青い空の下で幸せを届ける屋台   作:クラウディ

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ブルアカで飯テロ書きたかったから書いたやつ。





噂の屋台、その店主

男の朝は早い。

 

『~♪』

「んぁ? あー……もう朝か……と・り・あ・え・ずっ! 風呂入るか!」

 

年齢は20代半ば頃、背丈は180cmを超え、その細身な手足には筋肉が詰まっている。

顔立ちは美形の枠には入るものであるが、知性的というよりかは体育系的な骨ばった顔立ちをしており、男の精悍さをうかがえる。

 

そんな男の一日は、4畳半の居間の中央に敷かれている一組の布団から飛び起き、足早に風呂場へと向かって湯を浴びることから始まった。

 

「フー! 朝風呂気持ち―!」

 

夜中にかいた汗を洗い流した男は汗を拭きとったタオルを洗濯機へと投げ込み、流れるように蓋を閉めながら洗濯機を起動させる。

その後、台所へとたどり着いた男は、備え付けられた棚に置いてあるフライパンをコンロにかけ、火をつけた。

 

「ルールルルー♪ ルールルルー♪ 宇宙の電波を受信中~♪」

 

下手な鼻歌を歌いながら慣れた手つきで冷蔵庫から卵を数個取り出し、殻を割ってかき混ぜ、熱したフライパンの上に注いでいく。

それと並行するように、冷蔵庫からパック詰めされた刻み野菜を用意し、こちらを空いているコンロに置いた鍋へ、水と共に投入して火を通していった。

 

「男は皆~飯を食え~♪ 女も皆~飯を食え~♪ 子供も~じいちゃんも~ばあちゃんも~飯を食え~♪ それが~一番~最高~♪」

 

やがて一人分の卵焼きが出来上がったと同時に、野菜を煮込んでいる鍋に味噌と粉末状の出汁を入れ、美味しそうな味噌汁へと仕上げていく。

それらを皿や汁椀によそい、布団の敷かれている居間に置いている小さなテーブルへと置いた。

 

「さてと、最後に『ピー!』っと、ナイスタイミング! 流石俺!」

 

最後に、予約していたことで丁度炊き上がった白米を炊飯器から茶碗によそうことで手軽な朝食が出来上がったのである。

 

「これで良し! ご機嫌な朝食だな!」

 

その出来栄えを見ながら、男は満足げにうなずくとテーブルの前に座り、手を合わせて食前の挨拶をした。

 

「"幸福なのは誰かのおかげ。幸福になるためにはその誰かへの感謝を忘れるべからず。幸福を誰かに分け与えてあげるのもまた幸福の形なり”……いただきます!」

 

この世界のとある片隅にあるアパート、その一室での朝のルーティンはこのように始まったのである。

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

「"幸せを運ぶ屋台"……ですか……?」

「うん。最近話題になってる屋台なんだ。なんでも、悩みとかを店主さんに相談しながらご飯食べるといつの間にか幸せになるんだって」

 

某日某所にある建物――「連邦捜査部シャーレ」にて、本日の担当である"早瀬ユウカ"はシャーレの顧問である()()――"先生"と事務作業を行いながら世間話をしていた。

最初の内は、最近に起こった出来事や近々取り掛かることになる予定に関して話していたのだが、先生が呟いたあることがユウカは気になったのである。

 

『ふぅ……今日"も"屋台に行こうかなぁ……』

『今日も屋台……? まさか……せ・ん・せ・い? ちょっとお時間もらえますか??』

『あ……』

 

「このお金遣いの荒い人が屋台に行くとは……それに、一人で外を出歩くなんて!」と、ユウカは半分お説教モードで話を聞き始めたのである。

そして出てきたのが"幸せを運ぶ屋台"の話であった。

 

「いつ、どこに出没するのかは気まぐれで決められてて、偶然出会えるだけでも幸運って言える。そんな屋台でご飯を食べられればいつの間にか悩みが解決する、っていう屋台」

「うーん……確かに思い返せばそんな話を小耳に挟んだような……それで、先生はその屋台に通っているんですか? 出会えるだけでも幸運なのに……」

 

そう、その屋台は「出会えるだけで幸運」と言われるほど遭遇率が低い存在。

それをまるで何度も通っているかのように話す目の前の先生の言葉に、ユウカは疑問を抱いたのである。

 

そんなユウカの様子を知ってか知らずか、先生は何気なく言った。

 

「あはは……私、その店主の人と()()()だからね~。呼んだら来てくれるんだ~」

「……えっ? おさな、なじみ……?」

「あっ」

 

油の差し忘れた機械のように、ぎこちない動きで先生の顔を見つめるユウカ。

失言したことに気づき思わず口を抑える。

 

「…………」

「…………」

 

しばらく無言の時間が流れたが、踵を返して逃げ出そうとする先生を見て時間は動き出した。

 

「き、緊急避難!」

「させません!」

 

憐れ、キヴォトスの生徒であるユウカとただの先生とでは、身体能力に天と地ほどの差があるのだ。

あっという間に捕まった先生を押し倒しながら、ユウカは問い詰める。

 

「お、おおお幼馴染とはどういうことですか先生!? ま、まさか……先生の恋人とか……!?」

「こ、恋人!? そ、そそそそんなことないよ!?」

「嘘です! いつも以上に動揺しています!」

「ほ、本当に何でもないって!」

 

女が三人集まれば姦しいとはよく言うが、二人だけでもかなり騒がしいものである。

しばらくじゃれ合っていたが、案の定、先生の方の体力が先に切れたので、ユウカはしぶしぶながらも先生を解放した。

 

「ハァ……ハァ……で、結局その人とはどんな関係なんですか……?」

「えほっ……げほっ……え、えぇっと……」

「それ以上隠したら先生の来週のお小遣いを減らします」

「!? い、言うから! お小遣いだけは勘弁を……!」

 

ユウカに脅されるまま、あーでもないこうでもないと考えを巡らせていく先生。

やがて、一つの答えにたどり着いたのか、少し頬を赤らめながら言葉にした。

 

「えっとね……その人は……私にとっての、"先生"……なのかな……?」

「先生にとっての"先生"ですか?」

「うん……私が"先生"になりたいって思ったのはあの人のおかげなんだ……」

 

今まで見たことのないような、まるで恋する少女のように、頬を掻きながらはにかんだ表情の先生の姿に、今日一番の驚愕を覚えるユウカ。

あの尊敬される"大人"というべき姿を見せ続けてきた先生が、まるで身近にいる一人の少女のようにはにかんでいる。

 

この人にそこまで言わせるとは……そう思っていると、来客を知らせるインターホンが鳴る。

 

『ちわーっす。出前を届けに来たぞ()()()~』

「あっ……ご、ごめんねユウカ。出前が届いたみたいだからちょっと行ってくるね」

「待ってください先生」

「へ?」

 

出前の配達人から出前を受け取ろうと立ち上がった先生を引き留めるように、声をかけたユウカは先生の傍を通ってシャーレの玄関へと歩みを進めていく。

 

「えちょちょちょ!? どうしたのユウカ!?」

「出前の人はさっき"ダチ公"と言いました。そして、この場所に何度も来ているかのような口ぶりからして、おそらく先生が先ほど言っていた幼馴染の方……ですよねせ・ん・せ・い?」

「ユ、ユウカ? いつもより顔が怖い……」

「先 生 を こ こ ま で 誑 し 込 ん だ 人 の 姿 を 見 に 行 く だ け で す よ」

「アッハイ……」

 

そんなやり取りをしながら、ユウカは玄関を開け放ったのである。

 

そこにいたのは……"()()()()"()()()()()()()()()()であった。

 

 

 

「あなたが……」

「ん? おっと、嬢ちゃんは初めましてだな! とりあえず――」

 

 

 

 

 

「こちら"幸せを届ける屋台"の店主をやっております。以後、お見知りおきを!」







※人物紹介※

・シャーレの先生(女)
オリジナル主人公こと"店主"の幼馴染であり、"店主"にホの字の恋する乙女。


・早瀬ユウカ
先生の財布を握っている皆の初めて(メモロビ)の女。

・店主
先生の幼馴染で本作の主人公。
"幸せを届ける屋台"を経営しており、食事を通していかに人を幸せにさせられるかを追い求めているただの大人。
出前を呼ばれたら隣町だろうが数分で駆けつける健脚の持ち主である。



飯テロ小説なのに全然飯テロ要素出せなかった()
じ、次回は頑張って出すから……!


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