あの話の後、戦術人形621は眠り…と言うよりスリープモードへと移行。
自分も軽く睡眠を取り一夜を明かした後、格納庫に訪れクレーンで吊るされたACパーツをジッと見つめていた。
ザイレムでの戦いでラスティが駆る、
「高弾速のミサイルではない。撃っていたのは…杭か?」
うろ覚えでしかないが、放たれた二発の内、一発が直撃した時に爆発せず刺さった様な感じがあった。
様々な企業や傭兵支援システム『オールマインド』は多種多様なACパーツを作っていたが…果たしてこれは何処の企業が作ったのやらか。
「取り敢えず装備させてみるか」
幸いにも機体の左肩は空いている。
使いこなせるかは兎も角、見つけた以上はここに置いておく理由はない。
621が起きる前にクレーンのついた重機がこの基地にあるか探してみるとしよう。
片膝をつかせているとはいえ、生身でACのパーツを機体に装備させるなど到底無理な話なのだから。
「…ホント、ガレージの有難さが身に染みて分かる」
ACの整備やアセンブル、ペイント等はガレージでなくては行えない。
故にその存在は大きい。おかげと言うべきか、アセンブルが行える場所があったからこそ、様々な依頼に対応ができ、そして生き残る事が出来たのだから。
「早起きですね、レイヴン」
そこにスリープモードから目覚めたのか621がやって来た。
起きる前に重機を見つけておこうと思っていたが、起きたのであれば手伝ってもらうとしよう。
「起きたか。…よく眠れたか?」
「ええ、それはもうぐっすりと」
「それなら良かった。…寝起きで悪いが少し手伝ってほしい」
「構いませんよ。何を手伝えばいいです?」
大まかにだが、吊るされているACパーツを機体に装備させている事とクレーン付き重機が探しているという事を伝える。
あれがACのパーツだという事は前に教えたので成る程といって表情を浮かべており、重機に関しては基地の反対側に捨て置かれているのを知っていると教えてくれた。
ただ動くかどうかは分からないとの事らしいが、無いよりかは良い。
動く事を祈りながら、621と共に基地の反対側へと向かう。
中は変わらず荒れているが、621が基地の電力を復旧させた事もあって中は明るく、歩く音だけが反対側へと繋がる廊下に響く。
「そう言えばACは高い汎用性を有していると言っていましたね。依頼内容に応じて姿形、武装さえも変える事が出来るとか」
「そうだが…それがどうした?」
「いえ、少し気になったもので。レイヴンがルビコンとやらに居た時、どんな構成をした機体で戦っていたのかなぁと思って」
何故そんな事が気になるんだと、つい言いそうになるも敢えて口にしない。
確かにルビコンに居た時は依頼内容に合わせて機体構成を大きく変えた事は何度でもある。
いずれこの構成が必要になってくると思い、幾つか構成データを自身の端末に保存していたりもする。
621からすればACは未知の存在。当然気になるのも無理もない。
データだけしかないが、少しばかり見せてやるとしようか。
「こいつは今の構成に変える前に乗っていた。依頼内容にもよるがこの構成で戦っていた事が多い」
端末に収めてあった機体データを621に見せる。
シュナイダー製の頭部『KASUAR/44Z』、アーキバス製のコア『VP-40S』と脚部パーツ『VP-422』、エルカノ製の腕部パーツ『EL-TA-10 FIRMEZA』。
武装は依頼内容に応じて変えていたが、最も多用していたのがベイラムの軽リニアライフル、BAWSのバーストライフル、三連双対ミサイル、六連プラズマミサイル。
最初からこの構成ではなかったが、実績を重ねるにつれて購入できるようになったパーツを増えていき、最終的に落ち着いたのがこの構成である。
「パーツや色が違うと雰囲気もまた違いますね。他には?」
「そうだな…」
端末を操作し、数ある機体データを探る。
様々なタイプがあるが…む、こいつもあったな。
いずれこういった構成が必要になると組んだもの。それを画面に広げ、621に見せる。
「な、なんです…これ?」
「まぁ…そんな表情にはなるか」
621に見せたのは、いわゆるタンク型のACの構成データ。
ベイラム製のタンク脚部は機動力は低いものの高い積載量と防御力を誇る。
特にその積載量を活かして、フレームは重量級パーツを使用して防御力を極限までに底上げ。
加えて武装系はバズーカ、グレネード系と言った高火力武器で統一している。
「いわゆる…ガチタンというやつだ」
「ガチ、タン…」
誰が言ったかは分からないが、この様な重装タンクはそう呼ばれているらしい。
防御力が上げて被ダメージを減らし、高火力武器で敵を殲滅する。
やられる前にやれ。その戦法は単純明快『ゴリ押し』である。
「えっと…両腕の武器は?」
「右腕に持っているのは
「両肩の装備は…?」
「右肩は
「…殺意が高すぎませんか」
「その殺意の高さのせいか封鎖機構のエンフォーサーが見る影も無くなる位にボロボロになっていたがな」
「それはそうでしょうよ…」
だが弱点はある。
高火力が故に連射は出来ず、リロードも相まって確実に無防備な状態を晒す事になる。
だからこそ重量パーツで固めて防御力を上げたのだが、それはただの言い訳にしかならないだろう。
「さ、着きましたよ。無事動くと良いのですが」
「そうだな」
如何にも古そうな重機が一つ。
無事に動くと良いが…。
『動かしますね』
「ああ、頼む」
結果から言うと重機は無事動いた。
今はその操縦を621に任せ、見つけたACパーツの取り付け作業を行っていた。
「角度、位置はそのままだ。ゆっくりでいい」
『了解です』
ミスを起こさない為にも自分はコックピットに乗り込み、その様子を見つめている。
そして数秒経たぬ内に機体の左肩にパーツが取り付けられ、コンソールパネルにパーツ詳細が映し出される。
「
となるとラスティがザイレムで乗っていた機体もエルカノ製なのだろうか。
それに企業を利用していたとカーラは言っていたが…。
「…分からんな」
『レイヴン、少し宜しいですか?』
この場にはいない戦友の事を考えていると、621から通信が入ってくる。
頭を切り替え、通信に答える。
「どうした」
『…大量のお客様がこちらに向かって来ているのを検知しました』
「!」
『識別信号からして鉄血、そしてグリフィンの信号も検知しています』
鉄血工廠の部隊にグリフィンの部隊。
それがここに向かって来ている。そこから予想できることなど一つしかない。
「621、使えそうなものを集めておけ。戦う準備もしておけ」
この前哨基地が再び戦場になるという事だ。
何やかやしながらもRe:LOADER4に新たな武装装着です。
そして前哨基地に嵐がやってくるみたいです。
さて、どうなる事やらか。
では次回ノシ