そして夜になり、ナイトはシャドウの座る椅子の後ろに立ち、窓側を向きながら応援団のポーズで構えている。
そして、そこにベータが音を立てずにやって来た。
「わぁ〜〜〜」
「時は来た。今宵は陰の世界。」
「陰の世界、月の隠された今宵はまさに我らにふさわしい世界ですね。」
「準備が整いました。」
「そうか。」
「ナイト様の命により、近場の動かせる人員は全て王都に集結させました。」
「その数114人。」
「作戦は王都に点在するディアボロス教団フェンリル派アジトの同時襲撃です。」
「それと同時に、アレクシア王女の魔力痕跡の調査、突き止め次第確保します。」
「全体指揮はガンマが、現場指揮はアルファ様が執り、私はその補佐を。」
「イプシロンは後方支援、デルタが先陣を切り作戦開始の合図のとします。部隊ごとの編成は…」
シャドウが手を挙げて制した。
その手に握られている手紙をナイトが受け取り、素早く開封し、ベータに見せる。
「これは、、、」
「デルタには悪いが、プレリュードはボクが奏でよう。」
「はい、そのように手配を。」
「付いてこいナイト、ベータ。」
(俺は言われなくても最初は付いていくけど、)
「今宵、世界は我らを知る!」
「はぁ〜〜〜」
人気の少ない路地裏、そこに2人の人影があった。
「結局、監視の連中は連絡をよこさなかったか。」
「どこで遊んでいるやら。連中、組織の恐ろしさを分かってないんじゃないか?」
そこに向かって来る人影があった。
「おい、」
「来たか。」
そして、その人影に向けて靴を投げた。
そこにやって来たシドがその靴を手に取った。
「よう、色男。王女の靴なんて持って、どうしたんだ?」
「あーあぁあぁ、ばっちり魔力痕跡残ってるな。」
「なるほど。そう言うことか。」
「あぁ、そう言うことだ。」
「さっさと口を割れば痛い目に遭わずに済んだのによぉ、」
「シド•カゲノー、王女誘拐の容疑で逮捕する。」
「抵抗するなよ?ま、お前にそんな…」
騎士団員の後ろで、何かが落ちる音がし、振り返ると、
「こいつら、見張りの!」
騎士団員の1人がやられる。
「てめぇ、何しやがっ…」
シドから伸びてきたスライムによって腕が斬られる。
「騎士団にこんなことして、タダで済むと思って…」
「心配することはない。」
「夜が明ければ全て、」
「「終わっているのだから」」
「後ろか!」
後ろを振り向こうとするが、それよりも早くスライムが刺さった。
(真横を通って背後に回ったけど、気づかれなかったな。)
「その刹那、偉大なるナイト様は人智を超えた静けさで愚劣な騎士団員の後ろに回り、高貴なお声で語るやいなや鮮烈な一撃を…」
その時、建物が崩れる騒音が聞こえてきた。
「デルタか。」