人形ノ詩 鴉ノ詩   作:白黒モンブラン

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──もう一度…愉快な遠足を──


chapter 00-01

 

『生体反応を確認。オートパイロットを解除』

 

「…っ……ぁあ…こ、こは…」

 

どれ程の間、気を失っていただろうか。

何度も聞いたCOMボイスとオートパイロットモードを解除した事により、足を止めた機体の振動に意識が強制的に呼び覚まされる。

重く、凝り固まった体をゆっくりと起こし、瞼を開く。

ぼやけていた視界も数秒程度で鮮明になり、そこに広がった光景に疑問の声を上げた。

 

「…どういう事だ」

 

つい先ほどまでいた場所は、グリット135跡地にある更地。

だが今、居る場所は格納庫らしき場所だ。

見た感じでは廃棄された感じがする。屋根が無い辺り、長い間使われていなかったのだろう。

しかしだ。こんな場所、グリット035跡地の付近にあったか…?

訪れたあの時も、周りには何もなかった。音が聞こえて移動を開始した際にも周囲には何もなかった。

 

「どれ程の間、眠っていた…?」

 

コックピットのコンソールパネルを操作し、時間を見てみる。

彼女の声が聞こえ、気を失った時点での時間までは分からないが、あの場所に到達した時間は覚えている。

そして『声』が聞こえ意識が朦朧とし始めたのは直ぐの事だった。

 

「ざっと10分程度か…」

 

その間、オートパイロットモードでこのような場所まで移動したとは思いづらい。

ブースターを吹かして移動したとはいえ、障害物はある。

それを避けながら移動したとなれば、たかだか10分程度ではこのような場所を見つけるとは思わない。

ウオッチポイント・デルタの時は別だったが、オートパイロットモードがわざわざこのような場所を選ぶとも思えない。

だからこそ、この場所に居る事が余りにも不自然だった。

 

「外を見てみるか…」

 

操縦桿を手伸ばし目を覚ましてから、ずっと片膝をついた状を維持していたAC『Re:LOADER4』をゆっくりと立ち上がらせる。

頭とインナーパーツ、そして一部装備を除けば、ルビコンに降り立った時の構成と変わらない。

最も見てくれだけは()()()()()()が乗っていたAC『NIGHT FALL』とほとんど変わらないが…。

元々は『LOADER4』という名であったが、ルビコンでの戦いが激化するにつれて再構成を行った経緯がある。

再構成…Reconstructionの最初の文字。『Re』を取って『Re:LOADER4』と名付けた。

 

「…」

 

──不測の事態を予測しろ──

 

彼の声が響く。

この言葉を聞いたのは、解放戦線からの依頼でBAWS第二工廠の調査を依頼された時だったか。

あの時もそうだったが、今もこの状況が読めない中にある。

用心するに越したことはないだろう。

正直言えばACで移動するのは余り良い手ではないかもと思いつつあるが、こいつをこのまま置いて誰かに奪われるなんて事になれば、笑い話も良い所だ。

 

「さて…」

 

操縦桿を握り直り、ペダルをゆっくりと踏む。

ブースターの駆動音が響き、機体が浮かび上がる感覚を感じながら今の相棒へと静かに告げる。

 

「行こうか。…愉快な遠足の始まりだ」

 

ミシガン総長には悪いが、今はこの台詞を使わせてもらおう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…信じられん」

 

男は遠くに映るその光景に、コックピットの中でそう呟いた。

 

「これは偶然か、それとも必然か…?」

 

廃れた格納庫からゆっくりと飛び上がる一機のAC。

その姿は、畳んでいた翼を広げて舞い上がるようで。

かつて出会ったあの時(壁超えの時)と同じようで。

言葉には出来ない感情が男を襲う。

 

「…どのような顔をして君に会えばいいのだろうな」

 

いや…と男は口にし言葉を続ける。

 

「それは"君"も同じか……、そうなのだろう?」

 

 

 

 

 

 

──戦友(レイヴン)──

 

 

 

 

 

 

赤く、ではなく。

青々と広く空へと向かって飛ぶその姿に、男は星を焼いた一羽の鴉へと向かって呟くのであった。




筆が進んだので、新話投稿でございます。

何もかも失い、気づいたら違う所の来てしまったレイヴンもとい621君ですが…もう一度、飛翔します。

画像をあげようかと思ったのですが、取り敢えずは文面で現在の621の駆るAC『Re:LOADER4』のアセンブルを表記しておきます。

HEAD:HC-2000/BC SHADE EYE

CORE:CC-2000 ORBITER

ARMS:AC-2000 TOOL ARM

LEGS:2C-2000 CRAWLER

R-ARM UNIT:RF-024 TURNER

L-ARM UNIT:HI-32: BU-TT/A

R-BACK UNIT:BML-G1/P32DUO-03

L-BACK UNIT:NOT EQUIPPED

BOOSTER:BST-G2/P04

FCS:FC-008 TALBOT

GENERATOR:VP-20C

機体色は初期カラー。
作者もインナーパーツと武装が一部違えど、似たような構成をたまに使用しながらAC6を楽しんでおります。対人戦とか全くやらないです…(やってみたい気もしなくはない…)


最後の人物?…言わなくても分かるだろう、戦友。

では次回ノシ
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