お祖母ちゃん、VRMMOで余生を謳歌する! 作:LUCIOLE
僕達【春雷】は二手に別れ、素材集めを頑張った。
メンバーを変え、相手を変え、得物を変えて狩り捲くり、漸く揃った素材を手に武具屋に雷属性の武器と水耐性の防具の制作を依頼した。
完成は明日になる。
「まだ時間は有るけど、どうする?」
今日はまだ1回目のログインで、時間も2時間ほど残ってる。
しかも、今日はオズさんとタダカツさんが居ない。
「私は師匠と修業に行きたいです」
ツバメはハルさんの腕を掴んで、うるうるした目をハルさんに向けていた。
「私は第四異界を見て回りたいかな?」
「あ、私もそっちが良いです。この後はログイン出来ませんし」
クウとココは散策で、しかもココは2回目のログインは出来ないらしい。
「シンちゃんは?」
ハルさんは僕の意見を聞いてきたが、正直予定は無い。
「僕?僕は特に無いけど・・・」
其処に、誰かからメールが入った。
ピッ!
(ジーク?)
「ごめん、今用事が出来た」
結局其々バラバラに行動する事にして、僕はジークとの待合場所に向かった。
「よう、シンやっと来たな」
(いや、呼ばれて直ぐ来たんだけど)
「さて、シン。来たって事は了承と取って良いんだよな?」
メールにはソニアさんと連名で、一緒にカリュオーンを倒しに行こうという旨が書かれていた。
「構わないけど、僕はそんなに強くないよ」
「気にするな、半分顔見せだからな」
バンバンと僕の背中を叩く。
「んじゃ、行こうぜ!」
親指を立てると実に楽しそうに歩き出したジークの後を追うのだった。
「本当に連れて来るとは思わなかったよ。というか、来ると思わなかったよシン君」
手を添え、頭を振るソニアさん。
「一応、実力不足を主張したんですよ」
「そうか、すまない」
謝ってくれてはいるが、それはこの場に連れて来られた事に対してであって、実力不足に関しては流された。
「で、そろそろそいつを紹介してくれないか?」
ソニアさんとは別に初めて会う人達が、僕達の所に集まって来た。
「彼は【春雷】のリーダーのシン君ですよ」
「ほう、あの」
純白のフルプレートアーマーの男がうんうんと頷いている。
「『あの』って何ですか?」
目の前に居る暑苦しい雰囲気の男は確か【清冷騎士団】のセインさん。
「リアルくノ一の所だろ?」
僕と同様に集められたのかと、考えていた僕はセインの言葉にガクッと姿勢を崩した。
「JC忍者だよ?」
臙脂色のローブを着た眼鏡の女性が呟く。
「幼女忍者でしょ?」
白と緑の服を着た、エルフの女性が言う。
「ハル様ですよ」
「・・・・・・」
恍惚の表情で両手を組んで、祈る様にハル様と言った細身の狼男に視線が集中する。
「そんな目で見んといて!」
言葉とは裏腹に、自分の体に手を回し嬉しそうに身を捩る。
「それで、一体何の用なんですか?ソニアさん」
眼鏡の女性。確か何処かのクランのマスター、フェニータさん。
「ごめんね~、ジークが戦勝祈願したいって皆を集めたのよ」
詰まり此処には各パーティのリーダーが集まっているのか。
「戦勝祈願?」
「おう、ここに居るのは俺達と一緒にカリュオーンに挑むパーティのリーダー達だよ」
やはり、カリュオーンに挑むパーティ。僕はこの人達と同じ任務に挑むのかと、少し緊張する。
「で、2人のタイムアタックの話が何処からか漏れてね、皆も参加すると言い出したのよ」
ソニアさんはジークを睨んでるので、情報漏洩の犯人はジークなのだろう。
「そ、そこで、先に顔合わせしようって事になったんだ」
「全くジークは相手の都合とか考えない」
僕と同じ様に突然呼び出されたのだろう、白と緑の服を着た、魔法使い風のジト目の少女が呟く。
「自分勝手な奴だな」
セインさん。純白のフルプレートアーマーに青いマント、同じく白いブロードソードを装備した清朗で真面目そうな、騎士風の男だ。
「そ、そんな事より自己紹介といこうぜ。ほらセインから」
少し間が空いたが、セインさんは諦めて溜息を吐いた。
「【清冷騎士団】(せいれいきしだん)のセインだ、よろしく」
胸に手を置き、会釈をする。きらりと輝く歯は何かのエフェクトだろうか?
「【春雷】のシンです。よろしく」
握手を交わす。セインさん僕を見て1人うんうんと頷いている。
「あ、精霊じゃ無くて、清く冷たいと書いて清冷だからな」
「はい、知ってます。光剣のセインさん。有名なパーティですから」
そうか!と満足そうに握ったままの手をブンブンと振って、離れた。
「で、此方が・・・」
「マインセル魔導学園、アバロンの学長フェニータ」
臙脂色の大きな帽子とローブにスミレ色のもこもこの髪に眼鏡の少女だ。
「シンです、よろしくお願いします。翠輝(すいき)のフェニータさん」
翠輝とは彼女の二つ名だ。
「ん」
口数が少ない娘だなと思っていたら、ソニアさんが照れてるだけで、仲良くなったら普通に話せると教えてくれた。
聞こえていたのか、フェニータさん帽子で顔を隠しながらマインセル魔導学園がクラン名でアバロンが自分の所属しているパーティ名だと、ボソボソと教えてくれた。
残り2人、細身の狼男キヒロと、エルフの女性アロアとも挨拶を交わした所で、ソニアさんが話を纏める。
「で、これで満足なのジーク」
「いんや」
少し悪い、何か企んでいる顔。
「今から俺達で、パーティ組んでカリオーンを狩りに行こうと思ってな!」
良いアイデアだろうと自信満々のジークをフェニータが一蹴した。
「却下」
フェニータさんがばっさりと言い放つ。
「オレは構わんけど、普通競い合う相手に手の内は見せへんのちゃうか?」
この狼男、先程と同じ人物だとは思えない、まともな意見。
「自分で勝負を持ち掛けといて、それは無いでしょう」
ソニアさんと3人がジークをぼっこぼこに責める。
その横でアロアさんが、やれやれと云った感じで首を振っている。
「くそ~、シン!お前はどうだ?」
「僕?」
ジークはお前が最後の砦だと言わんばかりに僕に縋って来た。
「・・・僕は構いませんよ」
「よしっ!」
ジークは僕の肩を組んで、どうだと言わんばかりに他の3人を見ているが、多数決で負けているんだよな。
「で、どうします?僕、余り時間無いのですが」
5人は顔を見合わせて、話し合ってやれやれと云った感じでカリュオーンを倒しに行く事になったのだった。
結局、不慣れな連携で最初こそ手間取ったが、指示役を決めてからはサクサクと進み、お互い他の人の戦い方観察しながらカリュオーン狩りを楽しんだのだった。
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