陰の協力者になりたくて!   作:ただの厨二病A

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第16話A「隠れたる真意」

 

 

(そろそろベアトリクスの足止めに行くか。)

 

(100歳超えてるベアトリクス相手にケンシ•ベッテランの顔は使えないから、ヨル•カーゲニーワの顔で良いか。人探しの旅の最中に聖域の話なんて、ほとんど耳に入ってないだろう。)

 

 

ベアトリクスとヨル•カーゲニーワの姿ですれ違う。

 

「エルフの臭いがした。」

「?」

 

「エルフの知り合いが居る?」

「何人か。」

「私はエルフを探している。」

「うん」

「可愛い子だった。」

「うん」

「心当たりはないか?」

「特に。」

「私とよく似ているはず。妹の忘れ形見だ。」

 

「私とよく似ているエルフに心当たりはないのか。」

「いや、知らないかな。」

「本当?」

「もちろん。」

「そっか。」

(見たところ、多分原作通り寸止めだよな?ちょっと怖いところあるが、魔力込めて防御する準備は整ってる。)

 

ベアトリクスが剣を抜き、ナイトの首元で寸止めする。

「ふっ、」

「強いな。君の名は?」

「ヨルだ。」

「私はベアトリクス。いつか戦いたい。」

「いいや、俺より強い奴なら一人知っている。今度連れてくるよ。」

「そうか。時間をとらせてすまない。」

 

 

(さて、これで最初のシドとの接点は消した。後の接点はイータ製消臭スプレーをシャドウに渡して対処しておこう。)

(次はジミナの引き立てだな。)

 

 

 

「嬢ちゃんの目当てはこんなしけた試合じゃなくて次だろ?」

「確かあなたは、」

「クイントンだ。昨日の3回戦、嬢ちゃんも見てたんだろう?」

「そうね。そういうあなたも?」

「その気はなかったんだが、偶然目に入ってなぁ。」

 

「ジミナ•セーネン、あんたはどう見た。」

「対戦相手が転んで、運良く勝ったようには見えなかったわ。」

「あぁ。あいつなんかやりやがったぜ。それが何なのか俺にはわからねぇが、嬢ちゃんなら分かるんじゃねえか?ベガルタ七武剣のアンネローゼ•フシアナスさんよ。」

「その名は捨てた。今はただのアンネローゼだ。」

「そりゃあすまねえ、遅くなったが、女神の試練、合格おめでとうさ。」

「どうも。」

 

「それで?まさか嬢ちゃんでも分からなかったのか?奴が何をしやがったのか。」

「全ては分からなかった。まさか私の目をもってしても追いきれないとは思わなかったわ。ただ確かな事は、ジミナ君の右手が動いたように見えた。」

「ほう。右手か。」

「えぇ、右手よ。何をしたかまでは分からないけど、それだけは間違いないわ。あと一つ言えるとすれば、とてつもなく速かったって事。」

「右手であごに一発じゃ。」

 

「あんたは、昨日の爺ちゃんか。よく見えたな。」

「剣は衰えておるかもしれんが、目は衰えたつもりはないのでな。」

「はぁ。となると俺の予想は外れかぁ。使用禁止のアーティファクトでも使ってやがるかと思ったんだがなぁ。」

「その可能性もなくはないわ。」

「彼は速さだけでなく、一発で相手を気絶させる力もある。アーティファクトの可能性は低いんじゃないかのう。」

 

「どちらにせよ、今日の試合で分かる。」

「対戦相手は不敗神話のゴルドー•キンメッキ。彼は一度も負けたことがない。」

「ほぉ。俺は知らねえが、有名らしいな。強いのか?」

「わしも知らんのう。強者であれば、忘れぬはずじゃが、」

 

「良くも悪くも有名ね。私も過去の大会で3度、彼と当たっている。」

「ゴルドーは一度も負けたことがない。って事は、嬢ちゃんも負けたのか?」

「そんな訳ないでしょう?戦えなかったのよ。」

「はぁ?なんじゃそりゃ。」

「彼は負ける可能性がある相手とは決して戦わない。当たった時点で棄権する。ついた二つ名は『不敗神話』。彼自身はそれを嫌って、『常勝金龍』と名乗っているようだけど、」

「常勝と不敗。似ているようで全く別の意味だな。」

「その違いを気にしているようでは、まだまだじゃろう。」

「どうかしら。彼は確実に相手とだけ戦って、大会で上位に食い込んでいる。規模の小さい大会なら、優勝経験もあるわ。」

「ほぉ。弱い訳じゃねぇって事か。」

「ゴルドーの強みは、実力差を確実に見抜くことよ。その彼が、ジミナ相手に逃げなかった。」

「それであれば、彼に勝てるわけないと分かるはずじゃがのう。強者と戦っていれば、それも見抜けるようになっていたはずじゃというのに、」

「なるほどな。不敗神話ですらジミナの実力を見抜けなかったか。」

 

「付け加えると、不敗神話はこれまで、確実に勝てる相手とだけ戦ってきた。つまり、まだ試合で一度も本気を見せた事はない。」

「そりゃ、面白くなるな。」

「えぇ、」

「本気を見せないというのは、良い心得じゃ。強者と戦わなかったからと言うのは残念じゃが、」

 

「四回戦第六試合、ゴルドー•キンメッキ対ジミナ•セーネン。試合開始!」

 

 

ゴルドーが一気に加速してジミナに迫り、首に狙いを定めて剣を振るう。

 

が、避けられる。

それによってやられると思ったゴルドーが固まる。

 

 

ジミナがゆっくりと剣を抜き、構えた。

 

そして、ゴルドーが距離を取る。

「お前舐めてんのか!」

 

「見えたか?」

「かろうじて。」

「さすがだな。俺は見えなかった。不敗神話の剣が、ジミナの首を捉えたと思ったんだがなぁ。」

「そう。普通なら避けられるタイミングじゃない。」

「『普通』なら、じゃろう?」

 

「私に見えたのは、ジミナが剣の当たる直前で首を鳴らした。」

「首を鳴らした?」

「こう、コキッコキッと。」

「ぁあぁ、ちょっと待て、余計に意味が分からん。」

「私にも分からない。彼が首を傾けた瞬間、コキッと音がして、ゴルドーの剣を避けたんだ。」

「おぬし、錯覚させられておらぬか?」

 

「錯覚?」

「おいおい、そりゃあねえだろ。対戦相手のゴルドーだけでなく、観客まで騙したってのか?」

「ならば、なぜコキッという音が聞こえたのじゃね?こことはかなり離れておるし、地面を蹴った衝撃に、ゴルドーの気合いだって鳴り響いておった。それなのに首を鳴らした音が聞こえたんじゃぞ?」

 

「だが、そんなことしなくとも普通に避けりゃ良いだけじゃないか。わざわざ周りを騙す必要なんてねえじゃねえか。」

「戦いにおいて、相手の強さ、技、本気は重要な情報じゃ。あるとないとでは有利不利が変わる。そのくらい分かるじゃろう?」

「確かに、、、だが、あの速さの斬撃だぞ。首を鳴らしたように見せて避けるなんてできるわけがねえ。」

「不可能は不可能だと思うから不可能なんじゃ。空を飛ぶことだって可能かもしれないと思う気持ちで物事を見る事じゃな。」

(実際、飛べるが。)

 

 

「気に入らねえな。お前は今、千載一遇の好機を逃した。なのになぜ平然としている。お前が俺に勝てるかもしれない、人生でたった一度きりの機会を逃したんだぞ!もっと嘆け!もっと悔しがれ!無様にあがいて這いずり回れ!そうしないのは俺に対する冒涜だ!」

 

「まさか、好機を逃したことすら気づいてないのか?バトルパワー17の雑魚が、俺に恥をかかせやがって、全力で、屠ってやろう!」

ゴルドーが金色の魔力を可視化する

 

「冥途の土産に教えてやるよ。俺のバトルパワーは4330だ。」

「邪神秒殺金龍剣!」

 

 

 

「ゴルドー•キンメッキ。雑魚じゃねえな。」

「あれほどはっきり魔力を可視化できるとは、思った以上だったわ。彼が上を目指し、強者との戦いを求めていれば、もっと優れた魔剣士になっていたでしょう。」

「それで、ジミナは最後、何をしやがった。」

「私にはくしゃみをしたように見えた。」

「ん。は?」

 

「くしゃみと同時にジミナの剣が振り下ろされて、そこにゴルドーが突っ込んで、衝突事故よ。」

「果たしてそれは『事故』なのかのう?」

「いやいや、そもそもがおかしいだろ。龍とくしゃみがぶつかってくしゃみの勝ちかぁ?」

「事実そうだった。ゴルドーは『千載一遇の好機を逃した』と言っていたけれど、そもそもジミナはゴルドーの隙を狙う必要すらなかった。つまり、ジミナにとっては、すべての瞬間が隙だった。」

「ふんっ、バカバカしい。真面目に聞いて損したぜ。奴が勝ち上がってくれば、予選決勝の相手は俺だ。化けの皮をはがしてやる。」

「おぬしでもはがせないと思うがのう。」

 

「さて、わしもそろそろ行くとしよう。」

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