『お断りよ!』って決心して飛び込んできたやつが言うセリフか?」
「なぜそれを⁈」
「陰の叡智(原作知識)に不可能はない。まぁ良い、進むとしよう。」
「これが聖域?」
「ここは、英雄オリヴィエが打ち倒した魔人ディアボロスの左腕を封印した地と伝えられている。」
「それがどうした?おとぎ話を頼りに、腕でも探しに来たか?」
「それよりも、今回知りたいのはディアボロス教団の事だ。」
「ん~?何の話だ?」
「答えられないのは分かっている。だから直接見に来た訳だ。最初からすべてを、歴史の闇に葬られた真実を探しに、」
「英雄オリヴィエの像。」
「英雄オリヴィエ?男性のはずでは?」
「我々はおおよその事は理解している。歴史の真実。教団の真の目的。そして、なぜこの英雄がそこのアルファと同じ顔をしているのか。」
アルファがスライムスーツのフードを解除する。
「貴様はエルフの悪魔憑き。だが適合できず死んだはず。」
「やはり知っているな。」
「我らも悪魔憑きの真実は知っている。今の秩序を維持したい教団にとってはとてもとても邪魔な訳だ。」
「一体、何の話を?」
「教団の目的が単なる魔人の復活ではないことも察している。しかし、確信自体はない。だからみんなで直接見に行くんだ。」
アルファが聖域を操作する。
すると魔法陣が現れた。
「何ぃ⁈」
「かつてここで大きな戦いがあり、大量の命が散った。」
扉が開き、明かりがつく
「馬鹿な。な、なぜ稼働する!?」
「魔人と戦士たちの魔力が渦巻き、その魔力の渦に行き場をなくした記憶が封じ込められた。」
「ここは古の記憶と魔人の怨念が眠る墓場。」
アルファの横にオリヴィエが現れる。
「オリヴィエ!」
「さて、おとぎ話の世界に旅立つとしようか。」
「ここは、?」
「聖域に閉じ込められた、英雄オリヴィエの記憶だ。かつてここは、教団によって身寄りのない子供が集められ、ある実験の被験者になった。ほとんどの子供はそれに適応できずに死んだ。残ったのはほんのわずかな女の子だけ。」
「これは、悪魔憑き、?」
「むごい」
「オリヴィエは、それに適合したわずかな子供の一人だった。」
「それってのは何なの?」
「『ディアボロス細胞』我々はそう呼んでいる。教団は魔人の細胞を子供たちに移植する実験をしていた。」
「くぅぅぅ、仕方なかった。魔人に対抗するには力が必要だったのだ。」
「これが教団の言い訳だ。それはともかく、実際にオリヴィエは魔人の左腕を斬りおとしている。」
「おとぎ話ではなかったというの?」
「まぁ、どう思おうと自由だ。ここで見ている光景も、結局どこまで真実か分からない。記憶は時間と共に色褪せ、作り変えられる。ともあれ成長し、ディアボロスの力を得たオリヴィエには、一つの任務が与えられた。」
「魔人の討伐、よね?」
「おとぎ話ではそうなっているが、彼女に与えられた本当の任務は、新たなディアボロス細胞の搾取。」
「でたらめを言u」
イプシロンがネルソンの手を力強く握った。
「彼女は力を得た後も従順だった。きっとその先に人々が平和に暮らせる世界があると信じて、しかし教団の目的は違った。」
世界が割れる
「戦場⁈」
「それは、斬り落とされてもなお生きていた。」
「教団は、古代の高度なアーティファクトで左手を封じ込んだ。その肉を切り刻み、血をとって研究し、ディアボロス細胞の驚異的な生命力を得る為に。その過程で生まれたのがこれだ。」
瓶に入った赤い錠剤を見せる。
「それ、」
「でもこれは、副作用も強く、教団が真に求める物ではなかった。」
瓶を落とす
世界が割れる
「魔人の腕が!」
「遺跡⁈なんて大きい、」
「ば、馬鹿な。貴様!よりにもよってここを暴くつもりか!」
中央に居る人物の方を指差す。
「よせ見るな!実験体の末裔ごときが、知っていいものではない!」
「赤く輝くそれは、まるでディアボロスの血の様だったという。」
「それを舐めれば莫大な力と、老いることのない肉体を得る。」
「不老不死、とでも言うのですか?」
「それが教団の真の目的。」
「そこのネルソン司祭と、」
イプシロンがネルソンの顔を上げさせる。
「あそこの男。九割以上一致と思わないか?」
「当事者なら細かいことも分かりそうだな。この薬の名前は?」
(知っているけど一応聞く。)
「し、雫だぁ。ディアボロスの雫ぅ。」
「把握。でもこの薬は二つの大きな欠点を抱えていた。」
「欠点、ですか?」
「それくらいなら見ててわかったわ。過去のこいつには髪がある。でも今のこいつには、」
「違うわ!違う!髪が抜けたのはストレスのせいだ。どうせ死なんのだからと、どいつもこいつも厄介ごとばかり!普段はいがみ合っているくせに、どうしてわしに後始末を押し付ける時は協力し合うのだ!?あいつらは!」
「えっとぉ、ごめんなさい。」
「欠点のうちの一つは、ディアボロスの雫は定期的に摂取しないと効果を失うという事。一年に一度で合ってるよな?」
「その、通りだぁ。」
「二つ目は、ごく少量しか生産できない。一年で?」
「12滴だぁ。」
「そういえば教団の最高幹部、ナイツ・オブ・ラウンズの数も確か12人だったな。偶然か必然か。」
「教団はディアボロスの雫を、未だ完全なものにできていない。完成のカギとみているのは、封印された魔人の体と英雄の子孫。そう、アルファのようなオリヴィエの血を色濃く受け継いだ者。そうだろう?第十一席。」
「教団では誰もがその雫から得られる力と、永遠の命を求める。いかにも!私は選ばれたナイツ・オブ・ラウンズ、強欲のネルソン!」
デルタが背中からネルソンを刺し、下に落とした。
「デルタ、殺すのは情報全て引き出した後と言われていたでしょう?」
「はぁあ…」
「すいませんアルファ様。でもデルタはあいつは狩った方が良いと思ったのです!この前、山でイワイノシシを…」
(俺よりもアルファの方が恐いらしい、まぁ俺は怒ったことないしな。)
「黙りなさい。」
デルタが丸くなる。
「それと、いつも言っているでしょう。」
「?」
「獲物を仕留めたかはちゃんと確認しなさい。」
ネルソンが下の水から伸びて来た
「うーわーはっはっはっ、あはははは、あーはっはっはっ」
世界が割れる
「白い!」
「今度は何⁈」
「うはははは、聖域は我らの領域。教団に牙を向けた事を、その身で悔いるが良い!」
ネルソンが分身する。
デルタが吠える。