焼いたその星で。
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それは意思の為だと。
だから、戦友を撃った。
それは意味をくれた飼い主の恩義に報いる為だと。
だから、友人を撃った。
そう自分に言い聞かせ続けて───
全てに火を点けた。
何かもを黒く焼き尽くし、灰へと変えた。
だが得たものはごく僅かで、代わりに多くのものを自ら手放してしまった。
今まで溜めた金で『普通』を取り戻しても満たされるものなど何一つなく。
自分の事を呼んでくれる声は無く、自分を見つけてくれる人も無く。
死んだように生きる日々。だけど取り戻した感情がいつもこう叫び続ける。
寂しい、と。
悲しい、と。
会いたい、と。もう一度会いたい、と。
会えないと分かっているのに。それでもこの体は導かれるように向かう。
その意思を継ぎ、自らで焼き尽くした廃星───
『ルビコン3』へと。
辺境惑星『ルビコン3』。
二度に渡って焼かれた星であり、永久に放棄される事が決まった廃星。
今や企業も、そして人すら寄り付かなくったその星。
かつてこそは封鎖機構の目もあったが、今となってはそんな目すら気にすることもなく侵入するのは実に容易だった。
適当に購入したシャトルから愛機を引っ張り出し、コックピットに乗り込んでは直ぐに自分は導かれるように機体を進ませた。
宛てもなく、只々ここでの日々を思い出すかのように灰塗れの星を駆けた。
二度目の火に飲まれてしまった今、その面影は殆ど残っていない。
それでもここがそうであると確信できると思える箇所はあった。
例えばガリア多重ダム。
あの時はダムらしい姿を保っていたが、今やダムと言える程の面影は残していなかった。
そしてここは初めてレッドガンの彼らと共闘した場所だ。
ミシガンに『G13』の名を貰ったのも作戦前のブリーフィングでだ。
だが今や彼らはいない。G4ヴォルタは『壁』で死に、G5イグアスとG1ミシガンは自分が殺した。
自分は独立傭兵で、彼らはベイラム専属部隊。何処かで銃を突きつけ合う事なんてある。
分かっていた。仕方ないのない事だと言い聞かせた。それでも───後悔はあった。
次に向かったのはルビコン解放戦線が拠点化した交易上の要衝、通称『壁』。
この攻略作戦で自分はV.Ⅳ ラスティと出会い、そして戦友となった。
ラスティとはこの戦いの後も何度も共闘し、そしてコーラル集積地点へと向かう前で殺し合い、そしてザイレムでの戦いで彼を殺した。
『届かなかったか…。戦友…』
進む道はすれ違い、お互いに引けない状況。最期まで彼は自分を『戦友』と呼んでくれた。
あの時の様に分かっていた。目的は違えば起きる事は殺し合い。ルビコンではそれが当たり前だった。
それでもやはり───後悔が残った。
ガリア多重ダム、『壁』に続いて向かったのはウォッチポイント・デルタ。
あのコーラル逆流の影響と二度目の火で建物など一つも残っていなかったが、覚えはあった。
何よりここで自分は彼女に出会ったのだ。
名は『エア』。実体を持たないルビコニアンであり、『C型変異波形』。
コーラル逆流に巻き込まれ、死の淵を彷徨っていた時に彼女の声が聞こえる様になった。
何度も助けられた。大事な友人。
それでも自分は彼女が目指す人とコーラルの共生ではなく、意味をくれた飼い主の意思を継ぐことにした。
そしてまた大事な友人を手にかけた。
『レイヴン…。それでも…私は…人と、コーラル、の……』
赤い爆発に包まれながらも、その手をこちらへと伸ばす姿。
気付いた時には何もかも手遅れで、何もかも失った先で自分はこの星を焼いた。
迫りくる炎から逃げながら薄かったはずの感情が溢れ返り、後悔をして、初めて嘆き哭いた。
『お前の選択が…お前自身の可能性を広げる事を祈る』
炎から逃れ、自分を知る者などいない辺境惑星に身を隠し始めてから、すぐの事。
自身へと宛てられた
その声を聞けたことは嬉しかった。だが…もう会う事は出来ない。
彼はもういない。621と呼んでくれるその声さえも聴けない。
まだまだ話がしたかった。意味をくれた礼をしたかった。
だからこそ───後悔は残り続けた。
誰とも会う事などなく。
只々ここでの戦いを思い出すだけの旅。
その最後に向かったのは、グリット135跡地。このルビコンにたどり着いた時、ここで全てが始まった。
『仕事を始めるぞ、621』
『お前のような脳を焼かれた傭兵でも、コーラルを手に入れさえすれば人生を取り戻せるだけの大金が手に入る』
確かに得た。
だがその分、失ったものが多すぎた。
ウォルター、エア、ラスティ、カーラ、チャティ…かけがえのない友人を手放し、かけがえのない恩人を失った。
「教えてくれ…ウォルター…」
─俺は何を選び、何を得たら良いんだ…?─
コックピットの中で、機体の頭を灰色に染まった空へと向けて吐いた言葉。
もういない大事な人へと向けた言葉。
それでも答えは返ってこず、何時もの様に呼んでくれる声もなかった。
「…?」
ふと、何かが聞こえた気がした。それも何処か聞き覚えのある…そんな音だった。
しかしこんな更地になった場所で何かがあるとは思えない。
風の吹き抜ける音だろうと思うも、何かが違うと自分の中の何かがそう叫んでいた。
機体を音がしたであろう方へと反転させ、走らせる。
半壊したカタパルトの上を飛び越えていき、瓦礫を超える。そしてその音が聞こえたであろう場所へと到達する。
「…気のせいか?」
音がした場所は大して何もない場所だった。
更地と言っても良いだろう。何か音が鳴るようなものは何一つない。
「…!」
また音が鳴った。
それもはっきりとした…
聞き覚えのある音。突如として視界が赤く染まった時、思い出す。
「まさ、か…」
ありえない。
再手術を受けた事により、体内にあるコーラルは取り除いた。
強化人間ではあるものの第四世代ではない。
だからこの耳鳴りが…この『交信』が起きる筈など…!
───レイヴン…───
忘れる筈のない声。
澄み渡る様な声。
あの時からずっと支えてくれた『声』。
もう聞こえる筈のない声。
焼き尽くした筈のこの星で、何故"彼女"の声が聞こえる…!?
───レイヴン…私は…───
急に意識が朦朧とし始める。
だけど必死に保とうとする。
この声が聴くために。この声に答える為に。
───もう一度、貴方に…───
───会いたいです───
「俺もだ、エア…」
薄れゆく意識の中。
掠れた声で、彼女の声に答える。
「君に…もう、一度───」
「会い、た…い…」
失いながらも。
それでも会いたいと思う友人にへと、その思いを口にした。
はい…気まぐれ投稿です。
ドルフロ二次の何番煎じってやつです。
仕方がないじゃないですか…発売されてからAC6が楽しくて仕方ないんですよ!!!
AC6を絡ませた作品を書きたいと思ったら、何か出来てたんですよ!!!
続くかどうか分かりませんが…気が向いたら更新します。
ではではノシ