お祖母ちゃん、VRMMOで余生を謳歌する!   作:LUCIOLE

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第15話、お爺ちゃん再登場!

そして、巻き添えを喰うw



第15話 『On your mark!』  

 

 「それは、大変だったね~」

 

 言葉は同情しているが、顔が笑っているのでムッとする。少しは慰めて・・・いや、なんでもない。

 

 「全くだ。でも、このお祭り騒ぎの雰囲気も直ぐに変わるよ」

 

 「明後日だもんね、サービス開始」

 

 「最初の10万台の出荷も今日、明日には終るだろうしね」

 

 「早く終って欲しいよ。ネット限定販売なのに在庫確認の電話が多くて・・・」

 

 初期ロットがたった10万台と少な過ぎるのも問題なのだろう。

 

 カウンターにへたり込んだ空の頭を軽く叩いてやる。

 

 「頑張れ、看板娘」

 

 フフンと笑って、お返しをしてやる。

 

 「ところで、空は大丈夫なのか?」

 

 「ん、なにが?」

 

 「前にヘルメットが怖いって言っていたじゃないか」

 

 以前、空もガイアを予約して当選したと言っていたのだ。

 

 ただ僕が脅した所為も有るが以前、空は『ガイア』を少し怖がっていた。

 

 「うん、それは大丈夫」

 

 「そうなのか?なら良いんだけど」

 

 (怖かったんじゃなくて、心配だっただけだからね)

 

 「ん、なにか言った?」

 

 「な~んにも」

 

 空はレジ横のパソコンで何かを操作すると、僕の携帯にメールが入った。

 

 「それ、私の『ガイア』のIDだから始まったら落ち合いましょう」

 

 「・・・なんで?」

 

 そう返したら、ほっぺたを膨らませて睨まれた。

 

 「冗談だよ。明日はお祖母ちゃんの所に行くし、その後なら時間有るけど、セッティングとか手伝おうか?」

 

 良いながら、僕もIDを送り返す。

 

 「ありがとう。でも大丈夫だよ、もう済ませちゃったからね」

 

 「そうなんだ、早いね」

 

 届いたのが嬉しくて。と笑っている空は何か照れてる様に見えたが・・・まぁ、気のせいだろう。

 

 「そろそろ帰るよ」

 

 「うん、気を付けて」

 

 僕は後ろ手で手をひらひらと振って、買い足したデカールと改造用パーツを持ってお店を出た。

 

 

 翌日の朝、お祖母ちゃんにもガイアが届いたと連絡が有って病院にやって来た。

 

 「お祖母ちゃん、おはよう」

 

 「あら、コウちゃんおはよう。今日は早いのね」

 

 リモコンでベッドを起こして、起き上がるお祖母ちゃんは何時もよりなんだかうきうきしている。

 

 まぁ、ガイアが届いて嬉しかったのだろう。

 

 僕は、お母さんから頼まれたお土産を渡して、早速仕事に入った。とは言ってもガイアの起動と登録を手伝うだけなのだが。

 

 「どう、お祖母ちゃん。ベルトはきつくない?」

 

 顎の下のベルトの具合を見つつ、頭を動かすと「大丈夫丁度良いわ」と、嬉しそうにOKサインを出したので、次に移る。

 

 右こめかみ部分に有る電源を入れて、起動させるとガイアの内側のモニターにスタートアップ画面が立ち上がる。

 

 登録済みのデータの確認と本人確認が終わり、次は個人データや身体的特徴などを入力をして、最終確認後生体認証データの登録なのだが、何故か此方を見て固まっている。

 

 「コウちゃん」

 

 「なに?」

 

 「お祖母ちゃんも一応女性なのよ」

 

 「う、うん、そうだね」

 

 突然の話に、頭が付いていかない。

 

 「は~」

 

 お祖母ちゃんは何故か頭を振ると、病室の外に出された。 

 

 数分経って、部屋に入れて貰って、最後の生体認証を確認して準備は完了した。後は、明日日曜日のお昼から始まる『NLF』にログインしてからだ。

 

 まぁ、僕達はベータ版のデータをコンバートをするだけなので簡単なのだが。

 

 「空は少し時間が掛かるだろうな」

 

 お祖母ちゃんからガイアを受け取って、サイドテーブルに置いた。

 

 「空ちゃん?」

 

 「うん、空もガイアを買ったんだけど、空は初めてだからね。キャラ作りに時間が掛かるだろうなと思って」

 

 お祖母ちゃんは自分の時の事を思い出したのだろうか、何か納得して頷いていたが、何かに思いが及んで此方を見た。

 

 「コウちゃん、もしかして空ちゃんの時も手伝ったの?」

 

 手伝ったって、スタートアップ作業の事だろうか?

 

 「いや、手伝って無いよ」

 

 「そうなのね」

 

 (良かったわ)

 

 何故かホッと胸を撫で下ろすお祖母ちゃん。一体何が言いたいのだろう?

 

 「うん、手伝おうかって言ったんだけど、もう終らせたらしいよ」

 

 「え!?」

 

 「自分で終らせたってさ」

 

 「そうじゃ無くってね・・・コウちゃん。ちょっと其処に座りなさい」

 

 何故か僕は座らされて、お祖母ちゃんの説教を聴かされた。

 

 なるほど、女の子の個人情報を聞こうとしたのがいけなかったのかと、理解したのは随分経ってからだった。

 

 だって、お祖母ちゃん匂わせるだけではっきり言わないだもん。

 

 因みに、僕は悪くない。だって男の情報には身長と体重とウエストだけで、スリーサイズは無かったんだからと、随分後に言ったら、怒られた。

 

 コン、コン・・・。

 

 僕がまだ座らされていた時、ドアがノックされた。

 

 「まぁ、どうぞ開いてますよ」

 

 お祖母ちゃんがやけに嬉しそうに答えたので、慌てて立ち上がって僕も扉の方を見た。

 

 「春香さん。こんにちは」

 

 「いらっしゃい、あなた」

 

 普段見せない笑顔になって、お祖父ちゃんを迎え入れるお祖母ちゃんの顔は本当に嬉しそうで、まるで付き合い始めたばかりの恋人の様だ。

 

 と云うか、お祖母ちゃんのあの反応はノックだけでお祖父ちゃんだと分かっていたのか。

 

 「お祖父ちゃん、こんにちは」

 

 「こんにちは。孝太も来てたのか」

 

 温和で優しい笑顔のお祖父ちゃんは仕事が忙しくて、週一位でしかお祖母ちゃんと会えないでいた。

 

 「今日は土曜日なのに、どうしました?」

 

 「いや、春香さんがゲームをすると聞いてね。最初の設定が大変だろうから手伝おうかと思って来たんだよ」

 

 うん、この時の僕の顔は面白い事になってたと自分でも思う。

 

 そして、巻き添えを喰らったお爺ちゃんと一緒に、僕は再びお説教を受けるのだった。

 




2023年最後の投稿となりました。沢山の方に読んで頂いてありがとうございます。
2024年も引き続きよろしくお願いします。



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