人形ノ詩 鴉ノ詩   作:白黒モンブラン

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chapter 00-17

S09地区西部。

そこに違法回収団体が拠点として使用している旧工場群がある。

今回の依頼はその構成員の排除と現存する機動兵器の破壊であり、フィオナが寄越してくれた部隊と共同する事になっていた。

まずはその部隊を合流する為、指定された地点へとACを走らせていた。

 

「もうそろそろか」

 

既に陽は落ち、夜空が広がる。

その中を駆け抜けながらコンソールパネルに見やる。

フィオナが指定した地点に機体のマーカーが近づいているのが分かる。

 

『しかし思った以上に道が整備されていますね。おかげでバイクが良く走る』

 

機体の前方を行くように一台のバイクが走っている。

背には宙を浮かぶ二つの巨大なオービットみたいなもの。

そして腰には前哨基地での戦闘でも使用した大型ブレード(大太刀)

その他にも色々持ってきているらしいが、ここからではそれしか分からない。

そして前を走るバイクを運転しているのは621である。

彼女にも今回の依頼に参加してもらうつもりだ。

 

「ああ。少し意外だったがな」

 

第三次世界大戦という戦争があったのだ。

それでこそ道路や土地は荒れ放題と思っていた。

が、621が言ったように今走っている道路は意外にも整備されていた。

此方が想像していたよりも交通面の整備は整っていたりするのだろうか。

 

『レイヴン、前方にグリフィンの部隊。フィオナが寄越してくれた部隊でしょうか』

 

「マーカーも合流地点のすぐそこまで来ている。恐らくそうだろう」

 

踏んでいたフットペダルをゆっくりと離し機体を減速。

621のバイクが停止し、機体を停止させると待機モードへと移行しコクピットハッチを開いて外へと出る。

そこにはフィオナが寄越したとされるグリフィンの部隊が一つ。そして部隊内リーダーと思われる人形が此方へと歩み寄って来た。

 

「貴方が独立傭兵レイヴンかしら」

 

「そうだ。…そちらはフィオナ指揮官が寄越してくれた部隊であっているか?」

 

「ええ、そうよ。…私はS09地区前線基地第9支部、第一部隊所属。その部隊長を務めているOTs-14よ。グローザと呼んで」

 

グローザと名乗った金髪の戦術人形が手にしているのはアサルトライフルだろうか。

生憎と銃にはそこまで詳しくない。

銃種ぐらいなら分かるが、名前までは詳しくない。

知っているのはコルトガバメントと、俺が持っている銃『STI 2011』ぐらいだ。

まぁそんな事はどうでもいい。軽く挨拶を返しておくとしよう。

 

「独立傭兵レイヴンだ。よろしく頼む」

 

「こちらこそ。早速だけど、一つ聞いて良いかしら」

 

「何だ」

 

彼女の瞳が向く方向。

そちらへと視線を向けば。此方の背後に一歩後ろで控える621の姿。

成る程。ラスティからの情報でその存在は知っているのだろう。

現にその様子に驚きはない。ただここに連れてきた理由を聞きたいそうだ。

 

「621だ。見ての通り、鉄血製のハイエンドモデルで、訳合って俺と行動している」

 

「その訳と言うのは?」

 

「組織から離反している。そのおかげで向こうから狙われている身だ」

 

621が抱えている事情を伝えるもグローザの表情は変わらない。

警戒しているというべきか。無理もない話だ。

だが、今になって問答を起こされるのは面倒だ。

 

「何も全て信用しろとは言わん。だがこうして問答しているのは時間の無駄と考えるが」

 

「…そうね。今は当てにさせてもらうわ。…最後のブリーフィングを始めるわ。私は他のメンバーを連れてくるから二人はACの前で待機してて」

 

「分かった」

 

それから数分も経たない内にグローザが残りのメンバーを連れて戻って来た。

今回の作戦はそれなりの火力がいるのか軽機関銃とライフルを持った人形の姿があり、その後からはSMGの戦術人形が二人向かって来ていた。

 

「あれがレイヴンという傭兵?」

 

「見覚えのないACの傍にいますから彼がそうだと思います。それに彼らが駆るACとは姿形は違うとは分かっていましたが、実際目にすると雰囲気が異なりますね」

 

軽機関銃を持った戦術人形が此方へと向かいながらライフルを持った戦術人形と会話を繰り広げていた。

此方の視線が気付いたのか、片方が歩み寄り手を差し出してきた。

 

「指揮官から聞いてるわ。貴方がレイヴンね」

 

「そうだ。名は?」

 

「ネゲヴよ。銃種はMG。そしてこっちが…」

 

軽機関銃を持った戦術人形…ネゲヴの紹介に応じて、ライフルを持った戦術人形が歩み寄ってくる。

今更だがライフルにしてはサイズが大きい。対物ライフルだろうか…?

 

「M82A1。これが私の今の名前です」

 

そんな言い方をするという事は訳アリという事だろう。

フィオナの時もそうだが、過去を詮索する気など無い。

それが人間だろうと人形であろうと抱えるものはある。

そこに踏み込むのは本人が許可した時のみで会って間もない赤の他人である自分にその資格がある筈がない。

それが分かっているからこそ、何も言わない。

 

「ラスティやヴォルタのACとは雰囲気が違うわね。何でかしら…?」

 

「…元々こいつは探査用フレームだからな」

 

「は?」

 

唖然とするネゲヴだが、事実なのだから仕方ない。

Re:LOADER4を構成しているフレームは頭部を除き、コアは宇宙船外活動用、腕は廃材回収用、脚部は天体表面探査用を使用している。

頭部は戦闘用にカスタマイズされているが、以前までは地形観測用で外見も素朴なものだった。

それから分かる通り、このフレームは戦闘向けではない分、EN負荷が低く扱い易さには定評があった。

 

「探査用のフレームで良く戦えたわねぇ…」

 

「その分、癖がなくて扱い易い。良い機体だ」

 

「そういう見方も出来るでしょうけど…」

 

言いたい事は分かる。

自分とてずっとこのフレームでルビコンでの戦いを生き抜いた訳ではない。

だが、思い入れがある機体である事は間違いない。

何故ならウォルターがくれた大事な機体なのだから。意味すら持たない自分にくれた大切なものなのだ。

 

「ご歓談中悪いけど、ブリーフィングを始めるわ」

 

グローザにそう言われるほど、少し会話に盛り上がってしまったらしい。

作戦前だというのにこの気の抜けように苦笑いする。

ウォルターなら静かに言うだろうが、これがミシガン総長だったらどうだろうか。

メリニットのグレネードキャノン(EARSHOT)にも劣らぬデカい声で叫ぶのだろうか。

どんな台詞を吐くのかは分からないが、少しばかり聞いてみたい気もしなくはない。

 

「さて…」

 

気を引き締め、始まろうとするブリーフィングに参加する。

グローザ、ネゲヴとM82A1。この三人には挨拶できたが残り二人には出来ていない。

このブリーフィングで軽く挨拶出来たら良いが…。




ドンパチするといったな。あれは嘘だ。

次回からドンパチかなぁ…。では次回ノシ















「ブリーフィングを始めるわ。…作戦は至ってシンプル、この工場群に棲み付く違法回収団体の壊滅よ」

「武装した構成員に改造兵器。加えて東西南北に置かれた四つの給水塔にスナイパーを配置してる。…これ、M82A1に任せるのよね?」

「ええ。ネゲヴの言う通り、スナイパーは彼女に任せる。我々は構成員の排除よ」

「改造兵器はどうされますか?ネゲヴさんとM82A1さんなら対応できると思いますが」

「そこは安心して、X95。改造兵器は彼が相手するわ」

「彼…確かレイヴンというお方でしたね。その方に任せると?」

「そうよ。ACの火力があれば改造兵器程度はさして問題にはならないと判断している」

「でもヴォルタのACみたいに高い火力があるようには見えないんだけどなぁ」

「ならグレネードの爆風に巻き込まろと言いたいのかしら、スコーピオン。木端微塵に吹き飛ばされるは嫌なのだけど」

『…M82A1、ポイントに到達。合図を待ちます』

「了解よ。…レイヴン、そっちは?」

『問題ない。それと621を工場群の裏側に配置させた。戦闘の音と共に突撃し背後からの奇襲を狙うつもりだ』

「分かった。その場で待機、戦闘の音が聞こえたら突撃して好き勝手暴れるように伝えて」

『了解した』

「……そろそろ時間ね。第一部隊、行動開始。愉快な遠足の始まりよ」
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