お祖母ちゃん、VRMMOで余生を謳歌する!   作:LUCIOLE

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カリュオーン戦が続きます。

そして、戦闘シーンは本当に難しいです。


第29話 『カリュオーン異種』

 

 「また来る!」

 

 僕は2人の手を取って、走り出しカリュオーンの攻撃に合わせて飛び退いた。

 

 「何故今までと違う行動パターンになったかは分からないけど、やる事は同じだ!」

 

 僕は立ち上がり、再び上空に上がったカリュオーンに向かって呪文を唱える。

 

 「爆ぜろ爆炎!滅せよ業火!全ての敵を焼き尽くす紫炎の槍よ、我が敵を貫け!フレイム・ジャベリン!」

 

 第2回イベントから実装された『詠唱システム』。

 

 隙が大きい反面、正しく呪文を唱える事で魔法の威力や効果を上げる事が出来るのだが、何せ恥ずかしい。

 

 あと、覚えるのに呪文の書かれたスクロールを入手、消費しなければならず、まだまだ使い手は少ない力だ。

 

 その『詠唱システム』を使ったDランク火属性魔法『フレイム・ジャベリン』なら、他の魔法では届かない高さにも余裕で届く。

 

 轟々と唸りながら放たれた炎の槍は、違う事無くカリュオーンの翼を捕らえ、引き裂いた!

 

 まだダメージの蓄積が足りない所為で落ちては来ないが、高度が下がる。

 

 他の魔法が届く高さまで落ちた所でココも雷属性の魔法を撃ち、ダメージを蓄積していった。

 

 「もう少しで、落ちる筈だ!」

 

 攻撃パターンが変わった所為で、これまでと必要なダメージ量が変わっているかもしれないが、早々隔たりは無い筈だ。

 

 後一撃、後一撃と焦りが出始めた頃、また、カリュオーンの動きが変わった。

 

 狙いを定めさせない様に、左右に動きながら、攻撃し出したのだ。

 

 「狙いが・・・」

 

 ココが焦りの余り、泣きそうになる。

 

 僕達の中で、遠距離攻撃が出来るのは僕とココだけだ。一応クウも出来るが、この後何が起きるか分からないこの状況では大切な回復役なので、MPを温存して貰っている。そもそもダメージが高い攻撃魔法が無いのも理由の一つなのだが。

 

 ただこのままではジリ貧だ。何れ僕とココのMPも尽きてしまう。

 

 「ココ!少し任せる」

 

 「え!?先輩?せんぱーーーい!」 

 

 「タダカツ、僕の前に!時間を稼いでくれ!」

 

 「マカセナサ~イ」

 

 タダカツさんがカバーに来るのを待たずに僕は次の手を打つ事にした。

 

 魔法薬を2本飲んでMPをフル回復して、呪文を唱えた。

 

 「僕の切り札が1枚だと思うなよ!」

 

 「我が手に至れ大気、瀑布となれ烈風!・・・」

 

 僕はまた長い詠唱に入る。

 

 「もう!」

 

 そんな僕に悪態を付きながら、ココも詠唱を始めた。

 

 「大精霊エアよ、我の願いを聞き入れその力を示せ。求は防壁、絶対の大気の守りなり。大気の障壁!」

 

 僕の魔法より早く、魔法を完成させ、全員を守る風の壁を作り皆を守りつつ、時間を稼いでくれた。

 

 (あんな魔法を持っていたなんて・・・)

 

 「コウ殿」

 

 僕はタダカツさんに黙って頷き、詠唱を続けた。

 

 「渦巻く力を刃に変えて、天に示せ厄災の濁流!」

 

 「まだですか先輩!」

 

 確か『大気の障壁』はMPを消費し続ける事で維持出来る魔法だった筈。

 

 カリュオーンの攻撃を防いでくれているココの魔力が尽き掛けているのか、辛そうにしている。

 

 「駆け降りろ、降龍!ダウンバースト・ストリーム!」 

 

 暗雲が渦巻き、濁流の如き突風がカリュオーンに叩き付けられた。

 

 大気の濁流がダメージを与えつつ、カリュオーンを叩き落す!

 

 「今だ!」

 

 僕が叫ぶより早くハルさんが動いていた。

 

 誰よりも早く、走り出し、落下中の羽にクナイを投げつつカリュオーンに斬りかかった。

 

 (ライトニング・エッジ!)

 

 オズさんとタダカツさんも続いて、地面に叩きつけられたタイミングで攻撃した!

 

 「四の太刀、天狼!」

  

 「アースシェイカー!」

 

 そして、反対側にクウも駆け込んでいた。

 

 「さっきのお返し!断罪の撃槌!」

 

 4人其々の攻撃がダメージを積み重ねていく。

 

 僕とココは魔法薬と回復薬を飲んで回復してからココは防御魔法を掛け直し、僕は攻撃魔法でダメージを重ねる。

 

 本当なら、そろそろカリュオーンが体勢を取り戻すタイミングだが、今回相手の行動パターンが変わってしまった所為で、そのタイミングも分からない。

 

 (少しでもダメージを稼ぎたいけど、無理は出来ない)

 

 僕とココはタイミングを見計らいながら、魔法の詠唱を開始していた。

 

 「そろそろ離れて!」

 

 「分かったわ」「おう!」

 

 ハルさん、オズさん、クウは離れたが、タダカツさんだけが遅れていた。

 

 「タダカツ!?」

 

 「大丈夫!これで離れるネ!」

 

 タダカツさんは再度撃てる様になったスキルを発動させ、戦斧を叩き付けたと同時にカリュオーンが立て直す動きを始めた。

 

 硬直から開放されると同時に転がる様に離れる。

 

 タダカツさんが十分に離れるタイミングを見計らって、僕とココが魔法を放つ。

 

 E、Dランクの雷属性魔法がカリュオーンを撃ち、ダメージを稼いではいるが、一体どのくらいのダメージが入り、今、どのくらいのHPが残っているのかが分からない。

 

 「以前のままなら、残り1/4ちょっとって所の筈だけど・・・」

  

 そろそろ10分を超えている。練習ではとっくに行動に変化が有ったのだが。

 

 グオオオオーーーーーーッ!

     

 雄叫びを上げる、カリュオーン。

 

 「気を付けて!」

 

 ハルさんの叫びに、咄嗟に防御した筈のタダカツさんが吹き飛ばされた。

 

 ノックバック攻撃。

 

 「く~・・・」

 

 意識はハッキリしているが動けない様子から、スタン状態になっているタダカツさんのフォローをクウに任せ。僕とココはまた飛ばれた時の為に翼にダメージを蓄積させようと魔法を撃つ。 

 

 「回復します!」

 

 クウがタダカツさんの側まで行き回復する間のヘイトをオズさんが稼ぎ、ハルさんも攻撃を加えている。

 

 巨大な腕をブンブンを振り、オズさんをその凶悪な爪で引き裂こうとするが、スキルを駆使してどうにか耐えている感じだ。

 

 更に、後ろから攻撃していたハルさんにも尻尾で薙ぎ払い、その尻尾の先から毒針を飛ばしている。ただその攻撃を、スキル無しで躱している。

 

 うん、流石お祖母ちゃん・・・。

 

 突然変わった攻撃パターンに戸惑いつつ立ち回る、そんな中フル回復したタダカツさんも戦線に戻る。

 

 タダカツさんが前でヘイトを稼ぎ、ハルさんとオズさんが攻撃。僕とココが魔法で攻撃しつつ、バフとデバフ系の魔法を使って支援、クウがアイテムと魔法で回復をする形が確立しつつ有った。

 

 相手の行動パターンが変わっても、基本は変わらない。何時も以上にクウのMPを温存しているとは言え、これが僕たち【春雷】の基本パターンだ。

 

 ただ、これまでの様に上空に逃げたカリュオーンを叩き落し、墜落後の硬直時間に最大火力を叩き込む戦法が使えないのが悔やまれる。

 

 戦闘開始から、そろそろ15分程だろうか?敵のルーチンが変わった所為も有って何時もより時間が掛かっている。

 

 その所為で多少なりとも、焦りの感情が纏わりついている様だ。

 

 「敵の動きは変わったけど、僕達のやる事は変わらない!このまま押しきるぞ!」

 

 激を飛ばし、要らぬ憂いを払拭する。

 

 なんとも僕には似合わない役回りだと思うが、他に其れをやってくれる人材が居ないのだから仕方が無い。

 

 この時、実力と人望の有る現場指揮官を仲間にする事が、僕の密かな目標になった。 

 

 しかし、肉弾戦がメインになったカリュオーンの動きはこれまでより少し速く、重い。

 

 ダメージが以前よりも高いので、更に早めに回復する事を心掛けている。が、その所為でそろそろ薬の数が心許無い。

 

 ギュオオオーーーーーーッ!

 

 カリュオーンの咆哮が響き渡る!

 

 「あれ!?」

 

 「うわ!?」

 

 「またですか~!」

 

 前衛3人がカリュオーンの突然の咆哮で動きが止まった!

 

 「何あれ!?」

 

 クウとココが慌てるが、僕は知っている。他のゲームで有る状態異常、畏縮だ。

 

 「クウ、3人に状態異常回復!ココは防御魔法!」

 

 その間僕は2人から離れた位置から攻撃して、注意を引く。

 

 「ライトニング・ボール!ライトニング・ブレット!」

 

 弱点属性が変わっていない事を信じて、移動を繰り返しつつ雷属性の攻撃魔法を撃つ。

 

 ただそろそろ、MPの残りが心許無い。

 

 そんな一瞬の気の緩みが、僕の足元を掬った。

 




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