お祖母ちゃん、VRMMOで余生を謳歌する!   作:LUCIOLE

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新キャラ、オズさん登場!

お婆ちゃんのハラハラドキドキのゲームライフに新たな仲間が!?


第4話 『始まりの町とオズ』

 

 始まりの町アモアの噴水広場。そこは『NLF』の最初にログインした時に必ず降り立つ場所だ。このゲームを始めたプレイヤーは全てこの光景を見る。中世ヨーロッパ風のファンタシー世界だ。石造りの噴水に女神像。石畳の道に木と石と土壁の四角い家が立ち並ぶ。

 

 「あと、ゲーム内は本名禁止!僕の事も『シン』って呼んでね」

 

 お祖母ちゃんはこの手のゲームをした事が無い。当然ゲーム内の常識や決まり事も知らないのだ。なので何か気が付いたらその都度教えている。

 

 「分ったわ」

 

 「で、お祖母ちゃんの名前は『ハル』か、ならハルさんって呼ぶね」

 

 「うふふ、やっぱり照れるわね」と、頬を赤くしながらもうれしそう。

 

 昔の姿を参考にしたお祖母ちゃんの若い頃の姿は本当に可愛いくて、こっちが戸惑ってしまう。

 

 (なんだか、妹が出来たみたいだ)

 

 「所でコウちゃん、これからどうするの?」

 

 「『シン』だってば!取り合えずハルさん・・・の装備を揃え様と思ってるけどその前にフレンド登録しよう」

 

 空中を指先でトントンと2回叩く様にしてメニュー画面を開く。そこにあるメニューからフレンド登録を選んで対象者と握手すると本当に登録するかを聞かれるのでYESを選んで登録完了だ。

 

 「これからよろしくね、シンちゃん」

 

 「よろしくね、ハルさん」

 

 確りと握手して、お互いクスリと照れて笑いあう。

 

 「じゃあ行こう!」

 

 ハルさんの手を取って歩き出そうとしたが、ハルさんが動かない。

 

 「そうしたの?」と聞いてから気が付いた。お祖母ちゃんは長らく歩いた事が無いのだ。

 

 左腕と下半身不随。3年前の事故による後遺症。今では左腕は動く様になったが、力は入らない。

 

 そう言えばさっきからハルさんは右腕と首しかまともに動かしてない。

 

 「お祖母ちゃん・・・」

 

 3年もの間動かしてないのだ、突然動かせというのが難しいのかもしれない。

 

 「大丈夫、『ガイア』は脳からの電気信号を直接受信して動かす仕組みだから、夢の中と同じちゃんと動くから」

 

 確証は無い。だが仕様書は読んだし、問題無い筈だ。

 

 「そのアバター(体)はちゃんと動くよ」

 

 3年も動かなかった体を動かすのは怖いのかもしれない。でもここはゲームの中なのだ。ハルさんの不安を取り除く様に両手を持って顔を覗き込んだ。

 

 「大丈夫、ゆっくり歩いてみて」

 

 ハルさんは目を閉じると確りと決意して、僕(孫)に手を引かれながら足を動かそうと意識する。

 

 こっちの事情を知らない他人が笑いながら通り過ぎていくが今は無視だ。

 

 グッと力を入れるが上手く動かない。

 

 「大丈夫だよ。このゲームの中なら普通に動けるから」

 

 諦めず何度か力を入れた時スッと右足が動いた。確りと前に踏み出す足を見てハルさんは顔を輝かせた。

 

 動くと思っていた僕でも奇跡を見た様に嬉しくて、込み上げる物が有る。

 

 腰を曲げ、少しふら付きながらも1歩、1歩と確実に歩みを重ねる。そして、僕から手を離しても両手を広げてバランスを取りながら歩いている。

 

 「やった!ちゃんと歩けてるよお祖母ちゃん!」

 

 興奮して思わず『お祖母ちゃん』と言ってしまってる事にも気が付かなかった。

 

 そんなハルさんを見て、数人のプレイヤーが笑っている。

 

 「なんだあれ?赤ちゃんかばばぁだな」

 

 事情も知らない奴らのハルさんへの暴言に僕が睨もうとした瞬間だった。

 

 「コウちゃん!?」

 

 一瞬目を離した瞬間、ゲーム内とはいえ3年ぶりに自由に体を動かす感覚に感動していたハルさんがバランスを崩した。

 

 「あ!?」

 

 慌てて手を伸ばしたが間に合わない。初期の魔法使いの動き等こんなものだ。

 

 ポス!

 

 上手く踏み止まれないハルさんの背中を誰かが受け止めてくれた。

 

 「大丈夫かな?」

 

 その声に振り返るハルさんは自分を支えてくれている人物の顔を見て驚いた。

 

 「ふぁ!?」

 

 咄嗟に飛び退いて距離を取るがまたバランスが崩れてふら付いてしまう。そんなハルさんの手を取り腰に手を回してその人物はハルさんを抱きとめた。

 

 「驚かせた様で申し訳ない」

 

 ハルさんは目を丸くしているが辛うじて、「いえ・・・」と返した。

 

 ゆっくりとハルさんを立たせると、その人は礼を尽くして頭を垂れた。

 

 「私はオズ、見ての通りのリザードマンです」

 

 そう、ハルさんは突然目の前に現れた巨大なトカゲの顔に驚いたのだ。

 

 人間サイズのトカゲの顔を行き成り間近で見たら誰でも驚くだろう。ましてやここはVR空間。しかもハルさんはこんなゲームは始めてなのだ。

 

 「そうですか、VRゲームは始めてだったのですね。本当に驚かせて申し訳ない」

 

 頭を下げるオズに恐縮してハルさんはぶんぶんと手を振った。

 

 「いえいえ、私こそ失礼な態度を取ってしまって・・・」

 

 2人のお詫び合戦が続くので割って入ってこれを止めた。    

 

 「じゃあそろそろ行こうかハルさん」

 

 「あの、これからどちらに行かれるのですか?」

 

 オズはその風貌には似付かわしくない、オドオドした様子で訊ねてきた。

 

 「私が慣れるまで街中を歩いて店で装備を整えるそうです」

 

 「もしご迷惑でなければ私も御一緒して良いですか?」

 

 リザードマンのオズは頑張って笑顔を作り、胸に手を当て申し出てきた。




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