お祖母ちゃん、VRMMOで余生を謳歌する!   作:LUCIOLE

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第21話 『クウとココ』

 

 後輩の小守心音(ここね)に頼まれ、一緒に『NLF』を始め、色々教えていた僕だったが、彼女の実力に驚かされていた。

 

 精霊使いの彼女の武器は弓なのだが、これが上手い!

 

 威力は僕がお金を出したので、始まりの町アモアで買える中では最高の物だが、命中率がヤバイのだ。

 

 今、制作を頼んでいる武器が完成したら、第七階層までは其のまま行けるのではないだろうか。

 

 後、兎に角目が良い。遠くから敵を見付け、接近される前に倒すのだ。

 

 僕は殆どやる事も無く、今回の戦闘は終ってしまった。

 

 「ココ、凄いね」

 

 「私、弓には少し自身があるんですよ」

 

 「リアルでやってたの、弓?」

 

 「和弓では無く洋弓、アーチェリーですけどこの間、県大会で優勝しました」

 

 おおぅ・・・。

 

 それはまた凄い。しかも洋弓なら今の装備にはピッタリだ。

 

 「ただ、動きながら撃つのはやっぱり難しいですね」

 

 「いやいやいや、百発百中じゃないか」

 

 「いえ、まだ時間が掛かり過ぎてて、お恥ずかしいです」

 

 僕は弓の事は良く分からないが、あれで遅いのか・・・まぁ、何にしても素晴らしい戦力だ。

 

 そこで、僕はココにパーティ入りの話を持ち掛け様と思うが、もう時間が無い。

 

 「ココ、今晩時間有る?」

 

 「えっ!?」

 

 ドッキっとして、少し慌てた様に僕の顔を見るココに、今晩ログイン出来ないかと訊ね直した。

 

 「ああ、ゲームですね」

 

 分かり易く落胆している。なんでだろうか?

 

 「その、多分大丈夫です」

 

 「じゃぁ、後でメールを入れるから、そこで時間を決めよう」

 

 「分かりました」

 

 今度は少し嬉しそうに、手を振って僕達は別れた。

 

 ログアウト後、僕は退っ引きならない事態をクリアして、一杯お水を飲むと早速予定を確認してメールを送り、小守から約束を取り付けた。

 

 

 待ち合わせた時間になったので、僕は始まりの町アモアに降り立つと其処には、既にココが待っていた。

 

 噴水の縁に座って足をぶらぶらさせている。

 

 「待たせたかな?」

 

 「い、いえ、今来た所です!」

 

 そう言う彼女を問い詰めると20分も前からやって来ていた。リアルなら構わないし、早めに来るのは礼儀かもしれないが、時間制限の有る『NLF』では、問題なのだ。何せ終了時間がずれて一緒に行動出来る時間が少なくなるからだ。

 

 「お待たせ」

 

 挨拶を交わしている僕の後ろから、もう1人の声がした。

 

 僕が呼んだクウだ。

 

 お昼は用事で無理だったが、夜は少しならと参加してくれたのだ。

 

 僕達は2人とも後衛職なので、助かる。

 

 いや、神官もどちらかと言えば後衛なんだけどね。

 

 初めて会うプレイヤーにココは少し警戒している様に見えるが、まぁ仕方が無い。僕の知っているココは大人しく引っ込み思案な所があった。ただ、店番をやっていて、直ぐに他人と打ち解けるクウまでが、何か警戒する様にココを見ていたのは何故だろうか?

 

 矢の補充は既に済ませているそうなので、2人を連れて出発の準備をして町の外へ。周りに誰も居ない事を確認して、僕は2人の自己紹介を始めた。と言っても2人はリアルの知り合いだ。

 

 「この娘はココ、僕のリアル後輩で・・・こっちはクウ、おもちゃ屋の子だ」

 

 なのでこの説明でお互い分かる。

 

 「やっぱり空先輩!」

 

 「やっぱりここちゃんだ~」

 

 何せ2人共顔がリアルに近いのだ。

 

 「最初にそうじゃないかなと思ってました。そのアバターそっくりです!」

 

 「ここちゃんこそ、そっくりだよ。しかも熊耳可愛い~♪」

 

 手を取り合って、きゃいきゃいと明るい遣り取りに僕は暫く放置される。

 

 兎に角時間が惜しいので歩きながら、荷物の整理と今日の方針を考え、伝える事にした。

 

 「なるほど、今日は私が前衛もやれば良いのね」

 

 「ああ、今日も前衛よろしく」

 

 二人の間に何かが走る。

 

 「私はみんなを守る癒しの神官よ」

 

 「だまれ、撲殺司祭。他のプレイヤーにも噂されてるからな」

 

 「誰よ、それ!?」

 

 不満気に頬をぷりぷりさせるクウ。

 

 「え、え~と・・・」

 

 この程度の遣り取りはいつもの事でココも知っているのだが、以前と同じ様に僕達の言い合いを治めようとしているココが可哀想になる。

 

 「兎に角、ココも十分に戦力になるから、このまま順番に進もうと思うんだ」

 

 「中ボスまで行くの?」

 

 出来ればそうしたいが、流石に今日中には無理だろう。

 

 出来ればパワーレベリングはしたくないが、第三異界までは速めに辿り着きたいと云うのが本音だ。

 

 「一応、第四層の始まりの町ドーガが目的だけど、多分無理かな。20分のロスが無かったとしても駆け足になるし、取り合えず全ての階層のポータルを順番に巡るのが今日の目的だよ」

 

 「ごめんなさい」

 

 本当に申し訳無さそうに頭を下げるココを後ろから抱きしめて、僕を見て、ムッとするクウ。

 

 「遅れた分は私達が頑張れば良いのよ」

 

 いや、本当に責めてないからな。

 

 「慌てて進めるつもりは無いよ、ちゃんとゲームを楽しもう」

 

 それでも、無駄はしない。ココには効率良くレベルを上げて第三異界まで来て貰おう。

 

 僕達は第一階層を順番に歩いて周りつつ、クエストをクリアして報酬と経験値を集めた。僕とクウには端金だが、ココには大切だ。しかも弓は矢が消耗品なので、常にお金が掛かる武器なのだ。

 

 僕達は、ココに立ち回りや敵の攻撃パターンや倒し方を教えながら、バーチャルな世界を旅する。

 

 第二階層、第三階層とやってきて、始まりの町と2つの町のポータルに触れて登録した所でココが時間となってしまった。

 

 3つ目の町まであと少しだったが、仕方が無い。

 

 「じゃあ、一度町に戻ろう」

 

 3人は転移魔法の道具を使い、第三階層の北の町『チョードル』に戻って来た。

 

 諸々の終了準備を終らせ、次をどう誘おうかと思っていたら、クウが既に明日の予定を約束してくれたので、時間が決まったらメールを入れる約束をして、ココとは別れた。

 

 「助かったよ、お疲れ」

 

 「ううん、私も楽しかったし、ココちゃんにも久々に会えたしね」

 

 特に目的も無く、2人で街中を歩く。

 

 「今日は何か用事が有ったんじゃないの?」

 

 「もう、良いわよ、大した用事じゃないしね」

 

 「なら、良いんだけど」

 

 「私の寝る時間が1時間減るだけよ」

 

 「うん、ごめん」

 

 残り30分。2人は広場のベンチに座ってのんびりしていた。少しでも早くログアウトしたらと言ったが、もう良いらしい。

 

 「明日は、2人にも紹介して、ココちゃんのレベル上げ?」

 

 「そうなるね、皆との連携にも慣れて貰いながらクエスト回収と中ボス戦だな」

 

 僕は伸びをして体を解す。

 

 新人の付き添いは其れなりに疲れる。失敗しない様に、出しゃばり過ぎない様にと気を使うのだが、クウはお構いなしなので、今日は尚疲れた気がする。

 

 「多分2人は問題無いと思うけど、ココがパーティに入ってくれたら良いな」

 

 「遂に五人目だね。私も捜してたけど全然だし、ココちゃんなら大歓迎だよ」

 

 クウとは違う、後衛なのが嬉しい。後は前衛の盾戦士か騎士が入ってくれれば良いのだが、まぁ高望みはしない。取り合えずパーティ最大人数の6人を目指そう。

 




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