『生体反応を確認。オートパイロットを解除』
「…っ……ぁあ…こ、こは…」
どれ程の間、気を失っていただろうか。
何度も聞いたCOMボイスとオートパイロットモードを解除した事により、足を止めた機体の振動に意識が強制的に呼び覚まされる。
重く、凝り固まった体をゆっくりと起こし、瞼を開く。
ぼやけていた視界も数秒程度で鮮明になり、そこに広がった光景に疑問の声を上げた。
「…どういう事だ」
つい先ほどまでいた場所は、グリット135跡地にある更地。
だが今、居る場所は格納庫らしき場所だ。
見た感じでは廃棄された感じがする。屋根が無い辺り、長い間使われていなかったのだろう。
しかしだ。こんな場所、グリット035跡地の付近にあったか…?
訪れたあの時も、周りには何もなかった。音が聞こえて移動を開始した際にも周囲には何もなかった。
「どれ程の間、眠っていた…?」
コックピットのコンソールパネルを操作し、時間を見てみる。
彼女の声が聞こえ、気を失った時点での時間までは分からないが、あの場所に到達した時間は覚えている。
そして『声』が聞こえ意識が朦朧とし始めたのは直ぐの事だった。
「ざっと10分程度か…」
その間、オートパイロットモードでこのような場所まで移動したとは思いづらい。
ブースターを吹かして移動したとはいえ、障害物はある。
それを避けながら移動したとなれば、たかだか10分程度ではこのような場所を見つけるとは思わない。
ウオッチポイント・デルタの時は別だったが、オートパイロットモードがわざわざこのような場所を選ぶとも思えない。
だからこそ、この場所に居る事が余りにも不自然だった。
「外を見てみるか…」
操縦桿を手伸ばし目を覚ましてから、ずっと片膝をついた状を維持していたAC『Re:LOADER4』をゆっくりと立ち上がらせる。
頭とインナーパーツ、そして一部装備を除けば、ルビコンに降り立った時の構成と変わらない。
最も見てくれだけは
元々は『LOADER4』という名であったが、ルビコンでの戦いが激化するにつれて再構成を行った経緯がある。
再構成…Reconstructionの最初の文字。『Re』を取って『Re:LOADER4』と名付けた。
「…」
──不測の事態を予測しろ──
彼の声が響く。
この言葉を聞いたのは、解放戦線からの依頼でBAWS第二工廠の調査を依頼された時だったか。
あの時もそうだったが、今もこの状況が読めない中にある。
用心するに越したことはないだろう。
正直言えばACで移動するのは余り良い手ではないかもと思いつつあるが、こいつをこのまま置いて誰かに奪われるなんて事になれば、笑い話も良い所だ。
「さて…」
操縦桿を握り直り、ペダルをゆっくりと踏む。
ブースターの駆動音が響き、機体が浮かび上がる感覚を感じながら今の相棒へと静かに告げる。
「行こうか。…愉快な遠足の始まりだ」
ミシガン総長には悪いが、今はこの台詞を使わせてもらおう。
「…信じられん」
男は遠くに映るその光景に、コックピットの中でそう呟いた。
「これは偶然か、それとも必然か…?」
廃れた格納庫からゆっくりと飛び上がる一機のAC。
その姿は、畳んでいた翼を広げて舞い上がるようで。
かつて出会った
言葉には出来ない感情が男を襲う。
「…どのような顔をして君に会えばいいのだろうな」
いや…と男は口にし言葉を続ける。
「それは"君"も同じか……、そうなのだろう?」
──
赤く、ではなく。
青々と広く空へと向かって飛ぶその姿に、男は星を焼いた一羽の鴉へと向かって呟くのであった。
筆が進んだので、新話投稿でございます。
何もかも失い、気づいたら違う所の来てしまったレイヴンもとい621君ですが…もう一度、飛翔します。
画像をあげようかと思ったのですが、取り敢えずは文面で現在の621の駆るAC『Re:LOADER4』のアセンブルを表記しておきます。
HEAD:HC-2000/BC SHADE EYE
CORE:CC-2000 ORBITER
ARMS:AC-2000 TOOL ARM
LEGS:2C-2000 CRAWLER
R-ARM UNIT:RF-024 TURNER
L-ARM UNIT:HI-32: BU-TT/A
R-BACK UNIT:BML-G1/P32DUO-03
L-BACK UNIT:NOT EQUIPPED
BOOSTER:BST-G2/P04
FCS:FC-008 TALBOT
GENERATOR:VP-20C
機体色は初期カラー。
作者もインナーパーツと武装が一部違えど、似たような構成をたまに使用しながらAC6を楽しんでおります。対人戦とか全くやらないです…(やってみたい気もしなくはない…)
最後の人物?…言わなくても分かるだろう、戦友。
では次回ノシ