お祖母ちゃん、VRMMOで余生を謳歌する!   作:LUCIOLE

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新人を連れて狩りゲーをやった頃を思い出します。

そして、戦闘シーンは難しいです。


第6話 『狩りに行こう!』

 

 アモアの森、『NLF』の始まりの町アモアの外にある森だ。

 

 最初の森だけ有って明るくて暗い雰囲気も無く、弱いモンスターしか居ない此処で始めての戦闘と依頼クリアを目指す。

 

 ハルさんも此処に来る迄に体の動かし方にも慣れて今は腰を曲げた前傾姿勢だけど普通に歩いてる。

 

 「さて、そろそろ森の中に入って狩りをしようか」

 

 町から出た直ぐの街道はモンスターの出ないセーフティーゾーンになっている。そこから森に入ると弱いとは言えモンスターが襲ってくるのだ。

 

 「途中、何か良い物が落ちてたら拾って下さい」

 

 『NLF』はモンスターの素材だけでなく、色々な場所から採取が出来る。

 

 この最初の町の側でも草むらからは薬草や毒消し草などが、岩からは鉱石、泉や川からは水が取れるのだ。専門スキルが有れば広く、遠く、早く捜せるので歩きながらでも見付けられるのだが、僕達はそんなスキルは取ってないので、今回は余り気にせず、偶然見付けたら拾う程度の話なのだが。

 

 「分りました」「は~い」

 

 オズさんは真面目に、ハルさんは楽しそうに返事。

 

 まるでピクニックね、なんて話してる。

 

 「では気を引き締めて行きましょう」

 

 そう言うと、オズさんは槍を構えて先頭に立ってくれる。

 

 多少この手のゲームの知識が有るのだろうか。

 

 

 さて、これから森で依頼を熟す訳だけどフォーメーションや戦闘のレクチャーをする事にした。動きながら、または戦闘しながら説明を聞き、理解し、考え、行動する練習も兼ねてる。

 

 「森やダンジョンで取る僕たちの編成はオズさんが先頭、僕が2番目、そしてハルさんが3番目で進みます」

 

 「オズさんは基本前方の警戒を」

 

 「うむ」

 

 少し、緊張している様に見えるオズさん。

 

 「ハルさんは大変かもだけど後方とパーティー全体を見て欲しいんだ」

 

 「分かったわ」

 

 ふんす!と此方は少し力んでいる様子だ。

 

 「お互い、何か有ったら声を掛けていこう」

 

 杖を手に持ち、僕達は森へと分け入った。

 

  

 「今回の依頼は『アモアラビット』という兎のモンスターの討伐です」

 

 「兎さんなの?」

 

 「見た目はね。小さな角が有るけどそれ以外は普通の茶色い兎だよ、動きが速いけど」

 

 「角が有る茶色い兎ですね」

 

 3人は森を歩きながら依頼の確認をする。

 

 「この森でも出現するけど、もう少し行くと草原になっている場所が有って、そこで良く見ます」

 

 「姿は普通の兎に小さな角が特徴で、これを5匹倒したら依頼終了です」

 

 シュッ!

 

 「シン殿、その兎は何か変わった攻撃をしてくるのですか?」

 

 シュッ!

 

 「いえ、炎を吐くとか魔法を使うとかは無いけど結構速い動きで突進してきます」

 

 シュッ!

 

 「ハルさん聞いてる?」

 

 「ええ、聞いてるわよ」

 

 シュッ!ハルさんは小刀を振って具合を確かめている。

 

 「ハルさん、左腕!?」 

 

 見れば力の入らない筈の左腕で小刀を振っていた。

 

 「ええ、ちゃんと力は入るみたい」

 

 「そ、そう・・・」

 

 お祖母ちゃんの腕がちゃんと動いてる喜びと、様になっている動きへの驚きが綯い交ぜになって言葉が出ない。まだ足運びには不安が有るが、腰は少し伸びていた。

 

 「シン殿、森を抜けます」

 

 結局森の中ではモンスターと遭遇しなかった。運が良いのか悪いのか。

 

 「普通なら、アモアラビットやアモアスパイダーとか出て来るものなんだけど」

 

 「まぁ、こういう事もあるのでしょう」

 

 ザアァ・・・。

 

 青々とした草原に風が走る。

 

 一面の草の絨毯に見惚れてるハルさんの目に涙が浮かんでいた。

 

 「お祖母ちゃん!?」

 

 ハッとなって僕を見てる。

 

 「コウちゃん、どうかしたの?」

 

 「どうって・・・」

 

 僕が戸惑っていると、お祖母ちゃんは自分が泣いて要る事に気が付いた様で、涙を拭った。

 

 「あら?」

 

 お祖母ちゃんはもう一度草原を見ると「こんな綺麗な景色が見れるなんて、思わなかったら嬉しくてね」と、微笑んだ。

 

 お祖母ちゃんは半身不随とは言え、外に出かけられない訳じゃない。付き添いは必要だが、身体障害者の為の設備やシステムがちゃんと整備されている都会や街中は、AI搭載全自動車椅子のお蔭で割と移動出来る。ただ自然の多い場所はそうは行かない。

 

 ヴァーチャルとは言えお祖母ちゃんには3年ぶりの大自然の景色なんだと、思うと僕もなんだか目頭が熱くなった。

 

 そんなお祖母ちゃんを見守りながら僕とオズさんは周囲を探索した。

 

 「近くには居ない様ですな」

 

 「少しづつ進んで行きましょう」

 

 ハルさんに声を掛けて、全周囲を警戒しながら少し進むと、ザザザ・・・と草の中を進む音がしたが、長けが膝程まで有る草が敵の姿を隠していてる。

 

 ガサッ!

 

 「!?」

 

 音のした方に注視する。少し離れた場所で草が動いた。

 

 僕とオズさんが頷き有って、オズさんがゆっくりと前に出る。

 

 ガサリ・・・。

 

 オズさんが1歩、2歩と足を進めた瞬間何かが草陰から飛び出した。

 

 キィィィーーー!

 

 襲い掛かる一本角の茶色い兎、アモアラビットに驚いたオズさんは慌てて槍を振り回して抵抗するが、全く当たらない。

 

 「オズさん!落ち着いて」

 

 既に息を荒げてるオズさんがこちらを見て、ゴクリと生唾を飲んだ。

 

 「す、すみません・・・」

 

 魔法で援護したいが、見えない相手に魔法は当て辛い。まだまだMPの少ない状況では無駄撃ちはしたくないのが心情だ。

 

 ガサガサガサ・・・。

 

 また、3人の周りでアモアラビットの動く音がする。遠巻きにこちらの動きを探る様に動いていた音がこちらに迫って来た。

 

 ガサガサガサー!

 

 (狙いは僕か!?)

 

 杖を構えてアモアラビットが姿を現すタイミングを計る。

 

 そして、飛び出してきたアモアラビットに呪文を唱えた。

 

 「ファイア・バレット!」

 

 正面から来ると分かっていれば後はタイミングだけ。今まで色々なVRゲームをやって来た経験が有れば容易い事だ。だが、まだ火力が足りていないらしく、一撃で倒す事は出来なかった。

 

 だがこれは丁度良かった。

 

 「オズさん、止め!」

 

 言われてオズが悶えるアモアラビットに駆け寄って、振り下ろす様に槍を突き下ろしてトドメを刺した。

 




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