お祖母ちゃん、VRMMOで余生を謳歌する!   作:LUCIOLE

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お婆ちゃん、VRMMOで余生を謳歌する!の外伝です。

1話完結です。[

没にした話を外伝として書きました。

本サービスが始まる前の1週間の間の話です。

そして、お祖母ちゃんが出てきません!?


お婆ちゃん、VRMMOで余生を謳歌する! 外伝Ⅰ 『アルバート・レイン』

 

 心の中で何度叫んだ事か。

 

 「一般プレイヤーの所まで来て、粗探しするんじゃねー!」

 

 だが、もし発禁にでもなったら困るので、この歳で営業スマイルを顔に貼り付け『ガイア』と『NLF』の良い所を語ってやった。勿論変な切り抜きをされない様に、自分でも撮影しながらだ。

 

 

 

 僕はオンラインでインタビューを受けていた。

 

 アルバート・レイン。

 

 兎に角相手の嫌がる所を突いて来る事で有名な男らしい。そして、今回は『ガイア』に目を付けた様だ。

 

 「テキストをちゃんと読んで、注意事項を守れば安全だと思います。少なくとも僕や僕の周りの人は何も有りませんでした」

 

 「しかし、簡単に言えば脳に電気を通すのですよね?」

 

 相手をイラつかせる笑みを常に浮かべて、へらへらと話す

 

 「人間の体は常に生体電流が流れてますよ。その程度です」

 

 「しかし、人の作った物です。どんなに安全に見えても、全く不安が無い訳では無いですよね?」

 

 「当然有るでしょうね。では、貴方は薬は飲まないと、酒も、調理された料理も食べないと?」

 

 嘘は付かない。希望的観測も勝手な思い付きや決め付けも言わない。

 

 「それは飛躍し過ぎなのでは?」

 

 「水や塩ですら過剰に摂れば体を壊しますよ」

 

 「それが?」

 

 「人間の作った物ではなく、特に毒と云うわけでもなく、誕生以来人が生きるのに必要不可欠な物ですら、ある意味神様の作った物ですら危険は有りますよ」

 

 「神ときましたか」

 

 あざけ笑うインタビュアーを此方も笑みで返してやる。

 

 「アルバート・レインさんは、神も人も信用出来ないのですね」

 

 「私は私が信じた物を信じるので」

 

 「なら、NLFを遊んだと?」

 

 「まさか・・・」

 

 両手を挙げ、やれやれとアメリカ人らしいジェスチャーをとる。

 

 「使いもせず、信じるも何も無いですよね。檻の中から外の世界をどうこう言うのではなく、自分で使って、自分の感想を言えば良い」

 

 「・・・」

 

 「では、これで。ああ、動画の最初にも確認しましたが、切り抜きはやめて下さいね。後、こちらでも映像は撮ってるので、それではアルバートさんのNLFのレビューを楽しみにしてますよ。世界初の体験を楽しんで下さい」

 

 プツン。

 

 僕は最後に頭を下げてアクセスを切って机に突っ伏した。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 「さて、そろそろ『四王鬼』に挑戦しようか」

 

 僕達のパーティにクウが加わって、初めての異界ボス戦である。僕にハルさん、オズさんの3人は既に何度も倒している相手だが、クウは始めての強敵だ。

 

 レベルは十分上がっているので、問題ないが慣れていないと直ぐにやられてしまうだけの相手なのだ。

 

 だから僕は空と2人でボス戦準備の為に第7階層の『ゲルダ』の町で消耗品を買い揃えていた。

 

 「これで、必要な物は全部かな?」

 

 「多分、後は使い易いようにアイテムボックスに並べ替えをするだけかな」

 

 「分かったわ」

 

 クウがベンチに座りメニュー画面を操作している横で、僕もSNSを眺めている時だった。

 

 「お、君はシン君だね!」

 

 外国人が日本語を話している様な感じの聞きなれない声に、僕は顔を向けると其処には見知らぬ男の魔法使いが立っていた。

 

 いや、見覚えが有る!だがそれはゲームの中での話ではない。しかし、このアバターに良く似た顔を僕は知っている。そして、この話方。

 

 「もしかして、アルバート!」

 

 「良く分かったな、まだ名乗ってないのに」

 

 僕は思わず口を押さえて、もう一度目の前の男を見た。

 

 にやにやと僕を見下ろすその仕草に覚えがある。というかそんな男他に知らない。

 

 「そのアバターじゃ直ぐにばれるだろう」

 

 あのインタビューでの遣り取りを思い出し、身構えてしまう。

 

 「まぁな、だがかっこいいだろう?」

 

 ぐ、確かにこの男性格は兎も角見た目は渋く、カッコイイのだ。黙ってればだが。

 

 「シンちゃん、この人知り合い?」

 

 横に居たクウが聞いてきたので、軽く事情を話して席を外して2人になった。

 

 「そう言えば、あのインタビュー記事はどうなったんだ?」

 

 ベータテストが終了して、本サービスが始まるまでの間に受けたあのインタビューが気になって、僕はゲーム関係の記事にはいつも以上に注意していたのだが、未だにそれっぽい記事は上がってないのだ。

 

 「なにを言っている、君が言ったんじゃないか」

 

 「?」

 

 僕が何を言ったというのか。

 

 「『NLF』を遊んで、自分で体験して自分の感想を書けって」

 

 確かに言った。言ったが本当に『NLF』に参加してるとは。

 

 「よく手に入りましたね」

 

 発売まで一週間も無いタイミングで予約が間に合うが分けない。

 

 「ああ、『シャングリラ』に連絡してレビューの為に1週間だけ借りたんだ。明日、仲間と『キラークラブ』を倒したら返却だよ」

 

 そう言って両手を上げる仕草に見覚えが有る。そして、心底残念そうに見えた。 

 

 それで、僕は悟った。

 

 「そうか、それは残念だ」

 

 「残念、なにがだい?」

 

 僕は心の中でしてやったりと細く笑んだ。

 

 「さぁな。其れよりキラークラブと戦うなら、ハンマーとかメイスみたいな鈍器が使える奴が居ると良いぞ」

 

 「ん?そうか、仲間に使える奴が居たな・・・」

 

 「じゃあな。あんたのレビューを楽しみにしているよ」

 

 僕はそれだけ言って、アルバートと別れたのだった。

 

 その後アルバートは『NLF』を絶賛した記事を見て、安心した僕は彼の記事を追わなくなった所為で、その1ヶ月半程後に『春雷』の事を書いた記事が上がってる事に気が付かなかったのだった。

 

 「変な二つ名を広めたのはお前かーーー!」 

 




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