お祖母ちゃん、VRMMOで余生を謳歌する!   作:LUCIOLE

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慣れない戦闘シーンが続きます。


第30話 『奮戦!』

 

 ズルズルと迫ったカリュオーンが変則的で素早い動きで僕の目の前まで迫り、腕を振り上げる。

 

 (あ、不味い)

 

 魔法使いの僕の回避では多分間に合わない。

 

 (なら!)

 

 刺し違う覚悟で、魔法を唱えた。

 

 「ライトニング・ボール!」

 

 グラララーーー!

 

 カリュオーンの爪が僕を裂き、僕のライトニング・ボールがカリュオーンに直撃する。

 

 「ぐあ・・・」

 

 僕は吹き飛ばされ、HPも一瞬で9割以上を持っていかれた。

 

 「コウちゃん!?」

 

 ハルさんの悲愴な叫びが聞こえる。

 

 だから、名前はだめだって・・・。

 

 しかし、時間は稼いだ。

 

 「先輩の仇!」

 

 ココ、僕は死んでないぞ~。

 

 「シン殿の働き、無駄にしません!」

 

 「草葉の影で見守るネー!」

 

 いや、だから死んでないからな!

 

 ハルさんも含めて4人の攻撃で、またカリュオーンの動きが変わった。

 

 叫び声を上げて、上空に逃げようとしたのだ。

 

 「あと少しなのに、またか!?」

 

 出来れば逃がしたくない!

 

 その時だった。

 

 「タダカツさん!」

 

 タダカツさんは走って来るハルさんに向き直り盾を構えた。

 

 「来なさーい!」

 

 カッ!

 

 ジャンプして構えた盾に飛び乗ると、タダカツさんはハルさんに合わせて盾を振り上げた。

 

 「行けーッ!」

 

 カリュオーン目掛け、飛び上がるハルさん。ただ少し足りなく見える。

 

 「ハルさん!」

 

 其処に今度はオズさんがスキルを使った。

 

 「七の太刀、辛散!」

 

 カリュオーン目掛け、刀を投擲した。

 

 そして、驚いた事にその刀をハルさんが掴まえたのだ!

 

 「行け、ハルさん!」  

 

 投げた刀の勢いでカリュオーンの上を取ったハルさんが、くるりと宙返りをして刀を抜いた。

 

 そして、投げた刀はカリュオーンの背中に突き刺さる。

 

 「パワー・スラッシュ!」

 

 ハルさんの攻撃がカリュオーンの急所、首の後ろを的確に捉え致命傷を与える。

 

 ぐらりと体勢が崩れ、高度が下がる。

 

 だが、まだ足りない。

 

 翼に掴まり、更に斬り付け様とするが、カリュオーンの抵抗に遭い、振り落とされそうになる。

 

 「ハルさん!?」

 

 オズさんが叫んだが、ハルさんは落ちて来なかった。

 

 刺さったままのオズの刀に掴まると、反動を付けてもう一度、カリュオーンの頭上に飛び上がったのだ。

 

 その姿は美しく、まるで体操選手の様だった。

 

 

  ~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~ 

 

 

 「ふい~、全くなんだったんだアレは!?」

 

 ジークが戻ってくるなり悪態を付いた。

 

 「すみません、我々もあの様な変化は想定に無く・・・」

 

 【英知の聖杯】のスタッフがジーク達に駆け寄り、その労を労う。

 

 「全く、途中から別物だったよ」

 

 ジークの仲間もヘトヘトで、フラフラと歩いている。

 

 「弱点属性の変化は無かったそうですが、体力や攻撃力は随分違った様ですね」

 

 他のスタッフが休憩所の椅子に案内する。

 

 「全くだ、まさかブレッドじゃ届かない所から攻撃されるなんて」

 

 「ファイヤ・ジャベリンは届いたそうですが、ブレッドはどの属性も無理な様ですね」  

 

 「ああ、しかし今回が特別なのか、偶々なのかも問題だな」

 

 ジークはドカッと椅子に座って、息を吐いた。

 

 「ところで、随分と中の状況に詳しいな。リタイア組みに聞いたのか?」

 

 ジークは今回のボスの変化にリタイアが出てもおかしくないと戦闘中から思っていたのだ。その予想が当たったのだろうと、完全に思い込んでいた。

 

 其処に【英知の聖杯】のソニア達が帰って来た。

 

 「あら?速いのねジーク。リタイア?」

 

 「ばかやろう!きっちり倒してやったぜ」

 

 ヘロヘロに疲れているジークを見て、ソニアは頭を振った。

 

 「あの変化は私の所だけじゃなかったのね」

 

 「そっちもか。正直苦労したぜ」

 

 「そうね、でも情報の刷り合わせは後にしましょう。私達も疲れたわ」

 

 「だな」

 

 2人共沈む様に椅子に座り、脱力していった。

 

 だが、寛いでいるソニアの横にスタッフがやって来た。

 

 「代表、お疲れ様です」

 

 「ありがとう。他のパーティはどう?ちゃんとクリア出来てる?」

 

 「はい。連絡に寄るとボスの変化が有ったのは、第三異界のボス【カリュオーン】だけで、他の場所は滞りなく進んでいる様です」

 

 スタッフは資料を出して、現在の状況を報告した。

 

 「この第三異界のボス以外でまだ戻って来ていないのは、第二異界のボスに挑んだパーティ、【獣の証明】だけです」

 

 「他は全て、討伐を終えて戻ってきており、今は休息して貰ってます」

 

 ソニアは少しホッとして、空を見た。あんな変化が他でも有ったなら、今回の作戦事態が失敗の危機だったが、少なくとも今の所は上手く行っているらしい。まだ帰って来ていない【獣の証明】も直に戻るだろう。

 

 「そう、ところでジークの所以外はどうなったの?」

 

 不安要素は、ここのボスだけとなったのだ。

 

 「まだ戻っていない、5パーティですが、中の様子までは・・・」

 

 当然だ。ボス戦を当事者以外が見る事は出来ない。ボス戦終了後、映像ログが公開されれば別だが。運営でも無い限り見る事は出来ないのだ。

 

 「そう・・・って、5?」

 

 「はい、5パーティです」

 

 スタッフの言葉にソニアは驚いた。

 




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