第15話A「最強最弱の手段」
〜〜〜陰の間〜〜〜
「ガンマ、イータ、チャーリー、例の物は準備できているか?」
「はい。いつでもいけます。」
「イータさんのおかげで、量産も進んでいる所です!」
「ブイブイ」
「ならば上出来だ。」
陰の間の扉が開き、シャドウがやって来る。
「シャドウ、大いなる波に乗り込む変装の準備は整っている。」
「さすがナイト、準備が良いね。」
「もちろんだ。」
(俺は『陰の協力者』なのだから)
「ジミナ•セーネン。怠惰で魔剣士としての実力も低い。5年前に貴族の家から勘当されて、人知れず無気力に死亡。顔も肩書きも揃っている。」
「良いねぇ。それで、どうやって変装するの?」
「まずはそこに座って、魔力を通すと皮膚そっくりになるスライムを付ける。その後に、玉座の上にある機械で削って塗装して顔の形にする。」
「なるほど。」
「じゃ、スライム付けるぞ。」
ペトペト
ポー
ガタガタガタガタ
ピーン
ウィーン
「ほい、鏡。」
「うん、なるほど、すごく弱そうだ。」
「どうせなら、猫背の方がそれっぽいかぁ。なで肩で、声も表情も、」「無気力な方が良い。」
「さすが主様!お上手です。姿勢と歩き方を見れば、その人間がどれだけ体の使い方を理解しているかが分かる。かつて主様がおっしゃったことを見事に体現なさっていますわ。」
(戦闘面に関しての知識はシャドウの方が良いからな。)
「衣装も剣も、中古の安物でそろえてある。」
(今回、ジミナの引き立ての為に作った顔はケンシ•ベッテラン。年老いたベテランの魔剣士だが、とある病によってアーティファクトなしでは生きれなくなった。それでも剣の実力はある程度保持しているみたいな感じの設定だ。ただ、適当に作った名前だから、知ってる奴なんて要る訳ないので、ニューにモブ魔剣士に変装してもらって、嘘の功績を解説してもらう。)
「ちょっとあなた」
アンネローゼがジミナに話しかける。
「もしかしてブシン祭に出場するつもり?安物の剣、ひ弱な体。どこから見ても素人じゃない。悪いことは言わない。ブシン祭への出場はやめなさい。舐めたことしてたら、怪我ではすまないわよ。」
「人を見かけで判断するのはやめておけ。」
「なっ、人がせっかく忠告してあげてるのに」
「俺には必要ない。」
アンネローゼを無視して歩き出す
「ちょっと、話はまだ、」
「おい、待ちな兄ちゃん。人の親切には素直に従っておくもんだぜ。」
「あーもう、言ったそばから、」
「俺はクイントン。ブシン祭には何度か出てるが、毎回おめぇみたいなやつが場を白けさせるんだ。頼むから…」
「実力とは見かけが全てではない。」
クイントンに認識されずに、横に立つ。
「なっ!誰だこの爺さん、」
「ワシはケンシ。ケンシ•ベッテランじゃ。これでも昔は大会で優勝したりしてたんじゃがのう。」
「ケンシ•ベッテラン?聞いたことがあります。確か、東国の魔剣士で百戦無敗と言われていましたが、突如病にかかり、表舞台から降りたという、、、」
「表舞台に立っていたのはもう何年も前じゃよ。今じゃこの年だが、剣士としての腕前は落ちていないつもりじゃ。」
「ほぉ、それで?」
「相手の実力を測る上で、見た目ほど信用できないものはない。真に見るべきは、相手の想いじゃ。ほれ、現におぬしよりと強いと思っている目をしておる。」
「クイントン、舐められてるぞ。言われっぱなしでいいのか?」
「俺よりこいつが強いってえ?口の利き方には気を付けろ!」
クイントンがケンシに向かって拳を振るうが、簡単に避けられる。
「蚊でもいたのかね?」
「ッッッぶっ殺す!」
クイントンがいくつも拳を振るうが、すべて避けられる。
「まだまだいくぜオラア!」
さらに拳を振るっても全て避けられた。
「最近の若もんは、この程度なのかね。」
そして、クイントンの拳を掴む。
その拳を振るおうとするが、力で止められる。
「ちっ、」
「んだよクイントン、しょんべんか?」
「つまんね、もう終わりかよ。」
「ああ゛?」
(俺はここらでフェードアウトしておこう。)