お祖母ちゃん、VRMMOで余生を謳歌する!   作:LUCIOLE

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終にベータ版終了です。

そして、お婆ちゃんは新しい世界へ!

はまた次の回ですw


第14話 『終了!』

 

 『パーソナル・スキル』

 

 ゲームに設定されたスキルではなく、個人の経験に因る能力をプレイヤー達がそう呼び出した。 

 

 僕はこれまでの戦闘を思い出して、驚いた。そうだ、何故そんな簡単な事に気が付かなかったのだろ。ハルさんは戦闘中1度も技の名前など発していないのだ。

 対人戦で相手に気取られないようにする為、小声で技名を言う事は有るが、ハルさんはそもそもそんな知識は無い。

 

 もしかしたら、そんなスキルも有るのかもしれないが、聞いた事も無い。

 

 これで、ハルさんの能力がスキルに因る物でない事が再認識してしまったが気にしない事にした。

 

 (お祖母ちゃんの悲しむ顔は見たくないからな)

 

 

 その後は、町に戻ってハルさんのスキルとパラメーターの振り分けに付いて話し合って時間となった。 

 

 その後も僕達は3人で冒険を続けた。偶に他のPTと組んだり、足りない回復役を仲間に加えてダンジョンを攻略したりもした。勿論、攻略だけでなく色々景色を見る為にお婆ちゃんと一緒に様々な場所へと旅をした。

 

 

 そして、今日この日を向かえたのだ。

 

 最後の第七階層のボス『四王鬼』を倒して10日。開放されていたエリアは略々周り、世界を巡る旅が終る。

 

 「もう直ぐこの世界も終わりなのね」

 

 ハルさんは始まりの町、アモアの噴水でぼんやり空を眺めて呟いた。

 

 「そうだね、後10分くらいかな」

 

 メニュー画面の時計を見て、僕も少し寂しく感じている。

 

 ゲームのサービス終了は、まだ片手で足りる程度しか経験がないのだから仕方が無い。

 

 他のプレイヤーも集まって、感慨に耽っている様だ。この噴水の周りにも100人程のプレイヤーが集まっている。

 

 「本当に、終るのですね」

 

 オズは少し硬い表情をして、何かを思い悩んでいる様に見える。

 

 残り5分。ハルさんが呟いた。

 

 「寂しいわね」

 

 「そうですね」

 

 終了時間が迫る中、ハルさんとオズさんの2人は、葬式かと言わんばかりに塞ぎ込んでいった。 

 

 「そんなに寂しい?」

 

 僕の問いかけに、2人は何か生暖かい目で返してくる。

 

 「コウちゃんは慣れてるかもしれないけどね」

 

 「これでお別れかと思うと流石に・・・」

 

 「え!?」

 

 僕は驚いて、思わずフリーズした。そんな僕の事など全く気に留めず2人はまるでお通夜だ。

 

 「えっと、なんでお別れなの?」

 

 「だってもうこのゲームは終わりなんでしょう?」

 

 失礼な話だが、この時ばかりはお祖母ちゃんらしく、しおしおしてる。

 

 「うん、このベータ版は終わりだけど1週間後には本サービスが始まるよ?オズは知ってるよね?」

 

 「コウちゃん、ベータ版って何?」「知ってますが、御2人が本サービスもやるとは聞いてませんし」

 

 「ああ・・・」

 

 なるほど、2人は全く別の理由で同じ心配をしていたのか。

 

 まぁ、普通に本サービスもやると思ってたから、そんな話を全然しなかったのは事実だ。僕は落ち込む2人の前に立ち手を差し出した。

 

 「大丈夫、ちゃんとお祖母ちゃんの分も契約してるから、また一緒に遊べるよ」

 

 ハルさんの呆けてた顔が徐々に明るくなり、僕の右手を両手で包んだ。

 

 「本当なの?コウちゃん」

 

 「うん、まだお祖父ちゃんの許可は取ってないけどね。大丈夫!」

 

 「オズも、続けるならハルさん共々御一緒したいんだけど?」

 

 「本当ですか!?」

 

 オズさんは僕の左手を握って、顔を輝かせ、そしてハルさんを見た。

 

 残り、10秒。

 

 「また、1週間後に会いましょうね、ハルさん!」

 

 堰を切ったように、叫ぶオズさん。

 

 「はい!また遊びましょうね」

 

 ハルさんも嬉しそうだ。

 

 2人は僕の手を取ったまま、手を繋ぎ僕達は輪となった。

 

 「また、1週間後に!」

 

 繋いだ手を上げ再会を約束した。

 

 そして、ベータテスト終了のアナウンスが流れ、僕たちの『NLF』は一旦終了するのだった。

 

 

 

 ベータテスト終了後の1週間はゲーム業界だけでなく、世界が慌しかった。

 

 最初の発表から続いていた、世界初のフルダイブ型ゲーム機の完成を夢見ていたゲーマーやコメンテーターと安全性を疑う自称知識人とのバトルがニュースに溢れ、ベータテスター達へのインタビューも多く、まさかの僕の所までやってくる始末だった。

 

 「そんな事は、喋りの上手いやつの所に行ってくれ!」

 

 僕はいけ好かないインタビュアーの思い出したくも無い顔を思い出して、嫌な気分になる。

 

 背もたれに力無く身を預けていた。

 

 「・・・仕方が無い、気晴らしに他のゲームでもするか」

 

 僕は以前やっていたVRゲームを立ち上げて、ログインする。

 

 ガイアと違い、ゴーグルとグローブ型コントローラーで遊ぶタイプだ。

 

 ゲームが始まると、直ぐにフレンドから回線が飛び込んできた。

 

 「ん、ゴウキ君か」

 

 ピッ!

 

 通話ボタンを押して回線を繋いで、久しぶりの友人とクエストにでも行こうかと思っていたら、突然大声で怒鳴られた!

 

 「シオン兄ちゃん!ガイア買えた!?」

 

 「ああ、ゴウキ君は?」

 

 本当は買ったんじゃない。真面目に仕事をしたベータテスターは望めば報酬として製品版が貰えるのだ。

 

 「無理無理、発売前から転売価格で出品されてるくらいなんだぜ。しかも4倍!」

 

 「無駄な事を」

 

 本当に転売ヤーって奴は・・・。

 

 「え、なんで?」

 

 ゴウキ君の疑問はそのままに、僕達は合流する事にした。この後の僕のウサ晴らしに付き合わせる為だ。

 

 「ガイアはネットオンリーで、誰に売ったか全て管理してるし、購入時に使用者の記入があるんだよ。更に起動時に生体認証するから、一度認証したら他の人には使えないし、そもそも転売禁止って書いてあるんだけどな」

 

 「それ本当なの!?」

 

 「ああ、医療機器メーカーも噛んでるから、その辺のケアも含めてるんだよ」

 

 「へぇ~」

 

 「そもそもゴウキ君はまだ買えないだろう?」

 

 「なんでだよ!?お小遣いはちゃんと溜めてたぞ!」

 

 うん、それは偉い。あの価格は親御さんも驚くだろうし。

 

 「『ガイア』は15歳以上じゃないと買えないよ?」

 

 「え・・・・・・えええーーーーーーー!」

 

 頭を抱えて、崩れ落ちるゴウキ君を余所に、僕は戦闘準備をして、呆けているゴウキ君の肩を叩いた。

 

 「ところで、軽くクエストに行かないか?」

 

 この後、僕とゴウキ君のウサ晴らしにと、数人のフレンドと高難易度のボス狩りを手伝わされた。

 

 久しぶりなのに行き成り高難易度ボスって、気晴らしにならないよ!

 




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